2型糖尿病の薬でGLP-1受容体作動薬リラグルチド(商品名ビクトーザ)というものがあります。1日1回の注射薬です。一部では自由診療で痩せる薬として使用されているようです。
2型糖尿病の患者さんで、インスリン療法への追加または切り替えに対する長期有効性および安全性はどうなのでしょうか?
インスリン療法中の日本人2型糖尿病患者308人を対象にして、リラグルチドを追加するか切り替えをしました。(図は原文より)
上の図は患者背景です。併用群の方がHbA1cが有意に高いのですが、HbA1cが高いから併用なのでしょう。
投与1年後での変化です。併用でも切り替えでも体重に関しては有意には減少しました。ただわずか2kgです。HbA1cについては、併用群では低下していません。心拍数は1年で増加していますし、eGFRは低下しています。
上の図はHbA1cの推移です。併用群ではほとんど変化していません。切り替え群では一旦低下したように見えましたが、その後徐々に上昇して元に戻った感じです。
上の図はベースラインでのHbA1cによってその後どうなったかを見ています。併用でも切り替えでもHbA1cが8以上の群では低下しているように見えなくもありませんが、あまり変化していないようです。併用群の7未満の群では5年間で明らかに上昇しています。どの群もHbA1c8に収束しているように見えます。
切り替え群も同様に6未満や7未満の群で徐々に上昇し、HbA1c7に収束しているように見えます。
上の図はリラグルチド投与前と1年後の糖尿病の薬の処方数と処方率です。併用群ではリラグルチド処方が増えた分処方数が増加していますが、切り替え群では1剤分ほど減っています。しかし、どちらの群もSU製剤が増加しているのは気になります。
どちらの群もインスリンによる低血糖は大きく減少しているようです。またGLP-1受容体作動薬は食後高血糖を減少させると言われています。
しかし、HbA1cが5台であった人が5年後には6を超えているのを見ると、平均値は上昇しているわけなので、空腹時血糖値が徐々に増加するのかもしれません。
血糖値の変動は少なくなるけど、HbA1cが7であれば平均血糖値150、HbA1cが8であれば平均血糖値180くらいです。HbA1cが7~8に収束するような薬がはたして本当に治療薬と言えるのでしょうか?
他院でGLP-1受容体作動薬の処方を受けている患者さんがいますが、糖質制限をして様々なデータが改善したのに、空腹時血糖値とHbA1cが全然低下しない人がいます。もしかしたら、GLP-1受容体作動薬のせいかもしれませんね。
インスリン注射が必要な人ではHbA1cが7~8であれば御の字なのでしょうか?体重が少し減るからそれだけを狙っているのでしょうか?GLP-1受容体作動薬はもしかしたら糖尿病を維持する、つまり寛解に向かうのではなく、糖尿病であり続けるための薬なのかもしれません。
糖質制限をすれば、もっと薬を減らせるし、HbA1cももっと下がるし、体重もかなり減少します。GLP-1受容体作動薬の有用性には疑問を感じてしまいます。
糖質過剰症候群
「2型糖尿病患者におけるGLP-1受容体作動薬リラグルチドのインスリン療法への追加または切り替えに対する長期有効性および安全性の検討」(日本語)(原文はここ)
究極的には違法薬物そしてアルコールやニコチン、カフェインなども含めて、薬は一時的な欲求解消にはなりますが、健康の保持や回復にはあまり関係ないのでしょうか。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
薬のほとんどは対症療法です。アルコールやカフェインは程度問題だと思います。
こんにちは。久しぶりに書き込みさせて下さい。以前に読んだ本にGLP-1は脳内インシュリンの分泌を促し、認知症予防に繋がるとの事でした。外国では鼻から吸入するのもあり、日本でも近頃経口薬もあるそうです。脳内〜の事を考えれば一石二鳥の薬ではないかと認識していましたが、今回の投稿を拝見して認識が変わりました。
元々のa1cの改善なくして何の為の薬かと思います。当然ながら対症療法でしかないんですね。
タカマスさん、コメントありがとうございます。
仰っているのは恐らく2型糖尿病の人の中でGLP-1やSGLT2を使った場合に、認知症が少なくなるという研究だと思いますが、
私は糖尿病を寛解した方がもっと認知症になりにくいと思います。