ヨーロッパのロックダウンは効果なし? 日本はまだ続ける?

2020年5月1日に専門家会議が状況分析・提言を行いました。

その内容を見てみましょう。(ここ参照)

まずは東京。「4月9日には250名近く。直近では100名を下回る。減少傾向にあるが、増加する際のデータの立ち上がりに比べれば、減少するスピードは緩やか。
東京では、夜間の接待を伴う飲食店における感染者は著減。一方、院内・施設内感染や家庭内感染の割合が増加。ちなみに、4月1日時点の直近7日間の倍加時間は2.3日。5月1日
時点の直近7日間の倍加時間は3.8日だった。

次に全国です。

4月10日前後は700人近く。直近では200人程度。しかし、減少のスピードは、3月20日過ぎから生じた発症者数の急増のスピードに比べれば、緩やか。全国データの減少が東京より鈍い理由としては、大都市圏からの人の移動により、地方に感染が拡大し、感染の縮小のスピードが、東京に比べて鈍い。

という分析です。東京も全国も発症者数の急増スピードに比べて、減少スピードが緩やかであり、「減少はしているが期待したほどではない」と会見で発表しているように、接触機会の「8割削減」が達成されていれば、もっと勢いよく減少すると「期待」していたことになります。しかし、世界中で日本よりより強いロックダウンを行っているどの国を見ても、急増スピードよりも減少スピードはかなり緩やかです。(下の図参照。上は陽性者数、下は死者数。図はここより)

人間や感染は数字で表せたり、計算で正確に導き出せるものではありません。数理モデル自体が机上の空論なのです。それを証明したことになります。

上の図は東京都全国の実行再生産数(一人が何人に感染させたか)ですが、3月の終わりごろから4月初めにかけてほぼ1になっています。これは初めて今回データが出てきましたが、このデータを知っている専門家会議の数理モデルの専門家は、緊急事態宣言後に、「何もしなければ42万人死亡する」、と言っていたわけです。その時の再生産数は2.5で計算をしているのです。あまりにもその時の実態とかけ離れたことを平気で国民の前で言っていたのです。ある意味国民をだましていたとも言えます。自分はデータを持っているのに、そのデータを出さず、恐怖だけ煽っていたと思います。

また、8割削減がもはや「目的」と化した専門家にとって、8割クリアが最低条件のようにも見えます。分析で、「渋谷駅や難波駅のような地域では年齢群によって達成状況が相違。30歳台以上の生産年齢人口の接触頻度の減少率は8割に達していない。」と言っていますが、駅の接触が8割減少すれば、どこの場所でも、どのような状況でも8割減とみなせるのでしょうか?地方の都市なんてもともと人が少ないところもあります。そんなところではもともと人が密集していませんし、8割削減はできません。

東京の分析のところで、「院内・施設内感染や家庭内感染の割合が増加」と言っています。医療現場や介護の現場は接触8割減というのは困難でしょう。そのような場所で感染が拡大するのは当然でしょう。さらに。「stay home」と家族を家に閉じ込めて、余計に家庭内感染の機会を作りだしている可能性もあります。駅の接触を減らしても、本当に感染拡大が低下できているか、何の証拠もありません。8割減ということ自体にも証拠はありません。ただの計算です。

専門家会議の他のメンバーはこのような異常な計算ではじき出された数値を、黙って認めているのもおかしな話です。8割削減と言っているのは日本だけでしょう。人間の行動を数値化できるものではないことは他の国はわかっているのでしょう。

最近出された研究(プレプリント)は、イタリア、フランス、スペイン、イギリスで適用された完全ロックダウン戦略の影響を評価しています。 私はこのような分野の専門家ではないので、的外れな考えをしているかもしれません。間違った解釈をしているかもしれません。しかし、現在得られる数値で考えれば、ロックダウン自体が本当に有効なのかどうかは疑問です。

数理モデルを使い、ロックダウンの影響を予測することは可能でしょう。しかし、現実は違っているようです。本来であれば、ロックダウンする場合としない場合で比較できれば良いですが、現代の人類としてほぼ初めての経験なので、根拠も非常に乏しい中、どの国もロックダウンしてしまったのです。

多くの国のロックダウン(都市封鎖)は、外出に許可が必要だったり、外出することで罰金が取られたりする国もあります。銃を持った警察が見回りをしている国もあり、日本と違い厳重なロックダウンです。

一方オランダのロックダウンは、そのルール内であれば多少は外出でき、人々は完全に家に閉じ込められず、それぞれ個人の判断で、最低限の外出をし、散歩やマラソンなどでストレス発散をしながら、ロックダウンに近い状況を過ごしています。ソーシャルディスタンスのルールはあります。しかし、自主性が重んじられています。

ロックダウンという強硬な手段の選択は、それを行わなかった場合よりも多くの命を救う場合にのみ適切と考えられます。(図は原文より)

 

上の図は再生産数の推移です。オレンジの線がロックダウンした時です。フランス、イタリア、スペイン、イギリスのすべての国で、ロックダウン前から再生産数の減少は起きており、その傾向はロックダウンしてからも大きく変化していないように見えます。つまり、ロックダウンするかなり前から減少しており、ロックダウン後の推移はその前の延長線上にしかないのです。ロックダウンで急に減少したわけではありません。

 

上の図はフランス、イタリア、スペイン、イギリスの毎日の死亡数の増加率の時間変化です。 オレンジ色の線は、ロックダウンの開始日を示しています。 オレンジ色の網掛け部分は、ロックダウンが感染の拡大に何らかの影響を与える時期(14〜20日)を表しています。これもロックダウンの前からの減少の傾向をそのまま引き継いでいますが、その傾きは、完全にロックダウン後のフランス、イタリア、スペインで減少してしまい、イギリスでは一定のままであることがわかります。フランス、イタリア、スペイン、イギリスのこの減衰傾向をオランダと比較すると、オランダの減衰傾向は、ロックダウン前のフランスやスペインよりもわずかに遅く、イタリアやイギリスとほぼ同じであるようです。 そして4か国ともに、ロックダウン後の減衰傾向は、オランダの傾向よりも遅くなっているようです。

上の図は死亡者の倍加時間(死者数が2倍になる時間)です。 緑の太い点線は、ロックダウン前の推移で予想されたものです。青い点は実際の死者数です。ロックダウンが非常に有効であれば、倍加速度はどんどん長くなり、緑の線のようになると予想されるのですが、実際にはロックダウンの効果が表れる14~21日後以降で、減衰スピードが落ちています。

上の図は毎日の死亡数です。 緑の点線は、ロックダウン前の推移に基づいて予想されるものです。実際の死者数はこれまでの図と同じように、予想とは違い、急激に減少するわけではなく、非常に緩やかに減少しています。

上の図は総死亡者数です。ロックダウン後も予想通りに死者数は増加していますが、予想では効果が表れる14~21日後以降になっても増加し続け、予想の緑の線をはるかに上回る死亡者数となっています。

上の図は10か国の感染の拡大の時間推移の比較です。 時間基準は、各国の死者総数が100に達した日になるように選択されています。細かいことは省略しますが、フランス、イタリア、スペイン、イギリスでも、オランダでも、そしてロックダウンしていないスウェーデンでも同じような推移です。逆に言えば、完全なロックダウンに社会的距離の対策を上回る効果がほとんどないことを示しています。

つまり、ロックダウン前の、より制限の少ない、社会的距離を隔てる対策と比較して、完全なロックダウン戦略によって命が救われなかったことを示唆しています。完全に封鎖された国と社会的距離のみを適用する近隣諸国との間での感染の拡大を比較すると、家の中に封じ込めることを行うことの影響がないということになります。これまでのところ、ソーシャルディスタンスと手洗いが恐らく感染拡大を減少させる可能性がありますが、季節や気温などの環境条件も役割を果たす可能性があります。

日本はヨーロッパと比べ物にならないくらい死者数が少ないのです。「stay home」ではなく、自主的に社会的距離をあけることで十分でしょう。欧米と同列で考える必要はありません。

ロックダウンをはじめとして、日本の外出自粛を含めて、経済的な死亡率の増加、孤立に関連する精神状態の悪化など予想されます。特に子供のメンタル面が非常に心配です。それについては考慮されずに日本も自粛延長を決めています。感染終息が少し長くなったとしても、経済を殺す方が問題でしょう。そして、このロックダウンの研究のように、今の対策が本当に死者数を減らすという根拠は存在していません。逆に外出自粛を行うことで、十分な太陽を浴びられず、ストレスを溜め、免疫力が大きく低下することさえ危惧されます。みんな自主性を持って、太陽を浴びましょう。それが人間ですから。それでも日本はあと1か月程度の緊急事態宣言延長を行うのでしょうか?

 

神戸大学の岩田健太郎教授のところが、神戸市で新型コロナウイルスの抗体検査をやったところ、1,000のサンプルで33のIgG陽性があり、3.3%でした。この数字を神戸市の人口に当てはめると、IgG陽性の人の数は50,123人と推定されるそうです。この数は、神戸市でのPCR検査陽性者の396〜858倍でした。(その論文ここ

つまり、知らないうちに検査陽性者の数百倍の人が感染をこれまでに経験していたことになります。こんな状況でクラスター対策が機能するとは思えません。妄想です。いつまでクラスター対策に固執しているのでしょうか?

そういえば、政府も東京都内と東北地方で500検体ずつ献血血液の一部を抗体検査して、5月1日にも初回の結果を公表する、としていました(ここ参照)が、もうその5月1日は過ぎました。どうなったのでしょうかね?また、データを隠しているのでしょうか?欧米諸国がどんどんデータを提供するのと日本は大違いですね。

 

「Full lockdown policies in Western Europe countries have no evident impacts on the COVID-19 epidemic」

「西ヨーロッパ諸国の完全な封鎖政策は、COVID-19の流行に明白な影響を及ぼしていない」(原文はここ

5 thoughts on “ヨーロッパのロックダウンは効果なし? 日本はまだ続ける?

  1. 先生のブログ、毎日楽しみに拝見させて頂いております。
    気になりましたので、、
    抗体検査をしたのは神大ではなく、神戸市立医療センター中央市民病院ではないでしょうか?

    1. イノウエさん、コメントありがとうございます。

      抗体検査が行われたのは、確かに神戸市立医療センター中央市民病院です。神戸大学病院だとは書いていませんし、内容に問題は無いですが・・・
      神戸大学の岩田先生がかかわったチームでの報告だと思っていますが?

  2. 本当にロックダウンは効果があるのか?疑問に感じます。とりわけ、フランス滞在中の3月17日にロックダウンに遭遇し、慌てて帰国したこともあり、罰則付きの厳しい行動制限措置がどのように効果をもたらすか注目してましたが、感染者、死亡者共になかなか減少しませんでした。結局、期待するような効果はなかったと言うべきと思います。
    翻って、ヨーロッパと比べ著しく死者の少ない日本では、すでに感染者数が減少し始めてから(?)行動変容を求めましたが、期待したほど効果がなく、さらに延長するとのこと。もう、勘弁して欲しいと言うのが本音です。特に、学校は早急に再開して欲しいですね。コロナ関連死も報じられています。献血を利用した抗体検査はどうなったのでしょう?TVでは期間を開けて何回か調べるとの話も聞きました。
    長い戦いになるそうですが、対応した戦略を聞きたいです。無理かな?

    1. Kazuさん、コメントありがとうございます。

      国はもう1か月延長すると言っているのに、追加の支援もありません。これまでの支援さえ全く不十分なのに。
      恐らく国民がいくら死んでも痛くも痒くもないのでしょうね。
      本当に献血の抗体検査どこに行ってしまったのでしょうか?
      とにかく日本はデータが出てきません。

  3. 私の読解不足でしたかね。
    お気を悪くさせるつもりは全くありませんでしたが何だか出過ぎたコメントだったようですみませんでした。

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