東京の新たな感染者が非常に増加しています。しかし、その多くはある病院の院内感染にあります。この病院では100人以上が感染し、7人が死亡しています。東京全体で感染判明者は587人で死亡者16人なので、感染者の2割近く、死亡者の約半分はこの病院関係で起きています。病院での入院者であれば、当然免疫力低下も起きて、高齢者で、基礎疾患を持っているとしても不思議ではありません。このように院内感染が起きると数字が跳ね上がってしまいます。
しかし、日本全体で相変わらず重症者は60人で、1日の死者数は1~3人で推移しています。
韓国の新型コロナウイルスの感染は大邱で感染爆発が起きて、非常に混乱しているように見えましたが、現在はそのころよりもかなり落ち着いています。(図や表はwikipediaより)
(赤色は確定症例のある市郡、緑色は14日間新たな確定症例のない市郡です)
あんなに感染が広まっているイメージがあったのに、韓国全体には広がっていないようです。しかも、首都ソウルでは死者がまだ出ていません。
市 / 道 | 感染 | 死亡 | 備考・参考資料 |
---|---|---|---|
合計(全体) | 9786 | 162 | |
ソウル特別市 | 450 | ||
釜山広域市 | 119 | 3 | |
大邱広域市 | 6684 | 114 | うち1人が釜山、1人が全羅北道で死亡 |
仁川広域市 | 64 | ||
光州広域市 | 20 | ||
大田広域市 | 36 | ||
蔚山広域市 | 39 | ||
世宗特別自治市 | 46 | ||
京畿道 | 476 | 6 | |
江原道 | 36 | 1 | うち1人が慶尚北道で死亡 |
忠清北道 | 44 | ||
忠清南道 | 128 | ||
全羅北道 | 13 | ||
全羅南道 | 9 | ||
慶尚北道 | 1300 | 38 | うち3人がソウル、1人が釜山、6人が大邱、1人が全羅北道で死亡 |
慶尚南道 | 96 | ||
済州特別自治道 | 9 | ||
空港検疫 | 217 |
以前の記事「BCGワクチン接種と新型コロナウイルス死亡率」で書いたようにBCGワクチン接種と新型コロナウイルスとの関係を韓国について調べてみました。韓国では、どうやら1962年にBCGが開始されているようです。(ここ参照)その後、幼児BCGワクチン接種率は劇的に増加し、1965年の1%から1990年までに79%になったようです。
BCGワクチンの株に関しては、2006年までパスツール株から韓国結核研究所(KIT)によって製造されだったようです。ただし、1990年代以降の韓国の自由化された輸入に従って、BCG日本株ワクチンなどの輸入BCGワクチンが導入されています。
2006年の調査ではBCG日本株のハンコ型で接種された割合が64.5%とされています。(ここ参照)
BCGの株について調べてみると、下の図のように系統が分かれています。(図はここより)
韓国のBCGワクチンは図の一番右の下でパスツール株からできています。日本株(左端)はオリジナルに一番近い株で、ロシア株とモロー株も同様です。△のマークはDNAの領域の中でその領域が削除されていることを示しています。日本株などのオリジナルに近い株はRD1のみないのですが、パスツール株は様々な領域が欠けたり、改変されています。細かいことはよくわかりませんが、日本株とパスツール株では大きく違うようです。
そのことがもしかしたら、新型コロナの重症化と関連している可能性はありますが、この20日間近くはずっと1日の感染者が100人前後で、死亡者はずっと10人以下です。(図はここより)
大邱の感染爆発を乗り切った韓国はしばらくこのような状態が続くと思われます。根拠はありませんが、BCGが関係しているとしたら、日本も恐らくこれに近い形になるでしょう。東京が爆発したとしても一時的に感染者が増加しても、死者の数の急増にはならないのではないかと思います。大邱での死亡率は1.7%です。肺炎のウイルスなので特別死亡率が高いとは思えません。
ある記事によれば「大邱市が取った措置と言えば、日常生活でのマスクの着用(2月18日)、幼稚園の休園(2月20日)、全ての集会の禁止(2月26日)、3月9日の新学期開校(3月9日)の2週間延長(3月1日)、不要不急の外出の自制(3月4日)、クラブなど社交場やカラオケ店への営業自制の勧告(3月15日)、自制しない場合の行政命令による集会や集合の禁止措置(3月22日)、教会に対する4月5日までの礼拝中断とジム、映画館、小劇場に対する4月5日までの休業勧告(3月24日)等である。」
ロックダウンが有効とは言えない証拠になるかもしれません。韓国の対策は現在の東京都と比較すると厳しめではあります。そして、韓国の50歳未満の死者は3人(166人中)しかいません。(この記事より)韓国で1965年ではBCG接種率1%ですから、1970年代から接種率が高くなったとしたら、ちょうど計算が合います。ただ、イタリアでも50歳未満の死亡率はかなり低いですが。だから、このことは都合よく考えすぎでしょう。
欧米と比較すると、韓国の感染者数や死亡者数の曲線は全く異なっています。日本は韓国の死亡者の曲線と似ています。
ロックダウンなどしなくても(法的にできませんが)、もう少しすれば東京も落ち着くのではないでしょうか?楽観的過ぎ?BCGが守ってくれている?まだわかりません。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3710928/
一度1988年に完全に国産になってから(切り替えた時のTokyo172のシェアは50%)、90年代徐々にTokyo172が再び増えていったんですね。良かったです。
そうするとピンポイントで韓国の20代の羅患者数が突出しているのとTokyo172vsパスツール株の効力の違いは関連してくるのでしょうか?それとも新天地関係の感染者が20代に多かったのでしょうか?また、具体的な輸入開始年の情報はありますでしょうか?ご存知でしたらぜひ知りたいです!
KFさん、コメントありがとうございます。
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/35907.html
によれば、やはり新天地関係だと思います。「新天地イエス教の信者の中で多くを20~30代の女性が占めているため」と分析されています。
https://hbol.jp/214945
によれば、「昨年、新天地が新規入信者10万人中1000人を無作為に選んで行なったアンケートの年齢構成では20代が550人、30代が120人で若年層が67%を占めていることが判明した。」とされています。
日本株の輸入開始年はわかりません。
そうなんですね。ありがとうございます。
BCGワクチン接種と新型コロナ感染症の関係について非常に興味深く読ませていただきました。日本株のBCGワクチンが人類を救えるならそうあってほしいです。私が他に興味を持っているのがヒト白血球抗原(HLA)と新型コロナの関係です。HLAの型によって感染しやすい人や重篤化しやすい人がいるなら、スーパースプレッダーと呼ばれる特定の感染者の判別、感染爆発の予防になるのではないかと思っています。HLAの型によって特定の病気になりやすいかどうか予想できるようなので、予防のために本来は国民全員が検査していいと思います。倫理的に臓器密売などの問題につながる恐れがあるようですが、そのような話も人類の存続ともなれば仕方がないでしょう。
ゆでたまごさん、コメントありがとうございます。
HLAが新型コロナウイルスと関係していると考える何か情報はお持ちでしょうか?
ただ、それにより感染させやすいとわかった場合、ものすごい人権侵害が起きる可能性があるので、私は調べたくありません。
「Molecular immune pathogenesis and diagnosis of COVID-19」の3.2. Antigen presentation in coronavirus infectionによれば、新型コロナウイルスとHLAの関係については報告が少ないが、SARSとMERSについては感受性に相関する多数のHLA多型が示されているそうです。「日本骨髄バンク登録ドナーにおけるHLA遺伝子頻度,ハプロタイプ頻度」によると北東アジア近隣の国々との比較では、日本は韓国と多くのHLA抗原ハプロタイプを共有しているそうです。コロナ感染症が韓国と同じように治まるならば、BCGに加えてHLAについても関係しているような気がします。ただ個人のHLAを調べることは先生の通り人絹侵害の問題や、私が思うには臓器密売や特定の人種を狙った生物化学兵器の製造につながるので、出来る出来ないの前にやってはいけないことかもしれません。