以前の記事「LDLやHDLは免疫システムの一部である その1」「その2」「その3」と書いてきましたが、シリーズの「その4」です。今回は感染症の死亡率との関連です。
末期の腎疾患では心血管イベントが36倍にも増加するそうです。(ここ参照)にもかかわらず、LDLコレステロールや総コレステロールを下げる無作為化比較試験では、死亡率の有意な改善は示されていません。
今回の研究では慢性透析患者37,250人を対象に、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪と心血管疾患による死亡と感染による死亡の関係を分析しています。透析患者の死因の第2位は感染症です。
その結果、LDLコレステロールも中性脂肪も心血管死亡とは関連せず、HDLコレステロールはCVリスクの低下と関連していました。
上の図は感染症による死亡と脂質との関連を見たものです。1の線よりも右の方が、そのパラメータが高いほど死亡率が高く、1の線よりも左側にあると、そのパラメータが高いほど死亡率が低くなることを示しています。様々なモデルに関しては省略します。そうすると、LDLコレステロールが高いほど感染症関連死亡率が25%程度有意に低くなりました。HDLコレステロールが高いほど感染症関連死亡率が50%程度低くなりました。
LDLコレステロールとHDLコレステロールが高いほど、感染症や心血管疾患以外の原因による死亡リスクも低くなりました。
もちろん、この研究は慢性腎臓病の人のものであり、その他の疾患にそのまま当てはまるというものではありません。しかし、LDLコレステロールやHDLコレステロールなどのリポタンパク質が免疫システムの一部である証拠にもなると思われます。当然、我々のリポタンパク質は体を傷つけるために存在しているわけではありません。重要な役割があります。
以前の記事「LDLコレステロール値が低いと、驚くほど発熱、敗血症および悪性腫瘍の発生リスクが高くなるかもしれない」で書いたように、LDLコレステロールが低いと発熱や敗血症といった感染のリスクを大幅に増加させる可能性があります。
LDLコレステロールを強力に低下させるPCSK9阻害薬は上気道感染などの感染症を増加させると言われています。
免疫を保つためにもLDLを下げるべきではないと思います。さらにHDLはもっと下げるべきではありません。
「Lipid levels are inversely associated with infectious and all-cause mortality: international MONDO study results」
「脂質レベルは感染性および全死因死亡率と反比例する:国際MONDO研究結果」(原文はここ)
「免疫を保つためにもLDLを下げるべきではないと思います。さらにHDLはもっと下げるべきではありません。」
これだけ明確な根拠を示したとしても、
「何言っとるんだ!君は?」で片付ける、
偉い専門医の先生もきっといらっしゃるのでしょうね。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
LDLコレステロールを悪玉として扱わなければ、専門医の先生は商売になりませんから。