減塩食品があるのに増マグネシウム食品はなぜないのか?

フルマラソン後のこむら返りに対してコメントをいただきました。

こむら返り、筋肉の痙攣ですよね。医学の知識はないですが、理系の人間ですので、コメントさせてください。
最近、マグネシウムについて勉強して、サプリも試しています。
1)マグネシウムを摂るようになって、足がつらなくなった。
→筋肉の収縮と弛緩を適正にするには、カルシウムとマグネシウムの比率が重要。Caと拮抗するMgですね。
2)上の血圧が10下がった。毎月献血に行っているが、120以下になった。
→血流が良くなるのでしょう。なぜですかね?
3)Mgは他の体内反応に必要なので、他にも好影響はあると思う。
4)エプソムソルトを入浴剤にしてます。(これも血流がよくなると思います)
 食添なので、水分補給に添加したら、翌日お腹がゆるくなることがあった。何回かやった後気づいて、(酸化Mgや)クエン酸Mgに変えたら、大丈夫でした。
多少の失敗はあるが、自分で試してみるのがいいと思ってます。

食品からMgを十分量摂るのは大変なので、安価ですむサプリもよいです。

 

マグネシウム大事ですね。こんな大事な栄養素、ミネラルなのに、なぜ医療ではあまり強調されないのでしょうか?患者さんにもマグネシウムを積極的に摂るようにアドバイスしても、ほとんどの人はキョトンとしています。これまで病院などでアドバイスを受けたことがないのでしょう。マグネシウムの難しいところは、不足しているかどうかは通常の血液検査で評価できません。まずは異常値になりません。血中に存在するマグネシウムは総マグネシウム量の1%未満と言われています。

筋肉のけいれん、こむら返りにも恐らくマグネシウム不足が関係していると考えられています。他にもナトリウムや水分の不足も関連しているかもしれません。日常でこむら返りを起こす場合は恐らくマグネシウムが最も関係していると思っています。患者さんにマグネシウムを意識して摂取してもらうと改善することが多いです。全身のいたるところが攣る患者さんにマグネシウム摂取をアドバイスしたところ、ほとんどの攣らなくなりました。医療行為も薬もなく症状が改善するなんて、食事はやはり最強でしょう。

ただ、フルマラソンの後のけいれんは、マグネシウム不足だけかどうかはわかりません。私自身の経験では、フルマラソンのレース後は毎回両下肢の酷いけいれんを起こしますが、フルマラソンの2倍以上走る100kmのウルトラマラソンではけいれんを起こしません。不思議です。筋肉に対する負荷のかかり方によって何かが違うのかもしれません。また、フルマラソンのレース後、数時間何も食べなかったのですが、レース直後はけいれんが続いたものの、1時間もしないうちにけいれんは落ち着きました。筋肉のけいれんのオン、オフは何が行っているでしょかね?

マグネシウムは血圧にも影響します。コメントをいただいた方も血圧が10程度低下したそうです。血圧を下げる薬でカルシウム拮抗薬という種類の薬がありますが、マグネシウムも同様のメカニズムで血管平滑筋の弛緩と血管拡張が引き起こされると考えられています。

マグネシウムの十分な摂取は血圧低下をもたらす可能性があります。しかし、食事だけではなかなか血圧低下が得られるほどのマグネシウム量は難しいかもしれません。ほとんどの研究ではマグネシウムのサプリメントで300㎎以上補給することで血圧低下を示しています。もちろんどれも糖質過剰摂取状態の研究です。

あるメタアナリシスでは、ナトリウム摂取量を1.2~5.7g/日に減少させ、塩分摂取量で2~9.6g/日減少させた結果は、血圧低下効果は、収縮期血圧で-0.7~-8.9mmHgの範囲であり、 拡張期血圧は0.03〜-5.9mmHgでした。

一方、マグネシウムサプリメントでは、マグネシウムの120〜1006mg/日の摂取の結果では、収縮期血圧は-0.2~-18.7mmHgの範囲で減少し、拡張期血圧は-0.3~-10.9mmHgの範囲で減少しました。

なぜか世の中の食品業界や医療の世界では塩分制限ばかりに偏っています。減塩食品は数えきれないほど発売されているのに、増マグネシウム食品は存在しません。何か意図があるのでしょうか?もちろんマグネシウムの過剰摂取は問題になる可能性がありますが、通常は過剰摂取しても排泄されますし、多くの人が不足しているので、増マグネシウム食品はあっても良いと思います。

マグネシウムはインスリン抵抗性とも関連していることを考えると、糖質制限ではマグネシウム不足を生じにくい可能性はあります。糖質過剰摂取、インスリン抵抗性がマグネシウム濃度を低下させると考えられます。高インスリン血症や高血糖の糖尿病患者ではマグネシウムの尿細管再吸収が減少し、低マグネシウム血症につながると考えられています。(ここここ参照)

マグネシウムは不足しやすい栄養素です。水に溶けだしやすいからかもしれません。意識して摂取するようにしましょう。

 

「The Effect of Electrolytes on Blood Pressure: A Brief Summary of Meta-Analyses」

「電解質が血圧に及ぼす影響:メタ分析の簡単な要約」(原文はここ

One thought on “減塩食品があるのに増マグネシウム食品はなぜないのか?

  1. 投稿記事に載せていただきありがとうございます。
    批判されるのではないかと、ちょっとビビってました。
    糖質制限はちょっとだけやってます。
    昼食はなし、ナッツなど。朝晩のごはんは茶椀で小、なるべく蛋白おかず多め。
    体重は63kgから60kg弱になり、お腹の皮下脂肪もだいぶ薄くなり、
    体脂肪は20%から12%くらいになりました。でも血圧は130以上で変化なし。
     Mgを摂り始めたら短期間で下がりました、体内濃度がかわるので即効性がありますね。
    知り合いから糖尿病などいろいろ聞いていますので、少しずつでも紹介していきたいと考えています。
    清水先生、これからも情報発信お願いします。

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