PPI(プロトンポンプ阻害薬)は慢性腎疾患や末期腎不全を増加させる

PPI(プロトンポンプ阻害薬)は決して安全な薬ではないことは周知の事実です。それにもかかわらずいまだに漫然と処方されています。急性間質性腎炎は薬剤過敏症(アレルギー反応の一種)によるものが最も多いとされていますが、さまざまな薬剤が原因となります。主に抗菌薬や消炎鎮痛薬(NSAIDs:痛み止め薬)で起こりやすいとされていますが、PPIによるものも注目されています。

間質性腎炎は薬剤性が70~85%を占めるそうで、その原因の薬として疑われる3大薬剤は抗菌薬、NSAIDs、そしてPPIだそうです。(ここ参照)

PPIはどれほど腎臓に影響を与えるのでしょうか?

胃酸分泌抑制作用のH2ブロッカーと比較すると、腎機能を表すeGFRが60未満になるリスクはPPIの方が1.22倍であり、慢性腎臓病(CKD)の発生するリスクも1.28倍でした。

さらに血清クレアチニンが倍増するのは1.53倍、腎機能がさらに低下してeGFRが30%以上低下するリスクは1.32倍、末期の腎不全は1.96倍、末期腎不全またはeGFRが50%以上低下するリスクは1.47倍でした。(図は原文より)

上の図は新規のPPI使用者が使用期間によってどれほどの危険があるかを示しています。30日以内の使用と比較して、図の凡例の上から順に、eGFRが60未満、CKD、血清クレアチニン倍増、eGFRの30%以上の低下、末期腎不全、末期腎不全またはeGFR50%以上低下です。720日を超えて内服するとリスクは低下していくようですが、それまでは右肩上がり。eGFRの30%以上の低下なんて最大約3.5倍のリスクになっているのです。

血液検査で腎機能障害について指摘されたり、前回よりeGFRやクレアチニンの値が悪くなったりした人で、PPIをずっと飲み続けている人は、もしかしたらPPIが原因かもしれません。

PPIは安全な薬ではありません。漫然と飲んでも心配ない薬ではありません。本当にPPIが必要なのかどうかを検討し、できる限り避けるべきです。

 

「Proton Pump Inhibitors and Risk of Incident CKD and Progression to ESRD」

「プロトンポンプ阻害剤とCKDおよびESRDへの進行のリスク」(原文はここ

2 thoughts on “PPI(プロトンポンプ阻害薬)は慢性腎疾患や末期腎不全を増加させる

  1. 若者がワクチン忌避したり、「緊急事態宣言」が国民に重く受取られない原因に、このような
    医療に対する不信感もあるのではないでしょうか。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      少なくとも医師の言うとおりに薬を飲んでいる人は医療不信ではないかもしれません。
      少しくらい不審に思った方が良いと思う方もいます。

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