緑茶などに含まれるカテキンが、新型コロナウイルスの感染能力を低下させる不活化の効果があることを確認したと、京都府立医科大が発表しました。(この記事参照)
しかし、試験管内での話です。
京都府立医大の発表(ここ参照)では、
「お茶を口中に含んだ時に、口腔内で唾液中のウイルスが茶カテキン類によって不活化される効果は期待できると考えられます。それゆえ、多くの人がお茶を飲めば、唾液中のウイルスが不活化されることによって飛沫感染が減少し、人集団全体としてはウイルスの感染拡大を減弱させられる可能性は考えられます。たとえば飲食店などで、マスクを外したら会話する前にまずお茶を含み飲みする(10秒間程度口腔内全体にお茶を行き渡らせてから飲む)、といった行動を多くの人がとれば、症状のない感染者から周りの人への感染が減らせるかもしれません。」
と言っていますが、無理でしょうね。
その研究によれば、緑茶や紅茶とウイルスを試験管に入れて1分間たったときの不活性化効果を見ています。(図は原文より)
上の右図は各茶の凍結乾燥粉末を使用した場合の、TCID50(50% Tissue Culture Infectious Dose:宿主細胞のうち半分がウイルスに感染した時のウイルスの濃度)を示しています。紅茶が新型コロナウイルスを強く不活性化し、次に緑茶、ウーロン茶、焙煎緑茶が続くことを示しています。
上の右図は抹茶の粉末、緑茶の葉、ほうじ茶、緑茶(新茶、つまり季節の最初の摘み取り)、紅茶、プーアル茶、ウーロン茶を京都のスーパーマーケットで購入し、パッケージに記載されている各レシピに従ってお湯で淹れて、それを使用した、TCID50です。
紅茶とほうじ茶の効果が高く、新茶やプーアル茶はいまいちですね。
いずれにしても、この実験は1分間処理しているのです。しかし、大学の発表では「10秒間程度口腔内全体にお茶を行き渡らせてから飲む」と10秒間に置き換わっています。この研究から何かを言うのであれば「1分間」口に含めると言うべきでしょう。1分間含んで、次の唾液が出る前にしゃべって、すぐにお茶を含んで、1分間待って…。
唾液は絶え間なく出てきますので、お茶を飲みこんだ後に出てきた唾液には効果がないと思います。そうすると、会話するときの飛沫感染が減らせるとは到底思えません。
以前にもアミノ酸の一種である5-アミノレブリン酸(5-ALA)の感染抑制効果を発見と長崎大学が発表しました。(ここ参照)
これも試験管内の話です。人間の体で確かめられていません。5-ALAは納豆などにも多く含まれています。関西はあまり納豆を食べないので、感染が拡大したのでしょうか?
いずれも吉村知事のイソジンうがいと大差はないでしょう。紅茶や緑茶の効果があるのであればイギリスの感染拡大はもっと防げたのではないでしょうか?
「Significant Inactivation of SARS-CoV-2 In Vitro by a Green Tea Catechin, a Catechin-Derivative, and Black Tea Galloylated Theaflavins」
「緑茶カテキン、カテキン誘導体、および紅茶ガロイル化テアフラビンによるinvitroでのSARS-CoV-2の有意な不活化」(原文はここ)
藁にもすがる状況ですね。(そういう取り組みから画期的方法が発見される場合もあるでしょうが)。
まだ害が無さそうな「藁」ですが、緑茶メーカーが絡んでたりして。