高身長とがんのリスク

身長が高いことは成長因子が多い、またはその感受性が高いと考えられます。高身長とがんには関連があると考えられています。日本人での40~69歳の約11万人を2013年まで追跡した調査結果を見てみましょう。(図はここより)

上の図は身長が低い人と高い人での様々な死亡のリスクの違いを示しています。男女別に身長の低い方から4つのグループ、男性(<160cm、160-163cm、164-167cm、≧168cm)、女性(<149cm、149-151cm、 152-155cm、≧156cm)に分けて、その後の死亡リスクを比較しました。結構身長の区分が細かいですね。低身長と高身長の差が10cmもありません。

男性では高身長とがんの死亡リスク増加が認められます。女性ではありません。

男性では大腸がんで高身長と死亡リスクの増加が認められています。一方脳出血は高身長の方が死亡リスクが低くなっています。

女性では卵巣がんで高身長と死亡リスクの増加が認められています。ただ、思ったほどはっきりしたリスク増加は認められていません。もう少し身長の区分を広げた方がよかったのではないかと思います。

高身長の人ほど発がんに関連するインスリン様成長因子(IGF-1)のレベルが高いことなどが関与していると考えられています。

もう少し、身長とがんのリスクがわかりやすい研究を見てみましょう。米国、ヨーロッパ、韓国の男女を対象にした調査によるものです。(図は原文より)

上の図は身長が10cm増加した場合のそれぞれのがんのリスク増加を示しています。全体では女性12%、男性9%のリスク増加でした。すい臓、食道、胃、口/咽頭だけが男女ともに身長との関係を示しませんでした。男女ともに皮膚の悪性黒色腫がリスク増加が大きい結果でした。女性では他に、大腸、直腸、腎臓がんもリスク増加が大きい結果でした。全体的に女性の方がリスク増加が大きいようです。

この研究では、身長の高い人は、体内の細胞がより多くなることから、がんのリスクも高まると考えています。成長する段階で体が大きくなるほど細胞が増加するので、その分がん化する細胞も増えるということでしょう。ただ、大人になり成長した後は、IGF-1やインスリンを大きく増加させることは、もう成長ができないので、がん化に向かう可能性が高くなります。

身長が高い人は気を付けると言っても細胞を減らすわけにもいきません。いたずらに成長因子を増加させないことが必要なのかもしれません。糖質過剰摂取、牛乳過剰摂取、プロテイン過剰摂取はがんのリスク増加となりうるでしょう。

糖質制限 糖質過剰症候群

「Adult height and all-cause and cause-specific mortality in the Japan Public Health Center-based Prospective Study (JPHC)」

「日本公衆衛生センターに基づく前向き研究(JPHC)における成人の身長とすべての原因および原因別の死亡率」(原文はここ

「Size matters: height, cell number and a person’s risk of cancer」

「サイズが重要:身長、細胞数、がんのリスク」(原文はここ

コメント

  1. 鈴木 武彦 より:

    (理想を追い求める余り、自然の掟に反する「欲張った」行為で身を滅ぼした)
    『イカロスの翼』の教訓を連想致しました。

    関連性不明ですが、柔道の古賀さんも癌で早世されてしまいましたね。

    • Dr.Shimizu より:

      鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      子供のころは成長することは楽しみですから、それが大人になった時のことに影響するとは思っていないと思います。
      ただ、大人になってからの無駄な成長因子はリスクになると思います。