日本もアメリカも新型コロナウイルスの第2波か?

ここ数日日本の新型コロナウイルス感染者数が以前に比べて大幅に増加しています。もしかしたら、これはすでに第2波なのかもしれません。

京都大学から出された論文によると、日本は新型コロナウイルスの2つのタイプ、S型とL型のうち、S型が中心になってこれまで拡大していました。(実際にはもっと様々なタイプがあります。)

ダイヤモンドプリンセス号の報告を見ると、2020年2月20日現在で、検体採取時に無症状だったのは318人(陽性者619人)であり、51%にもなります。(ここ参照)香港の乗客から感染が拡大したと考えるとしたら、その乗客はS型を持っていた可能性が高いのではないかと思われます。

さらにこの報告ではインフルエンザの流行がこの冬のシーズンに突然弱まったのですが、これについてS型の新型コロナによって誘発されたI型インターフェロンが、インフルエンザウイルスによる感染を妨害した可能性があるのではと考えています。(図は原文より)

 

上の図はそれぞれの都道府県のインフルエンザ報告数のトレンドを表し、数値は2020年3月16日現在の新型コロナのRT-PCRの陽性率(%)です。これを見てみると、新型コロナの陽性率が高い愛知と北海道では、インフルエンザの報告数も多いのです。2019年11月初旬から2020年1月23日まで、中国からの約184万人の観光客が日本へ入国したそうです。その時期にS型新型コロナが認識されてないまま拡散し、それによりインフルエンザの流行を妨げたことを示唆していると考えているようです。つまり、昨年の11~12月にはすでに密かに新型コロナウイルスの感染拡大が広がっていたと考えています。このことに関しては私も同意します。

インフルエンザの減少のタイミングから予測すると、S型新型コロナは2019年12月23日から東京、神奈川、埼玉、広島で広まったことを示唆しています。 そして、2020年1月20日から福岡と新潟で、1月27日から京都、静岡、茨城で、2月2日から和歌山でそれぞれ広がったと示唆されます。

んー。これが正しいとすると、中国人観光客が非常に多い北海道で、なぜ新型コロナが年末年始あたりにそれほど広がらなかったのか、疑問ではあります。また、和歌山などはずっとインフルエンザ報告数が極めて低い状態です。和歌山では2019年11月ごろからずっとS型が蔓延していたのでしょうか?和歌山と言えば2月中旬に病院でクラスターが発生しました。しかし、その時集中的にPCR検査を多数行いましたが、ほとんど感染の拡大は見せていませんでした。つまり、蔓延状態ではなく、上の考えと矛盾します。

上の図は北海道の様々な地区のインフルエンザ様疾患の有病率(横軸)と新型コロナウイルスの陽性率(縦軸)を示してます。札幌以外はきれいに直線を描き、インフルエンザ様疾患が少ない地域ほど、新型コロナ陽性が多くなっています。しかし、サンプル数が非常に少なく、オホーツクは丁度クラスターが形成された地域です。評価は難しいところです。

やっぱり、今年のインフルエンザの少なさと新型コロナウイルスを結びつけるのは、難しいのではないでしょうか?

この論文が言いたいのは、このように日本では年末にはすでにS型新型コロナウイルスが蔓延していることから、すでに多くの人が免疫を持っているのではないか?だから日本では死者が少ないのではないか?ということです。S型とL型ではL型の方が感染拡大スピードが速く、毒性も高いのではないかと考えられています。またS型の方が無症状の割合が高いとも考えられます。しかし、この論文ではSとLで毒性の違いはわからないと言っています。

上の図は様々な国の陽性者数、死亡者数、死亡率、ウイルスのタイプ、S型の割合、感染の推移(最終が3月17日です)を示しています。

フランス、タイ、ドイツ、シンガポールはほとんどL型です。そしてイギリス、ベルギー、ベトナムはほとんどS型です。

では、上の図にある国が現在どのようになっているのでしょうか?(2020年4月4日16時ころの時点)

陽性者数 死亡者数 100万人当たりの死亡者数
フランス 82,165 6,507 100
タイ 2,067 20 0.3
ドイツ 91,159 1,275 15
シンガポール 1,114 6 1
アメリカ 277,522 7,403 22
韓国 10,156 177 3
日本 2,935 69 0.5
オーストラリア 5,550 30 1
イギリス 38,168 3,605 53
ベルギー 16,770 1,143 99
ベトナム 239 0 0

S型、L型ではあまりうまく説明できない気がします。

私自身はいまだにBCG仮説を信じていますが、アメリカはBCG非接種なのに、ヨーロッパほどの死亡率になっていません。それについての仮説は、アメリカは日本と同様にすでに「第2波」ではないかというものです。(図は原文より)

上の図のロサンゼルスの医療センターなどの救急外来にインフルエンザ様疾患で受診した人のものです。Aはインフルエンザのテストの数、Bはインフルエンザのテストで陽性となった割合です。3月のはじめでは20%以上陽性でしたが、すぐに10%前後となり、中旬以降は0%です。

上の図はAはこれまでのシーズンの救急部門に受診したインフルエンザ様疾患の数(割合)です。BはインフルエンザのPCR検査陽性率です。2019~2020年のシーズンは3月からインフルエンザ様疾患が第3のピークを示しています。しかし、その時のインフルエンザ陽性はほとんど0%に近づいています。これが新型コロナウイルスによるインフルエンザ様症状によるものではないかと考えられます。

しかし、その前の段階2019年の10月~11月もほとんどインフルエンザ陽性者が0%に近いのに、それなりの救急部門に受診したインフルエンザ様疾患の数がいます。(つまり新型コロナはアメリカ発かも…?)第1のピークの1月も第2のピークの2月は当然インフルエンザ陽性が多いのですがそれでも25%前後です。ここに恐らくかなりの割合で新型コロナウイルスが混ざっていたのではないかと、私は思います。

日本もアメリカも昨年の段階でS型の新型コロナウイルスが広がっていて、アメリカはそれをインフルエンザと処理していました。感染が広がったS型の毒性はそこまで強くなく、また感染スピードもそこまで早くなく、ある程度ですんでいたのではないかと思います。

日本もアメリカもそのS型で免疫ができる人がそれなりにいたのでしょうが、そこまで集団免疫とはならず、ダラダラと感染拡大が続いていました。そしてアメリカの現在の状態はヨーロッパからのL型新型コロナの第2波に襲われています。しかし、ある程度S型が広がっていたおかげで死亡率がヨーロッパほど高くなっていないのではないかと思います。

日本は中国と韓国からの入国制限を3月9日から始めましたが、その頃にはすでにヨーロッパで急速な感染拡大が続いていました。しかし、ヨーロッパの入国制限が始まったのは19日です。そして、空港の検疫はザル状態で、ほとんどが自己申告であり、自己隔離も本人任せでした。

東京の感染者は3月25日より急増しています。(図はここより)

恐らく、ヨーロッパからの入国者、帰国者がヨーロッパで拡大しているL型の新型コロナウイルスを運んできて、感染が拡大しているのだと思います。

つまり、1月~3月上旬ごろまでに日本で感染拡大していた新型コロナと、現在急増している新型コロナはタイプが違うのであろうと思います。

S型によりくすぶっていた日本国内の感染状況が、ヨーロッパからのL型の拡大で一変する可能性があります。S型で免疫ができていない人を中心に大きく感染が拡大するでしょう。

感染者は爆発的に増加しますが、死亡率はL型なので今よりは増加するのでしょうが、イタリアのようにはならないと思います。(願いを込めて)それはやはりBCGによるのではないかと思います。上の論文の各国のS型、L型を見たときにタイもシンガポールもL型100%です。そうであるのにこれらの国の死亡率はタイとシンガポールではフランスの100分の1以下です。また、BCGを全くやっていなかったイタリアでは100万人当たり243人の死亡率です。フランスの2倍以上です。

BCGをやっていないベルギーは上の論文の中では14人の死亡者です。S型100%です。しかし、現在では1,143人に急増しています。100万人当たりの死亡者数も99人です。フランスと同程度です。恐らくベルギーでは現在L型が急増しているのではないかと思います。

S型はただの風邪、L型はこれまでよりも症状が強いかもしれません。重症化率は大きくは違いがないのではないかと思います。(あくまで率です。人数は感染者が増えれば増加します。)現在状況の悪いスペインの死亡者と重症者を足した数の割合は陽性者の15%です。残りは無症状、軽症、中程度の症状です。

イタリアのデータでは以下のようです。(wikipediaより)

 
分類 感染者 死者 致死
率(%)
(%) (%)
すべて 94,312 (100.0) 10,026 (100.0) (10.6)
性別 男性 52,206 (57.0) 6,930 (69.1) (13.3)
女性 41,549 (43.0) 3,083 (30.8) (7.4)
年齢 90以上 3,573 (3.8) 939 (9.4) (26.3)
80〜89 14,186 (15.0) 3,984 (39.7) (28.1)
70〜79 17,464 (18.5) 3,456 (34.5) (19.8)
60〜69 16,395 (17.4) 1,162 (11.6) (7.1)
50〜59 18,678 (19.8) 369 (3.7) (2.0)
40〜49 12,084 (12.8) 89 (0.9) (0.7)
30〜39 6,523 (6.9) 20 (0.2) (0.3)
20〜29 3,830 (4.1) 2 (0.0) (0.1)
10〜19 766 (0.8) 0 (0.0) (0.0)
0〜9 589 (0.6) 0 (0.0) (0.0)
n / d 224 (0.2) 5 (0.0) (2.2)

およそ死者の74%が70歳以上です。死者の平均年齢78歳、男性69.2%女性30.8%とかなりの性差があります。死者の入院時の基礎疾患の数では、既存の疾患が0の患者2.1%、既存の疾患が1つある患者21.6%、2つの既存の疾患を持つ患者24.5%、既往症が3つ以上ある患者51.7%となっています。

各年代の死亡率の中国とイタリア、スペインの比較です。

0~9歳 10~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70~79歳 80歳以上
中国 0 0.2 0.2 0.2 0.4 1.3 3.6 8 14.8 2.8 1.7
イタリア 0 0 0.1 0.3 0.7 2.0 7.1 19.8 27.7 13.3 7.4
スペイン 0 0.2 0.2 0.3 0.4 1.0 3.2 10.6 22.5 8.6 4.8

40代以降、特に60代以降でイタリアでは大きく死亡率が高まっています。若者ではやはりどの国でも死亡率は低いようです。イタリアとスペインの違いはスペインが一時期BCGを行っていたことと関係しているのかもしれません。上の表の数字はあくまで死亡率です。数が増えれば同じ死亡率でも人数は増えてしまいます。

悲観的には思いたくありませんが、恐らく日本はすでに新型コロナウイルスの「第2波」に襲われているのではないかと思います。第1波よりも強力です。1日の感染者数1,000人は目の前でしょう。私自身は大丈夫だとは思っています(50代の死亡率1%の中には入らないとは思っています。)が、わかりません。見えないウイルスが相手ですから。ハイリスクの基礎疾患や高齢者の方、特に男性はこれまで以上に注意が必要かもしれません。

 

「Epidemiological Tools that Predict Partial Herd Immunity to SARS Coronavirus 2」「SARSコロナウイルス2に対する部分的な群の免疫を予測する疫学的ツール」(原文はここ

「Community Prevalence of SARS-CoV-2 Among Patients With Influenzalike Illnesses Presenting to a Los Angeles Medical Center in March 2020」

「2020年3月にロサンゼルスの医療センターを訪れたインフルエンザ様疾患の患者におけるSARS-CoV-2の地域有病率」(原文はここ

4 thoughts on “日本もアメリカも新型コロナウイルスの第2波か?

  1. コロナウィルス肺炎の蔓延、長期間に及んでいて冷静を保つのも難しく
    (正確な情報が少な過ぎると感じます。新型で謎の多い肺炎ではあるのでしょう)
    手っ取り早く、ストレスを解消するための悪者探し情報も蔓延しているように感じます。

    日本ではランニングは不要不急の外出からは除外されているようで、その点は良かったです。

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      絶対感染したくない、というのは無理な話です。ストレスは免疫力を低下させますし、適度な運動は非常に良いと思います。

  2. 糖質制限をしていますので死ぬことは無いと思うのですが、個人事業主なので感染→経済的な死になります。無理を承知で絶対に感染するわけにはいかないのです。

    コロナに感染していて、インフルエンザの検査でインフル陽性となることはあるのでしょうか?それともコロナとインフルをセットで感染ということなのでしょうか?

    1. まーさん、コメントありがとうございます。

      新型コロナウイルスに感染してインフルエンザに感染していない場合、インフルエンザ陽性となることはありませんが、同時感染はないとは言えません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です