新型コロナウイルスの感染拡大が続いていますが、つい最近までなぜかマスコミをはじめ様々なところで、若者の行動の自粛ばかりを言っていました。
先日の東京都の発表でも、「東京都内で新型コロナウイルスの感染が大幅に増えた先月25日から1日までの間に感染が確認された人のうち、およそ4割が30代までの若い世代」としています。(図はここより)
本当に若者が感染している割合が高いのでしょうか?
上の図はちょっと古いですが、東京都の2015年の年代別人口割合です。10歳未満~30代までの合計は約42%です。つまり、東京都の30代までの割合がそもそも約4割なのです。その人口の割合に応じて感染者の割合になっているだけです。実際には30代人口15%で感染者21%、20代人口12%で感染者15%、10代人口8%で感染者2%なので、20代~30代は感染者の割合は高いですが、仕事などをしている人口比を考えれば、当然の結果ではないでしょうか?
これによって、若者が犯人のような扱いは違和感があります。感染者の割合が多い=感染拡大の犯人、ではありません。恣意的または意図的な感じがします。
そして、若者が感染しても症状が軽い人や無症状の人が多くて、その若者が感染拡大を起こしている、という証拠はあるのでしょうか?症状が軽い人が多いのはもちろんそうかもしれません。しかし、無症状の人は年齢差はあるのでしょうか?
政府の発表では次のようになっています。(2020年3月28日18時の時点)
上の図は検査で新型コロナウイルス陽性であった人の中での、症状の年齢別のグラフです。当然、死亡率は年齢と共に高くなります。重症者の割合も年齢と共に高くなりますが、70代以上ではそれほど違いはありません。
では無症状の割合はどうでしょうか?確かに10代および10歳未満は無症状が多いように見えますが、この世代の陽性者の数が他の年齢よりも圧倒的に少ない(10歳未満22人、10代19人)のでデータはあてになりません。では20代~30代はどうでしょうか?無症状の割合は10%あるかないかです。80代~90代を見てください。なんと無症状の割合は80代で12.7%、90代で16.7%もいるのです。ただし、90代も人数が少ない(24人)のでデータの信ぴょう性はありませんが、90代ですら無症状の人が少なからずいるのです。
つまり、無症状の割合はそれほど世代間で違いはないのです。だから若者だけが気付かずに感染を広めているとも言えません。活動的な70代~80代はいっぱいいます。彼らが毎朝のようにドラッグストアに並びマスクなどを買い求めたり、買い物に出ていれば、その中で感染が広まっても不思議ではありません。
症状が出るかどうかは年齢による免疫力の違いだけではないのかもしれません。
誰が誰に感染させるかなんて、正直ロシアンルーレットのようなもので、運でしかありません。どんなに気を付けても感染する可能性はあります。また、家族間での感染拡大は非常に多いと思います。3世代で生活している人は孫の世代がおじいちゃんやおばあちゃんに知らない間に感染させては困ると言っているのを目にしますが、逆だって十分ありえます。高齢者が若者に感染させても、若者は重症化しないから良いではないか、というのでしょうか?感染した若者は重症化することは少ないかもしれませんが、社会的には非常に大きな差別、制限を受ける可能性があります。それは若者にとって非常に大きな問題です。
もちろん症状が出ているのに無理をするのは若い人の方が多いかもしれません。遊びに行くのも若者が多いかもしれません。国は経済的な支援をする、する、と言いながら、全く大きな対策は行っていない状況です。店に行くな、外に行くな、と言っているだけでなく、早く経済的な補償を始めてほしいですね。経済活動、社会活動が続いている日本において、その活動の中心になっている世代で感染が広がることは仕方がありません。
しかし、感染しても無症状なのは年齢に関係がないのです。若者だけをたたくのは違和感があります。世代間でギクシャクする必要はありません。
しかし、最近の都知事や専門家会議の会見では、中高年にも注意を呼び掛けています。当然でしょう。
なぜ特に若者に外出自粛を呼びかけたか――行政とメディアの顧客びいき
・外出自粛などに関して行政やメディアが「若者」に特にフォーカスするのは不公平である
・これまで問題行動をとった人には中高年が目立ったが、それらが「中高年」という属性で語られることはなかった
・行政やメディアが主な「顧客」である中高年に緩いことは、世代間の不毛な争いを煽るものである
「若者」にターゲットを絞って外出自粛を呼びかけるのはバランスを欠いているだけでなく、発言力の小さい者の属性を強調するという意味で不公平と言わざるを得ない。
「若者」に特化することへの違和感
コロナをめぐる外出自粛で「自主隔離をしない無神経な若者」のイメージが流布している。
小池都知事は週末の外出自粛を呼びかける記者会見で、特に体力のある若者が無自覚のまま感染を拡大させている懸念があると発言した。メディアでも28日、「外出自粛のはずの下北沢や渋谷を闊歩する若者」が報じられた。
早稲田大学の卒業式後に卒業生らが繁華街で盛り上がって悪目立ちしたのも、これに拍車をかけているかもしれない。
しかし、それでも行政やメディアが「若者」をことさら強調して注意喚起することには違和感を覚える。
筆者は土日の外出自粛が呼びかけられた神奈川県の住民だが、28日に徒歩で横浜駅まで行ってみた。さすがに通常より少なかったものの、一部の百貨店が開店していたこともあってか、それなりに人出はあった。
ところが、そこには若者だけでなく、高齢者も筆者のような中年も、さらには子連れもいた。少なくとも、行政やメディアが盛んにいうように、若者が特に多かった印象はない。
データのない印象
「ただの印象じゃないか」という声が聞こえてきそうだが、まさにただの印象であって、道行く人をカウントしたわけでもなんでもない。
しかし、それでは行政やメディアがいう「若者が目立つ」というのは、確かなデータに基づいているのかというと、少なくとも筆者はそういったものにお目にかかったことがない。
あるのは、下北沢や渋谷などもともと平均年齢が低い繁華街や桜の木の下に集まる若者の映像や画像だけだ。そこだけみせられれば「まったく若い連中は」みたいな論調も出やすいだろう。
だが、それとてデータに基づいていない、統計学でいう有意な相関関係も示していないという意味では、印象に過ぎないのではないだろうか。
それを個人がtwitterでつぶやくならまだしも、行政やメディアがいわば公式にいうなら、例えば同じ日・時間帯の銀座や新宿ゴールデン街など平均年齢の高い街との比較といった、印象ではない根拠を示すべきだろう。
なぜ中高年に特化しないか
さらに重要なのは「若者」だけ属性で取り上げる不公平だ。
コロナに関連してこれまで色々「やらかした」方々、感染を拡大させかねない行動をとった人たちには中高年も多かったはずだ。
ダイヤモンドプリンセスから下船してそのまま寿司屋に行った人、既に感染者が出ているなかで海外旅行に出かけ、帰国した後にジムやスナックに通っていた人、昼間からトイレットペーパーの買い溜めの行列に並ぶ人、挙句にドラッグストアの店員を恫喝したり、「コロナをウツしてやる」と騒いだ人…
ところが、これらの場合、行政やメディアがわざわざ「中高年」を強調して「まだまだお元気な方が多いのは結構ですが…」などと注意喚起したのは聞いた記憶がない。むしろ、そうしたトンデモな行為を行政やメディアは「個人の行い」と扱い、属性全体を問題視する論調にはならなかった。
この状況が若者に言わせれば「中高年こそ何なんだ」となっても不思議ではない。
「公論」の顧客は中高年
筆者は大学で常日頃から若者と接しているが、問題行動をとる者は容赦なく怒鳴りつけ、場合によっては教室から追い出す。だから、「若者」が特別好きなわけではない。ただ、問題行動をとる個人を個人として扱っているだけだ。
コロナでも同じで、基本的に中高年であれ若者であれ、問題行動は一部にとどまっているだろう。
それにもかかわらず、行政やメディアが「若者」だけ属性でくくるのは不公平と言わざるを得ない。
そこには、中高年ほど選挙に行く割合が高く、テレビを観たり新聞を読む頻度が高いことも影響しているとみてよい。言い換えると、行政やメディアが「大事な顧客」に配慮する裏返しとして「若者」という雑なくくりが平気で使われやすいといえる。
あらゆる差別は思い込みから
属性で語るのは便利だし、とりわけ危機において誰かを責めたい風潮には合っているかもしれない。
しかし、問題行動は「個人の問題」として扱うべきであり、属性としての傾向を語るなら、それなりの根拠を示すべきだろう。それ抜きに、いわば社会的発言力の弱い側を属性で語り、やり玉にあげるのは、欧米でアジア人への差別が広がるのと同じ構造だ。あらゆる差別は「市場性」がある、しかし偏ったイメージの産物だ。
国難に結束して当たるなら、行政やメディアには世代間の不毛な争いを煽らない、慎重な言動が求められるだろう。
防衛省中央病院が、ダイヤモンド・プリンセス号から搬送された陽性者104名の症例レポートを出しています。それによると、全観察期間通じて無症状は33名(31.7%)とのことです。104名の平均年齢は68歳です(無症状者の年齢は?)。
年齢関わりなく、無症状は多いようですね。
https://www.mod.go.jp/gsdf/chosp/page/report.html
ちなみに、私はハイリスクとされる70代です。
愛読者さん、情報ありがとうございます。
全期間で無症状が30%以上というのは、他のデータよりも高い割合ですね。
これでは知らないうちに拡大するのも当然ですね。
無症状、軽症が多くを占める新型コロナウィルスのような感染症の場合、集団免疫は政治的に選択可能な政策などではなく「科学的概念」だということにメディアも含め多くの人が気がついていないことが問題なのだと思います。
一部の国が行っているロックダウンもゆっくり集団免疫を得るための一つの方法ですし、それはその国の医療体制やインフラによって考えればいいわけです。日本の場合、悪名高いシルバー民主主義によって子供や若者を部屋に閉じ込めるキャンペーンをメディアぐるみでやってるように見えますね。少なくともデータから見て日本は海外のようにロックダウンする必要はないと思います。実は私が滞在している国もロックダウン中で、既に2週間以上軟禁状態にあります。趣味のジムトレーニングもできず(コンド内のジムやプール等も閉鎖)、外出は各家庭1人による近所での食品購入などに限られており、外では警察や軍人に見張られています。多くの逮捕者も出ており、先日はジョギング中の日本人が4人逮捕されました。なので私は隠れて自宅コンド駐車場内でランニングしてます(笑)。ロックダウン中の国民の運動不足、部屋での過食、精神的ストレス、経済疲弊による自殺者増加は、現状50人程度のコロナ関係の死者数を将来、大きく上回る被害を出すのは間違いないです。特にロックダウンが始まってからDV、子供に対する虐待が社会問題化してます。https://www.malaysiakini.com/news/517065
それに対し、家族・社会開発省のバカ大臣がDV対策と称して「家庭の主婦は家の中でも綺麗な服装や化粧をし、旦那さんにドラえもんのように可愛く話しかけなさい」とアドバイスして大炎上しました。実際、ロックダウン中の身としては正直笑えませんでした。https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/04/post-92974.php
駐在君さん、コメントありがとうございます。
日本もやっと無症状や軽症者を病院から出して、他の施設に移すことをやろうとしています。そして、日本は法的にロックダウンはできません。
私も今の状態が続くならロックダウンはしなくて良いのではないかと思います。
それにしても、どこの国のお偉いさんたちは頭が悪いですね。私としてはマスク2枚の方が世界に対して恥ずかしいです。
https://www.jsph.jp/covid/files/gainen.pdf
このPDFによると、北海道の例から若年層クラスター連鎖が起きていたということのようです。
(ページ数多いですが、後半の方に書いてあります)
個人的には、学校の給食が危険な気がします。
中高年クラスター連鎖も、夜の飲食が多いですし、会話をしながらの食事ってヤバそうだなぁと。
お!さん、コメントありがとうございます。
私の知る限り、北海道のクラスターとされるものは2つで、どちらも若年層だけのものではありません。
どちらも20~80代までの人が感染し、50~60代の人が最も多かったはずです。50代も若年層というのは無理がありそうな気がします。
言葉の使い方をうまく操って、若者のせいにしようとしているのでは?では中年とは60~70代ですかね?
そうですねw
PDF内の記述に『若年層(10代後半-50代)』とあって、( ゚Д゚)ハァ? となりましたw
ワクチン開発に時間がかかるのなら、多少のリスクはあってもエボラのような血清治療は出来ないのでしょうか?
まーさんさん、コメントありがとうございます。
アメリカでは試験的に導入されるようです。
https://www.dailysunny.com/2020/03/30/20200330/
ワクチンは相当時間がかかるでしょうし、新型インフルエンザのときのように高齢者がワクチン接種で多数死亡したこともあるので、慎重にやるべきだと思います。