糖質制限で腎機能改善

糖尿病は慢性腎疾患(CKD)のリスクが非常に高くなります。一方ではタンパク質摂取の増加は腎機能の悪化をもたらすのではないか、と一般的には考えられています。糖質制限をするとタンパク質摂取量は増加し、そのため腎機能が低下している人には良くないと考える人もいます。

今回の研究では糖質制限を2型糖尿病の腎機能が正常または軽度の腎機能障害の人で長期的にどうなるか?を分析しています。正常な腎機能または軽度のCKDを有する143人の糖尿病の人を対象としています。平均期間30か月です。

今回の糖質制限はきちっと糖質量をコントロールしたものではなく、The Norwood Dietというものを使用しているようです。(図は原文より)

上の図はThe Norwood Dietです。簡単に言えば、砂糖は全て止める。でんぷん質の炭水化物を大きく減らす。すべての緑の野菜/サラダは大丈夫。フルーツは種類によって糖質が多すぎるので注意。未加工の肉、卵(1日3個でもOK)、魚、特に鮭、サバ、イワシなどの健康的なタンパク質を食べても問題なく、自由に食べることができる。脂質は適度にOKだけれど、マーガリンやコーン油、植物油は避ける。「低脂肪」食品に注意。チーズは適度に。スナックはダメ。

このような食事を続けてどうなったでしょう。

上の図はベースラインと終了時の様々なパラメータです。腎機能を表すクレアチニン、eGFR、尿アルブミン/クレアチニン比(Urine ACR)はどれも改善しています。体重やHbA1cも減少、中性脂肪も減少、血圧も低下しています。

上の図はクレアチニンの変化です。平均して4.71μmol/L低下、日本の単位では0.053mg/dLとわずかですが改善しています。全体の67%の人で改善を見ています。大したことがない数値かもしれませんが、タンパク質をしっかり摂っても腎機能は悪化していません。

上の図は左がHbA1cです。21.5mmol/molの低下なので日本の単位では4.1%程度の低下を示しています。97%の人が糖尿病の改善を示し、47%は治療薬のいらない寛解状態になっています。

糖尿病、耐糖能異常が見つかったら、早い段階で糖質制限をするべきです。早い段階なら容易に寛解が達成できるはずです。いわゆる専門家が勧めるカロリー制限や、薬で様子を見ていると、どんどんその裏で進行しているかもしれません。

糖尿病は糖質過剰症候群の代表ですから。

「Renal function in patients following a low carbohydrate diet for type 2 diabetes
a review of the literature and analysis of routine clinical data from a primary care service over 7 years」

「2型糖尿病の低炭水化物食後の患者の腎機能 文献のレビューと7年間にわたるプライマリケアサービスからの日常的な臨床データの分析」(原文はここ

コメント

  1. じょん より:

    清水先生、こんばんは。
    以前、知り合いの方で腎不全の方がいて、透析にならないように、カロリーをとって、タンパク質を減らした食事をしなければならない、と言っていたと思います。
    こういうこともエビデンスがあるわけではな勝ったのでしょうね。ただ、腎不全の方にはリンが良くないということは聞いたことがあります。タンパク質にはリンが多いので、そういう意味ではタンパク質の量はコントロールが必要ということがあるのでしょうか?

    • Dr.Shimizu より:

      じょんさん、コメントありがとうございます。

      CKDのタンパク質制限の研究はエビデンスが全くないわけではなく、しかし結果は定まっていないというのが本当のところだと思います。
      アメリカの糖尿病学会では制限をしていません。
      ただ、いずれにしてもこれまでのエビデンスは「糖質過剰摂取をしながら」という前提での研究ばかりです。
      そういう意味で言えば、今回のような糖質制限をした状態での研究は大きな意味があります。