自閉症スペクトラム障害とケトン食

自閉症スペクトラム障害(ASD)は、3歳より前に始まり、コミュニケーションの障害や関心と活動の常同的なパターンなどを示します。ASDの発生の原因は特定されていません。

今回の研究ではASDに対して、3種類の食事のグループに分けて、6か月後に評価しました。評価法は次の2つです。

CARSは自閉症スペクトラム障害の重症度を評価するもので、30点未満は非自閉症、30~37が軽度から中等度、37.5~60が重度の自閉症スペクトラム障害です。

ATECは、自閉症の人の治療効果を評価するために開発された質問票です。スピーチ/言語/コミュニケーション、社交性、感覚/認知意識、健康/活動性/行動がスコア化され、点数が多いほど障害が大きいと評価されます。

研究対象は、自閉症スペクトラム障害と診断された45人、33人の男性(73.3%)、12人の女性(26.7%)、平均年齢5.29歳(3歳~8歳)でした。

15人ずつに分かれ、ケトン食のグループ(グループ1)、グルテンフリー/カゼインフリー食のグループ(グループ2)、通常食のグループ(グループ3)となりました。ただ、ケトン食グループでは5人が脱落しました。(図は原文より)

上の図はケトン食グループの評価です。CARSでは平均41.7が33.7まで大きく改善しています。食事開始前では軽度の人はゼロでしたが、食事終了時では4人になりました。中等度は開始前は6人でしたが、終了後では2人でした。重度が9人でしたが、4人になりました。(脱落した人の重症度がどうだったのかは不明です)

ATECも大きく改善し58から44まで低下しました。スピーチ、社交性、認知のスコアが有意に改善し、行動はスコアが減少しましたが有意ではありませんでした。

上の図はグルテン・カゼインフリー食のグループです。CARSは低下し、重症度は軽度が開始前ゼロが2人、中等度が3人が10人に、重度が12人が3人となりました。ATECも改善し、スピーチと行動が有意に改善しました。

上の図は3つの食事のグループのスコアの変化率です。コントロールのグループ3は当然変化なしですが、その他に2つのグループでは大きく改善し、特にケトン食で様々なスコアの改善が認められました。

そうすると、ケトン食+グルテン・カゼインフリー食を行えばもっと改善する可能性がありそうです。

母体の糖尿病の存在が自閉症スペクトラム障害のリスクを増加させるという研究結果を考えると、妊娠中の高血糖、高インスリン血症、糖化ストレス、酸化ストレス、炎症、自己免疫などが胎児に影響している可能性が高いと考えられます。(ここ参照)

母親の糖質過剰摂取はその子供に様々な影響があると考えられます。糖質制限はどんな人にも必要でしょう。

糖質過剰症候群

「Ketogenic diet versus gluten free casein free diet in autistic children: a case-control study」

「自閉症児におけるケトジェニック食対グルテンフリーカゼインフリー食:ケースコントロール研究」(原文はここ

2 thoughts on “自閉症スペクトラム障害とケトン食

  1. 現在53歳の私の幼少時よりも、精神的・知的障害認定児童は増加してる印象です。                                      そして、糖質制限的な視点では、私の子供時代は甘いお菓子やケーキなどは今ほどカジュアルではなかったと思います。                                      もちろん、現在は障害に対する理解や支援の幅も昔とは雲泥ですが、、、         

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      診断基準の変化だけでは説明できないほど増加しているのだとしたら、原因は何でしょう?
      やはり糖質過剰摂取でしょうね。

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