糖質制限VS脂質制限 その1

糖質制限と脂質制限で比較した研究はそれほど多くないと思います。あったとしても食事アンケート型の研究で質が非常に低いものが多いと思います。

今回の研究では14日間糖質制限をした場合と脂質制限をした場合でどのように違うか分析しています。ただ、最初どちらかの食事を摂り、14日間後にもう一方の食事に変更するというデザインですから、最初の数日はその前の食事の影響を受けてしまう可能性があります。また、適応という面で考えれば14日間は少し短いかもしれません。食事は提供されています。参加者は20人の平均年齢29.9歳、平均BMI27.8です。

脂質制限食は高い血糖負荷(グリセミックロード)(85g/1,000 kcal)で、植物ベースの低脂肪食(14.5%タンパク質、10.3%脂質、75.2%炭水化物)。糖質制限食は低血糖負荷(6g/1,000 kcal)で最小限に処理された動物ベースの低炭水化物食(75.8%脂肪、10.0%炭水化物)です。

どちらの食事も最小限の加工度で、非でんぷん質の野菜が同量含まれてました。食事は3食+軽食を提供され、望めばより多く食べることができました。

上の図は提供された食事の栄養の内容です。3食と軽食を全部食べれば1日約5,000kcalになりますが、そこまでみんなが食べてはいません。ちなみにどんなものを実際食べていたのかは、ここを参照してください。

上の図のaは参加者全体の1日の平均エネルギー摂取量の推移です。赤が糖質制限、青が脂質制限です。脂質制限の方が明らかに摂取エネルギーが少ないです。脂質はエネルギー量が多いですからね。bはそれぞれの人の糖質制限のときと脂質制限のときの摂取エネルギーの変化を見ています。先ほどと同様に脂質制限をすると摂取エネルギーは減少します。cは平均主要栄養素摂取量です。

dは食事の快適さと親しみやすさの評価です。0~100で点数をつけています。eは空腹感や満腹感などの評価です。どれも両方の食事で違いはありません。

fはそれぞれの食事の摂食率です。食事の時間内に1分間でどれだけのペースで食べたか、というものです。糖質制限の方が1分間に摂取するグラム数は少なく、カロリー数は多い結果でした。

gは14日間の体重変化です。糖質制限では最初の数日で一気に体重減少が起こり、その後は緩やかです。脂質制限は最初ほとんど減少せず、その後だんだん体重減少が起きています。一応両方の食事で体重減少の有意差はありません。

hは除脂肪体重の変化です。糖質制限では最初の1週間でぐんと減少し、その後横ばいです。脂質制限では変化なしです。iは体脂肪量の変化です。糖質制限では変化なしです。脂質制限では減少しています。意外ですね。

脂質制限では糖質制限よりも1日に約550〜700kcalエネルギーが少ないにも関わらず、体重減少に有意差はありませんでした。逆に糖質制限の減少量の方が多いくらいです。ただ脂質制限の体重減少は体脂肪の減少がメインですが、糖質制限では除脂肪体重、つまり筋肉量の減少のように見えます。

糖質制限では筋肉量は減少しないと言われていますが、なぜでしょう?恐らく、最初の数日でかなりの減少量があるので、よく言われている、グリコーゲン減少による筋肉の水分量の減少、筋肉内の脂肪量の減少などが大きくかかわっていると思われます。さらに、この研究ではタンパク質の割合を約14%と一定にしています。参加者の平均の体重は約80kgです。糖質制限での実際のタンパク質摂取量がおよそ70~170gとまちまちです。多くの人は120g以下に見えます。そうするとせいぜい1.5g/kg程度のタンパク質摂取量です。もっと少ない人もいるかもしれません。糖質制限としてはタンパク質摂取量が低い人も何人もいたのかもしれません。

また、もしかしたらこの研究の2週間の食事では糖質制限の有益な効果が十分出ていないのかもしれません。体が適応するまでには2週間はぎりぎりで、もう少しかかる可能性があります。(「糖質制限に適応する期間」参照)

糖質制限について評価するには最低1か月は必要だと思います。

いずれにしてもエネルギー摂取量がそのまま体重に結びつくわけではありません。エネルギー摂取量が1日に700calも違っていても食事によっては体重減少量が変わらないのですから。カロリー神話はウソです。しかし、普段の食事がどうなっているかはわかりませんが、体重80kgの若い人が2000以下~3000以下の脂質制限食でも体重は減少します。お肌カサカサになるかもしれませんし、そのまま続けられるかどうかはわかりませんが。

恐らくこの研究の著者は低脂肪食、植物性の食事推しでしょう。

この続きは次回以降で。

糖質過剰症候群

「Effect of a plant-based, low-fat diet versus an animal-based, ketogenic diet on ad libitum energy intake」

「植物ベースの低脂肪食と動物ベースのケトン食の自由なエネルギー摂取量への影響」(原文はここ