みなさんの血液検査データ2020 集計 その7 LDLコレステロール値は直接法?計算法?

現在、みなさんの血液データを集計分析していますが、思ったことがあります。

これまでの集計結果は→「その1」「その2」「その3」「その4」「その5」「その6

まずは「その3」ではLDLコレステロール値220以上をひとまとめにしていたので、300まで範囲を広げたグラフを示します。

女性のほうがかなりばらけていますね。

ところで、データをいろいろ見ていたところで、VLDLコレステロールを計算しようと思いました。一般的には中性脂肪を5で割るとVLDLコレステロール値を推測できると考えられていますが、私はそう思っていません。とりあえず総コレステロールからLDLコレステロールとHDLコレステロールを引いてみました。その残りはVLDLコレステロール+レムナントコレステロールとなるはずです。それを計算してみると、なんと5人の方は0になってしまいました。おそらくその方が総コレステロール=LDLコレステロール+HDLコレステロールと思い込み、自分で計算して入力してしまったのではないかと思います。

さらに不思議なことにVLDLコレステロール+レムナントコレステロールの計算の結果がマイナスになる人が4人もいたのです。これはLDLコレステロール値が直接法で測定されている証拠であり、結構な誤差があるのではないかと考えました。

そこで、血液データに入力されたLDLコレステロール値とFriedewald推定式の値を比較してみました。

Friedewald推定式:

LDLコレステロール=総コレステロール-HDLコレステロール-中性脂肪/5

であらわされます。式で求めた値は四捨五入などをする場合もあるので、入力されたLDLコレステロール値と計算法の値が0または1未満の場合は、計算法でLDLコレステロールを求めたものと判断しました。そうしたところ、91人中14人(15.4%)が計算法でLDLコレステロールを求めていました。つまり85%近くは直接法でLDLコレステロールを測定していることになります。結構思ったよりも高い割合でした。

LDLコレステロールの直接法と計算法で相関を分析してみると、次のようになりました。

相関係数=0.976です。直接法と計算法は非常に相関していることがわかります。実際の差はどうでしょうか?

多くの人がマイナスなので、直接法よりも計算式のほうが高い値が出ていたことになります。糖質制限をすると中性脂肪値が低下しますので、非常に低い中性脂肪だと計算式では高めに出ると言われています。そこで「糖質制限とLDLコレステロール上昇4」にも書いたIranianの式で計算してみました。

LDLコレステロール=総コレステロール/1.19+中性脂肪/1.9–HDLコレステロール/1.1–38

その結果は以下のようです。

相関係数は0.900とFriedewald式よりも悪くなってしまいました。実際の差は以下のようです。

今度は多くの人がプラスなので、直接法よりも計算式のほうが低い値が出ていたことになります。直説法の精度は以前よりは上がっていると思います。糖質制限をしている場合、直説法と比較して、計算法では従来の計算式では多くの人が高めの値が出てしまいます。しかし、それをIranianの式で計算すると低めに出てしまいます。

いずれにしても私はLDLコレステロール値は気にしていませんので、どんな方法でも良いと思いますが、直説法と計算法では20以上の差があることも珍しいことではないということです。ある研究では、中性脂肪値が非常に低値の場合では非常にばらつきが大きくなることが示されています。

日本動脈硬化学会のQ&Aでは、いまだに直説法の精度の問題を言及しています。実際のところどうなんでしょうか?

「一般健診におけるLDL-C(直接法,F式法)を用いた脂質代謝異常判定の問題点」(原文はここ

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