尿漏れする前に糖質制限

尿漏れの有病率は女性では20%~40%以上とも言われています。糖尿病は、尿漏れ(尿失禁)のリスクの増加と関連しています。しかし、糖尿病が原因で尿漏れを起こすのでしょうか?

今回の研究では、糖尿病の人と、糖尿病予備軍の人と空腹時血糖が正常の人とを比較しています。対象は1,461人の妊娠していない成人女性です。1,461人の女性のうち、17%が糖尿病(空腹時血糖値126mg/dL以上)で、11%が空腹時血糖異常(糖尿病予備軍(前糖尿病):空腹時血糖が100mg/dL〜125mg/dL)の基準を満たしていました。(表は原文より改変)

正常空腹時血糖異常糖尿病*
人数1,051164246
 週1回以上の尿漏れ(%)16.833.435.4<0.001
 週1回以上の切迫性尿失禁(%)7.724.626.4<0.001
 週1回以上の腹圧性尿失禁(%)14.431.230.2<0.001
 厄介な尿漏れ(%)18.224.731.30.01
 日常生活に影響を及ぼす尿漏れ(%)4.914.012.6<0.001

上の表は空腹時血糖値のグループ別の尿漏れの有病率です。正常な空腹時血糖の人と比較して、糖尿病の人だけでなく空腹時血糖異常の糖尿病予備軍でも大きく尿漏れが多くなっています。

空腹時血糖異常のみ糖尿病のみ合計
オッズ比(95%CI)オッズ比(95%CI)オッズ比(95%CI)
糖尿病の合併症
 アルブミン尿
  無し1.01.01.0
  微量アルブミン尿7.45(1.59–34.98)0.98(0.36–2.71)1.71(0.60〜4.87)
  マクロアルブミン尿3.82(0.95–15.33)8.29(2.32–29.68)
神経因性疼痛(はい/いいえ)2.37(1.27–4.42)2.23(1.33–3.73)
年齢(5歳あたり)1.30(1.06–1.60)1.19(0.96–1.48)1.22(1.06–1.42)
BMI1.10(1.01–1.19)1.05(0.97–1.14)1.06(1.01–1.12)
現在の経口エストロゲン使用(はい/いいえ)7.13(1.05–48.25)3.04(1.11–8.28)
子宮摘出術(はい/いいえ)5.46(2.53–11.77)2.29(1.01〜5.20)2.94(1.55–5.60)

年齢、体重、経口エストロゲン使用などのよく認識されている危険因子に加えて、糖尿病によって引き起こされる2つの微小血管合併症、特にマクロアルブミン尿と末梢神経障害性疼痛が尿漏れと関連していました。また、インスリン抵抗性、空腹時インスリンの上昇は、微量アルブミン尿を誘発します。糖尿病予備軍でも微量アルブミン尿を呈していると、非常に尿漏れを起こす可能性が大きく高まっていました。

また、子宮摘出術は大きく尿漏れ有病率と関連がありました。尿漏れは多因子性だと思います。子宮摘出の手術を受けると、その隣にある膀胱には炎症が波及し合併症として尿漏れが出やすくなるのかもしれません。

ただ、別の見方をすれば、子宮摘出を受ける良性の婦人科疾患(子宮筋腫など)の原因と尿漏れの原因が同じなのかもしれません。ある研究では、子宮筋腫の子宮摘出術または筋腫核出術を受けた女性では対照と比較して、BMI、血圧、中性脂肪、空腹時血糖が高かったというものもあります。(ここ参照)糖質過剰症候群ではインスリンやIGF-1などが高くなり、様々な組織の増殖を促進するでしょう。

つまり、当然ながら糖尿病が尿漏れを起こすのではなく、糖尿病になる原因、糖質過剰摂取が尿漏れの原因の大きな一つと考えられます。糖質過剰摂取では尿路、膀胱に多くの糖が何度も接するでしょう。そうすると表面の細胞は傷害を受けて、そこから神経や筋肉への信号伝達が上手くいかなる可能性があるでしょう。また多くの糖尿病で認められるように、高血糖が繰り返されると神経障害が起こりやすくなります。膀胱の神経も例外ではなく、糖尿病が表れる前にすでに機能障害を起こしている可能性もあります。さらに膀胱の筋肉も機能障害が起こり、過活動性膀胱や尿漏れを起こしていると思われます。

もちろん加齢性の変化もありますが、人間の体は40代までで加齢性の変化で日常生活に支障をきたすような構造になっているとは思えません。使い方やメンテナンスの問題です。人間の体の使い方を間違えてしまったために、早く劣化してしまったのだと思います。車にガソリンではなく食用油を入れて走っていれば、故障は免れないでしょう。

人間のメインエネルギー源は決して糖質ではないでしょう。

尿漏れを起こし始めたら、では遅いと思います。できる限り若いうちから糖質制限をしましょう。

ファーストサマーウイカ フワちゃん 尿もれ

「Prevalence and risk factors for urinary incontinence in women with type 2 diabetes and impaired fasting glucose」

「2型糖尿病と空腹時血糖異常のある女性の尿失禁の有病率と危険因子」(原文はここ

コメント

  1. よっしー より:

    先生いつも情報ありがとうございます!
    私も糖尿病性ケトアシドーシスで入院する1か月ぐらい前から少量の尿もれがあり「年齢のせい?まさかね…まだ30代なのに」と思っていましたが、入院して糖尿病と診断されて治療を開始するとすぐに止まったんです。

    そして『糖質過剰摂取では尿路、膀胱に多くの糖が何度も接するでしょう。そうすると表面の細胞は傷害を受けて、そこから神経や筋肉への信号伝達が上手くいかなる可能性があるでしょう。』とのころですが、SGLT2阻害剤を服用している方で同じようなことが起きる可能性はあるでしょうか?

    • Dr.Shimizu より:

      よっしーさん、コメントありがとうございます。

      貴重な情報ありがとうございます。尿もれ改善で良かったですね。
      SGLT2阻害剤についてのエビデンスはありませんが、今回の記事に取り上げさせていただきます。

  2. 鈴木 武彦 より:

    看護婦さんと、糖質制限の話しをする機会があり「そうは言っても、女性は甘いものを食べる必要があるんだよ」とのこと。
    手を変え品を変え、スウィーツを始めとした糖質の誘惑に事欠かない世の中、
    婦人科の病気の原因でなければいいですが。

    • Dr.Shimizu より:

      鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      その看護師さんは糖質依存に気付いていないようですね。