PPI(プロトンポンプ阻害薬)は難聴を増加させる

PPI(プロトンポンプ阻害薬)は胃酸を強力に抑制しますが、様々な副作用があります。胃酸を抑えるH2ブロッカーと比較すると、難聴は大幅に増加するようです。データはFDA有害事象報告システムから得られました。(表は原文より改変)

副作用PPIH2ブロッカー
難聴1342
聴覚障害1270
聴覚消失594
片側難聴200
突発性難聴120
一時的難聴10
聴神経性難聴10
両側難聴10
総聴覚障害355/42,5376/8,309
オッズ比(95%CI)[p値]11.64(5.20〜26.11)[p <0.0001]

なんとH2ブロッカーと比較すると何らかの聴覚障害が起こる可能性は11.64倍です。

なぜそのようになるのかははっきりわかりませんが、胃酸の酸性度の低下による感染症や炎症が増加するのかもしれません。また、PPIは血管拡張作用を示す一酸化窒素(NO)を低下させるので、内耳の血流減少や血栓症を起こす可能性があります。また、認知症のリスクも増加させるとも考えられているので、聴覚にかかわる脳の変化も起きているかもしれません。

(「PPI(プロトンポンプ阻害薬)の暗黒面 その2 PPIは多くの病気を引き起こす可能性がある」など参照)

PPIを処方する内科の医師は耳が聞こえなくなっても、自分の処方した薬が原因だとは思わないでしょう。

PPIは漫然と内服する薬ではありません。できる限り中止するように努めるべきです。

 

「Proton-pump inhibitor use is associated with a broad spectrum of neurological adverse events including impaired hearing, vision, and memory」

「プロトンポンプ阻害剤の使用は、聴覚、視覚、記憶の障害を含む広範囲の神経学的有害事象に関連しています」(原文はここ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です