TMAOについてコメントをいただきました。
清水先生いつも糖質制限についての考察をありがとうございます。
糖質制限に関連して質問があるのですが、赤肉などに含まれるカルニチンが腸内細菌-肝臓代謝を経てTMAOとなり、アテローム性動脈硬化のリスクを高めている可能性があるという論文をみたのですが、清水先生はこれについてどうお考えなのでしょうか。
お忙しいところ申し訳ありません。
ご返信ありがとうございます。
pdfですがネットで色々と調べているときに見つけました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/1/104_66/_pdf
TAMOがどういう過程でマクロファージを泡抹化するのかが気になっています。
TMAOというのはあまり聞いたことがない方もいると思います。TMAOはトリメチルアミン-N-オキシドの略語で、食品中に含まれるホスファチジルコリンが腸内細菌によりに代謝され、さらに肝臓において代謝を受けてTMAOになります。
そして、血中のTMAOの上昇が心血管疾患のリスクを高くするという研究がたくさんあります。
このTMAO、赤肉にコリンやカルニチンがたくさん含まれていて、肉を食べるとTMAOが上昇してしまうので、肉食が悪者であるかのように主張する人の格好の標的になっています。
ただ、魚などの魚介類はTMAOそのものを多く含み、肉よりもTMAOが増加するようです。(ここ参照)
上の図は魚、牛肉、卵、果物をそれぞれ食べたときの血中のTMAOの推移です。魚だけ突出してTMAOが上昇しています。しかし、どこかの大学が好きな地中海食は魚介類をいっぱい食べることは健康的だと考えられています。肉のTMAOは危険で、魚のTMAOは健康的?ちょっと矛盾している気がします。
つまりTMAOは直接有害な作用をもたらす物質ではなく、マーカーではないかと考えられます。LDLと心血管疾患の関係と似ているかもしれません。
TMAOが人間の体の中でマクロファージを泡沫化させてアテローム性動脈硬化をもたらすのかどうかは恐らくわかっていません。マウスではいろいろ実験されていると思いますが。
さて、ここで面白いことに腸内細菌が大きな役割を果たしています。腸内細菌は食事によって大きく変化するでしょう。そうすると、赤肉だけの問題ではない気がしています。
最近の研究では、確かにTMAOの増加は心血管疾患のリスク増加と関連しているように見えます。最初のTMAOと10年後のTMAOの変化を見ています。(図は原文より)
上の図はTMAOレベルと冠動脈疾患のリスクとの間の用量反応関係です。確かにTMAO増加とリスク増加は関連しているように見えます。
上の図もTMAOの変化量と冠動脈疾患のリスクの関係です。先ほどと同様な感じです。
上の図は健康的な食生活の順守とTMAOの変化による冠動脈疾患のリスクです。簡単にはT1はTMAO減少、T2は変化なし、T3は増加と考えてください。食事の内容は当然食事アンケートです。
Aは健康的な食生活、Bは植物性食物をベースとした健康的な食生活ができているかどうかで、左が順守できていない、右がちゃんとできていたグループです。どれも大した違いはなく、TMAOが増加している場合は冠動脈疾患リスクは高くなっているように見えます。
では、やはりTMAOは悪いのでしょうか?この論文の中で、「冠動脈疾患を来たした人はBMIが高く、最初の段階で心筋梗塞と代謝性の危険因子(高血圧、脂質異常症、糖尿病)があった」と書かれています。しかしその中身はオンラインのみで見ることができるというもので、私は確認できていません。喫煙の状態もわかりません。恐らく冠動脈疾患の人は喫煙の割合も高いでしょう。そうすると、このような糖質過剰摂取で起きうる様々な疾患がベースにあることが多いことは確かです。(しかし、こんな大事なデータをわざわざ見えにくくし、本文に書かないなんて、意図的としか思えません。)
そうすると、糖質過剰摂取による腸内細菌叢の乱れは当然起きていて、それを考えずにTMAOを考えても仕方がないように思えます。
TMAOの増加は結果であり、原因ではないと思います。腎機能の低下、代謝的な問題(表面的には病気になっていなくても)があれば、TMAOは増加し、一見TMAOが悪者であるかのように見えるのかもしれません。
いずれにしても、普段検査するわけでもないTMAOなんていうものを気にしてもしょうがないので、私はいつも通り肉をたっぷり食べます。
糖質制限 糖質過剰症候群
「Long-Term Changes in Gut Microbial Metabolite Trimethylamine N-Oxide and Coronary Heart Disease Risk」
「腸の微生物代謝物であるトリメチルアミンN-オキシドの長期的変化と冠状動脈性心臓病のリスク」(原文はここ)
清水先生、おはようございます。
先生が言われるように、TMAOの増加は結果であり、原因ではない、すなわち何か交絡因子が存在している可能性が強いですね。
私も気にせず肉を食べます。
じょんさん、コメントありがとうございます。
肉や脂質を悪者にすることで、真実から目を逸らさせているのかもしれませんね。
私も気にせず肉を食べます。
糖質制限+カロリー制限の結果
9月より糖質制限に加えてカロリーも制限する実験中です。
これまで、3年弱の糖質制限で標準体重まで減量しましたが、私は元々痩せ型なので、標準体重は私にとっては多すぎるのではないかと言う考えから20歳代のころの体重に戻すと何か変化があるのかを知りたくなり実験しています。
カロリー制限開始直後の検査(9/5)→2か月後の検査(11/7)→さらに2か月後の検査(1/16)を比べてみると
空腹時血糖値、HbA1cともに下がっています。
しかし、カロリーを下げるために朝食を比較的コレステロールの多いイカを多く含むシーフードミックスに変更したことにより、LDL-Cが高くなりました。一旦下がった中性脂肪も高くなっています。
私はLDL-Cが食品由来のコレステロールに左右され、それだけならまだ良いのですが、LDL-Cが高くなると(正常値の範囲ではありますが)中性脂肪も高くなってしまいます。
■カロリー制限食の内容について
カロリー調整のために朝食の豚ロース100gをシーフードミックス150gに置き換えました(豚ロース以前は玉子3個でした)。
蛋白質を確保しつつ、低カロリーにするための変更です。
■コレステロールについて
朝食での摂取コレステロール量は
玉子3個>シーフドミックス150g>豚ロース100g
ですが、一般的には食品由来のコレステロールは、検査値には影響しないと言われていますが、私は、LDL-Cの検査値もコレステロール摂取量に連動して上下します。
肝臓でのコレステロール産生の調節ができないようですが、何が原因なのでしょうか。
■中性脂肪について
LDL-Cが高値でも中性脂肪が十分に低値であればよいのですが、私の場合はLDL-Cと連動して中性脂肪も上がってしまいます。
LDL-Cと中性脂肪には関連があるのでしょうか。
■血糖値、HbA1cについて
カロリー制限中の摂取糖質量は42.2→51.4と増加していますが、逆に空腹時血糖値もHbA1cも低下しました。
カロリー制限も血糖値を改善するかもしれません(ただし、糖質制限併用の場合)。
★検査値の変化
9/5→11/7 →1/16
LDL-C 149 → 161 → 177
HDL-C 77 → 77 → 84
TG 59 → 49 → 82
AST 19 → 19 → 20
ALT 18 → 16 → 19
γGT 16 → 16 → 18
血糖値 104 → 95 → 85
HbA1c 5.8 → 5.8 → 5.7
体重 56.1 →54.8 →54.6
★摂取カロリーと糖質量の日平均
8月 → 9月 →10月 →11月 →12月
摂取糖質量 42.4→47.7→47.0→49.0→51.4
摂取カロリー 1800→1690→1630→1693→1723
★食材とコレステロール、中性脂肪の変化
朝食の主材を玉子→豚ロース→シーフドミックスに数か月ごとに変更した時のコレステロールと中性脂肪の変化
検査日:2019/2/16
半年ほど朝食に玉子3個
コレステロール720
LDL-C 198
TG 97
検査日:2019/7/27
前回検査日より朝食に豚ロース100g
コレステロール 61
LDL-C 132
TG 86
検査日:2021/1/16
前回検査日より朝食にシーフドミックス(イカ、エビ、アサリ)150g
コレステロール244
LDL-C 177
TG 82
西村 典彦さん、コメントありがとうございます。
全てとはいかないかもしれませんが、いくつかについて近いうちに記事にさせていただきます。