心臓の冠動脈のプラークを増加させるのはLDLコレステロールではない その2

以前の記事「心臓の冠動脈のプラークを増加させるのはLDLコレステロールではない その1」ではアテローム動脈硬化症のプラークと糖尿病の関係について書きました。

アテローム性動脈硬化症の最も重篤な症状である急性冠症候群(ACS)は、主にプラーク破裂によって引き起こされる急性冠動脈血栓症によって主に引き起こされます。脆弱で破裂しやすいプラークの特徴は、大きな脂質壊死コア、プラークの上にある薄い線維性被膜、まだらな冠動脈の石灰化、高密度のマクロファージ浸潤などです。これらの脆弱なプラークは、薄い線維性被膜で覆われた不安定なプラーク(TCFA)とも呼ばれ、プラーク破裂の前段階と考えられています。プラークの安定性の最も重要な要素は、線維性の被膜の厚さです。つまり、薄い被膜は厚い被膜よりも破裂しやすくなります。(ここ参照)

今回の研究ではインスリン抵抗性とプラークの状態について調べています。145人の病変の確認された急性冠症候群を対象に、インスリン抵抗性を示すHOMA-IRの値により4つ群に分けました。

その結果、薄い線維性被膜で覆われた不安定なプラーク(TCFA)を認める割合は4つの群間で有意に異なっており、HOMA-IRが最も低い群で17.5%、2番目の群が17.9%、3番目の群が35.0%、最もHOMA-IRが高い群が55.0%でした。

最小の繊維性被膜の厚さはHOMA-IRと逆相関しており、HOMA-IRが最も低い群で141.35µm、2番目の群が142.82µm、3番目の群が102.14µm、最もHOMA-IRが高い群が96.00µmでした。

まだらな冠動脈の石灰化を認める割合も4群間で有意に異なっていました。HOMA-IRが最も低い群で5.9%、2番目の群が17.6%、3番目の群が32.4%、最もHOMA-IRが高い群が44.1%でした。

HOMA-IRが最も低い群と比較して、HOMA-IR値が上昇した人では、マクロファージ浸潤を示す割合も高くなりました。

つまり、インスリン抵抗性の増加はプラークの脆弱性と大きく関連していると考えられます。

他の研究でも、HOMA-IRが2.5より高い人に薄い線維性被膜で覆われた不安定なプラーク(TCFA)を認める可能性は3.5倍以上であると結果もあります。(ここ参照)

もちろん、これらの研究はプラークそのものの大きさではなく、プラークの脆弱性との関連を示しています。しかし、死に至る可能性のあるプラークの破裂による急性冠症候群は、インスリン抵抗性と大きく関係しているのです。

やはり糖質制限が必要です。心血管疾患は糖質過剰症候群です。

 

「Association Between Insulin Resistance and Coronary Plaque Vulnerability in Patients With Acute Coronary Syndromes: Insights From Optical Coherence Tomography」

「急性冠症候群患者におけるインスリン抵抗性と冠動脈プラーク脆弱性との関連:光干渉断層法からの洞察」(原文はここ

 

2 thoughts on “心臓の冠動脈のプラークを増加させるのはLDLコレステロールではない その2

  1. 会社の上司が黒酢ドリンク紙パック入りを勧めてきて、ありがたく頂いてます、
    が飲んではいません。
    酢は製品によって糖質制限摘にも善し悪しでしょうが、
    甘味料「スクラロース」「ガラクトオリゴ糖液糖」入りで125mlパック、炭水化物6.5gです。

    親が糖尿病関連でお亡くなりになり、予防に気を付けておられる、とのこと。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      まあガラクトオリゴ糖を含んでの炭水化物6.5gなら、1食をこのドリンクに変えても問題ないと思います。

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