以前の記事「新型コロナウイルスと糖尿病 その1」では、糖尿病の新型コロナウイルスのリスクについて書きました。
新型コロナウイルスが細胞に侵入するとき、ACE2(アンジオテンシン変換酵素II)受容体を介していると考えられています。(「新型コロナウイルスとタバコ」参照)
先日に発表された論文(プレプリント)で、新型コロナウイルスのクリアランスに悪影響を及ぼす要因を分析しました。その結果、年齢の増加、男性、およびACE2に関連する要因(高血圧、糖尿病、心血管疾患など)は、ウイルスのクリアランスに悪影響を及ぼしました。さらに、高血圧、コルチゾン治療、性別、および年齢が4つの最も重要な変数として指摘されました。つまり、高齢の男性、ACE2の高発現に関連する疾患を持つ患者は、新型コロナウイルス感染の予後が悪いと結論付けています。
糖尿病の新型コロナウイルスに対する感受性を高める可能性のあるメカニズムには、ウイルスのクリアランスの低下以外にも、親和性の高い細胞結合と効率的なウイルス侵入、免疫機能の低下、過剰な炎症とサイトカインストームに対する感受性の増加、もともとの心血管疾患の存在などが考えられます。
糖尿病はACE2発現を増加させると考えられています。肺胞、心筋、腎臓、膵臓でのACE2発現の増加は、新型コロナウイルスが細胞への結合増加に有利に働く可能性があります。動物実験上ではグルカゴン様ペプチド– 1(GLP-1)アゴニスト(リラグルチド)やチアゾリジンジオン(TZD:ピオグリタゾン)などの糖尿病薬、ACE阻害剤などの降圧薬、スタチンはACE2を増加させるとされています。またイブプロフェンもACE2を増加させると考えられています。これらの薬剤の人間への影響はまだ不明です。
さらに、糖尿病ではウイルスが体内に侵入しやすくするタンパク質であるフューリンのレベルが上昇します。
高血糖はレニンアンギオテンシンアルドステロン系(RAAS)の調節異常をきたし、過剰に活性化します。ACE2はRAASに重要な役割を持っています。また、RAASには性差が認められています。
恐らく、高血糖はRAASを活性化し、肺をはじめとして様々な臓器のACE2発現を増加させ、新型コロナウイルスの侵入を促進し、さらにウイルスのクリアランスも低下させ、重症化をもたらしているのではないかと考えられます。
高血糖はいつの場合でも糖質制限で避けるべきでしょう。
「Hypertension and Diabetes Delay the Viral Clearance in COVID-19 Patients」
「高血圧と糖尿病は新型コロナウイルス患者のウイルスクリアランスを遅らせる」(原文はここ)
「COVID-19 Pandemic, Corona Viruses, and Diabetes Mellitus」
「新型コロナウイルスパンデミック、コロナウイルス、および糖尿病」(原文はここ)
冷静に考えれば、(正しい)糖質制限はメリットばかりでデメリットは無いことは明らかですね。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
外出自粛でカップラーメンなどを買いだめしている方たちを見ると心配になります。
緊急事態宣言下でも糖質制限ですね。