女性アスリートの尿失禁のリスクと利用可能エネルギー不足

尿失禁(尿漏れ)は比較的有病率が高く、ある中高年での調査では男性11.4%、女性34.5%でした。(ここ参照)

アスリートは年齢的にも若いですが、やはり力を入れることも多いのか、男女ともに尿失禁の割合は高いようです。女性のプロアスリートは、活動性の少ない女性と比較して、尿失禁のリスクが約3倍高いようです。ある研究では、平均年齢23.75歳のアスリートの33%がで尿失禁があり、有病率は女性アスリートで45.1%であったのに対し、男性アスリートは14.7%と、尿失禁に苦しむ可能性が5.45倍高かったと報告しています。(ここ参照)

ちなみに女性アスリートは男性よりも6倍高い尿路感染症と2倍の便秘リスクを示しました。アスリートは、便秘または尿路感染症がある場合、2倍以上尿失禁を起こす可能性が高くなりました。

競技の内容にもよって尿失禁を起こすリスクは違うのでしょうが、非常に興味深い視点で分析した研究があります。「low energy availability(低エナジーアベイラビリティー:利用可能エネルギー不足)」、「無月経」、「骨粗鬆症」という女性アスリートの三主徴の中の「low energy availability(利用可能エネルギー不足)」が尿失禁にも関連しているというものです。エナジーアベイラビリティー(利用可能エネルギー)というのは次の通りです。

エナジー・アベイラビリティーは1日の総エネルギー摂取量から運動中のエネルギー消費量を引いた値を除脂肪量(FFM)で除して求められ、日常生活に利用可能なエネルギーのことを指します。エナジー・アベイラビリティーが30kcal/kg FFM未満になると代謝やホルモン機能に異常をきたし、月経異常や骨粗鬆症、パフォーマンスや健康状態を害する可能性があると言われています。」(ここより)

つまり、三主徴と言っても、もともとの「無月経」および「骨粗鬆症」原因は「利用可能エネルギー不足」なのです。

今回の研究で調査した1000人の女性アスリートのうち、165人(16.5%)が運動活動中に尿失禁を経験し、14%(137/1000)が軽度の失禁、4%(35/1000)が中等度の失禁、2人のアスリートが重度の失禁を経験しました。

利用可能エネルギー不足の女性は、適切な利用可能エネルギーを持つ女性と比較して、尿失禁の可能性が約2倍(OR1.97)でした。ちなみにランニング、チアリーダー、体操、ダンスなどのインパクトのあるスポーツをしている女性は、球技の女性と比較して、尿失禁の可能性が約4.5倍(OR4.47)高くなりました。

摂食障害のある女性アスリートは、摂食障害のないアスリートよりも、あらゆるタイプの尿失禁の可能性が約3倍増加しています。

多くのアスリートは体重が増加することを気にするため、間違った食事を摂ることが多いと思います。昔ながらの「運動するには糖質が必要である」、「脂肪(脂質)は太る」という考えに固執しているのでしょう。しかし、脂質を摂っても太りません。糖質で太るのです。運動に欠かせないと思い込んでいる糖質を大量に摂取するために、さらに摂取エネルギーを減らすために脂質摂取量が減ります。

脂質摂取量不足により、女性ホルモンの減量のコレステロールも減ってしまうかもしれません。体内合成でも体脂肪が非常に少ないので、コレステロールよりも中性脂肪を多く作ってしまっているのかもしれません。

以前の記事「尿漏れする前に糖質制限」に書いたように、糖質過剰摂取が尿漏れに関係しているとも考えられます。アスリートももっと脂質を摂取すべきです。そして糖質制限でしょう。

 

「Low energy availability and impact sport participation as risk factors for urinary incontinence in female athletes」

「女性アスリートの尿失禁の危険因子としての利用可能エネルギー不足とスポーツ参加への影響」(原文はここ

2 thoughts on “女性アスリートの尿失禁のリスクと利用可能エネルギー不足

  1. 10年来スーパー糖質制限継続してますが、脂肪と蛋白質メインの食事(野菜などの摂取OK炭水化物も摂るので、現実的に糖質0は不可能ですが、、)で満足できるようなりました。
    糖質オフスウィーツなどの爆食い欲求も減ってきました。

    何事も山あり谷有りですね。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      依存から抜け出れば、その後は楽ですね。
      私は依存が強かったので、アイスからなかなか抜け出れませんでしたが。

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