太っていても健康的な人はいるのでしょうか?運動していれば肥満の有害性は帳消しになるのでしょうか?
高血圧 | 高コレステロール血症 | 糖尿病 | ||||
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男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
OR | OR | OR | OR | OR | OR | |
通常の体重 | ||||||
アクティブ | — | — | — | — | — | — |
不十分な活動 | 1.08(1.00–1.17) | 1.15(1.02–1.31) | 0.97(0.93–1.02) | 1.06(1.00–1.12) | 1.18(1.00–1.39) | 1.18(0.90–1.53) |
非活動 | 1.25(1.18–1.31) | 1.30(1.18–1.44) | 1.16(1.13–1.20) | 1.05(1.00–1.09) | 1.56(1.40–1.74) | 1.27(1.03–1.57) |
太りすぎ | ||||||
アクティブ | 1.98(1.89–2.08) | 2.46(2.14–2.82) | 1.61(1.58–1.66) | 1.41(1.31〜1.52) | 1.33(1.18–1.49) | 1.91(1.40–2.61) |
不十分な活動 | 2.23(2.10–2.36) | 2.29(2.00–1.61) | 1.54(1.48–1.60) | 1.44(1.34–1.54) | 1.92(1.70–2.17) | 1.89(1.41–2.54) |
非活動 | 2.46(2.35–2.57) | 2.80(2.53〜3.08) | 1.78(1.73–1.83) | 1.43(1.34–1.49) | 2.58(2.33–2.84) | 2.71(2.20–2.33) |
肥満 | ||||||
アクティブ | 4.93(4.64–5.24) | 5.45(4.62–6.44) | 2.03(1.94–2.13) | 1.36(1.21〜1.54) | 3.62(3.18–4.12) | 4.18(2.96–5.92) |
不十分な活動 | 5.71(5.34–6.10) | 5.92(5.10–6.88) | 1.90(1–80–2.01) | 1.44(1.30〜1.60) | 4.44(4.91〜5.98) | 5.45(4.06–7.31) |
非活動 | 5.94(5.68–6.21) | 7.28(6.59–8.04) | 2.0(1.96〜2.08) | 1.50(1.43–1.58) | 5.42(4.91–5.98) | 6.26(5.10–7.69) |
上の表は身体活動レベルとBMIカテゴリーと心血管リスク因子の関連を示しています。それを図にしたものが下の図です。
いくら活動的であっても太りすぎでは高血圧が約2~2.5倍、高コレステロール血症が約1.4~1.6倍、糖尿病が約1.3~1.9倍でした。さらに肥満になると活動的であっても、高血圧が約5~5.5倍、高コレステロール血症が約1.3~2倍、糖尿病が約3.6~4倍でした。
逆に考えれば代謝的な問題は高コレステロール血症ではなく、やはり糖尿病の方がはるかに肥満で起こっている可能性が高いのです。糖質過剰摂取から高血糖や高インスリン血症が起こり、肥満となり、その中でLDLのクリアランスが低下してある程度LDLコレステロール値が増加している人がいるにすぎません。
また、活動性の低下が糖尿病になる可能性を高めますが、高コレステロール血症は活動性とは関連していません。運動は少し糖尿病のリスクは下げますが、大きくは変化していません。しかし、高コレステロール血症は運動しても全く関係ないと言えます。根本は糖質摂取量でしょう。
太っていても健康的な人はゼロではないかもしれませんが、肥満の影響を運動で帳消しにするのはなかなか難しいようです。肥満は様々なリスクが高くなります。相撲は世界一不健康なスポーツでしょう。(「相撲は世界一不健康なスポーツかもしれない その1」など参照)
糖質制限をすれば活動性の有無にかかわらず、様々なリスクを低下しますが、運動はやはり重要だと思います。できる限り動きましょう。
糖質過剰症候群
「Joint association of physical activity and body mass index with cardiovascular risk: a nationwide population-based cross-sectional study」
「身体活動およびBMIと心血管リスクとの共同関連:全国的な人口ベースの横断的研究」(原文はここ)