糖質カット炊飯器?

糖質は体に良くない、太るという認識がかなり広まってきているのか、糖質オフ、低糖質、ロカボなど様々な糖質を減らした商品が販売されるようになりました。

そして、以前から炊飯器で糖質を数10%減らすものが発売されていますね。最近も「Makuake」で、「いつものお米を美味しく糖質45%カット!夢のような多機能炊飯器【LOCABO】」という商品が、目標金額が30万円のところ、なんと7800万円以上集まっていました。すごい注目の高さですね。でもそこまでしても白米を食べたいのですね。(商品の公式サイトはここ

どうして、このような炊飯器が糖質をカットできるのか?次のような説明がされています。

LOCABOの一番の特徴である糖質カットを実現したのは、その構造です。
一般的な炊飯器では、お米を炊いた際にお米から発生する糖質(でんぷん)が
水と一緒にお米に付着しています。そこでLOCABOはお米から発生した糖質(でんぷん)がお米に付着しないように、蒸し器のような構造にしています。
この構造によっていつもの炊飯と同じ感覚で炊くだけで、
・煮る
・湯切り
・蒸す
という3つの工程をこの1台で実現し、炊飯時に発生した糖質(でんぷん)を落とすことが可能になりました。
LOCABOでご飯を炊くだけで、茶碗一杯(200g)だけでも最大で角砂糖約10個分の糖質がカットされたご飯を召し上がれます。

わかったような、わからないような。でも、この45%カットが本当なら、白米1膳で糖質量が55gから30g程度まで減らせることになります。減らせないよりは良いけど糖質制限食にはなり得ません。でも、糖質カット炊飯器で炊いた白米はどんなものなんでしょうね?通常炊く前の米の約77%は糖質です。普通に炊いた場合、白米の約37%は糖質です。水分を吸って糖質の割合が少なくなります。糖質カットができる炊飯器で45%糖質をカットして、仮に同じ質量の白米ができたとすると糖質は約20%になります。そうすると、その糖質の減った分の17%は何でできているかと考えれば、それは水分でしかありません。だから糖質カット炊飯器で炊いた白米は質量がかなり少なくなるか、非常に水分を多く含んだ白米になるかどちらかということになります。そうすると、炊いた白米の質量が少なくなるのであれば、これまでと同じ量の白米を食べようとすると、自ずとその分糖質摂取量は増えます。また、非常に水分を含んだ白米になるのであれば、ベチャっとした食感の悪い白米になるでしょう。

炊いた白米の質量も変わらず、食感も変わらないのであれば、糖質量も変わっていないと思います。それ以外の可能性ってあるんでしょうかね?さて、実際はどうなんでしょう。もし、買った人がいれば教えて下さい。

一番の問題はこれで血糖値の上昇が本当に抑えられるのか?というところでしょう。その実験結果はホームページにはありませんので、この商品の実力はわかりませんが、30%程度糖質カットできる商品で血糖値測定をした動画がYouTubeにありました。(その動画はここ

この動画では米80g(糖質量61g)を糖質30%程度カットできる炊飯器で炊いた白米と、普通に炊いた白米を比較しています。結果はなんと糖質カットできる炊飯器では食後血糖値が200を超えていました。この実験をされた方は検査では異常はないと言っていますが、完全に耐糖能異常ですね。普通の炊飯器の白米と血糖値が上がる時間がちょっと違いますが、これでは糖質カットの意味がありませんし、実際には糖質がカットされていない可能性が高いのではないでしょうか?

もちろん、n=1なので、真のこのような炊飯器の実力はわかりません。私自身が自分で実験したいですが、数万円も出して意味のないものを購入する気も起きません。あえてお米を食べようとも思いませんし。

いずれにしても、「ロカボ」「低糖質」「糖質オフ」などの言葉に騙されずに、まずは自分で血糖値測定をしてみて、安全か、本当に糖質が少ないか?などを確かめるべきでしょう。このような糖質をカットしている商品が色々発売されて、選択肢が広がることは良いことなのですが、大して糖質が少なくなっていない商品も横行しているように感じてしまいます。

少なくとも表示を見て、1個あたり糖質量10g以下のものを購入すべきでしょう。例えばこの「特選ミルクドーナツ」は糖質量14.1gです。「完熟トマトリゾット」という商品は糖質量28gです。この「ロカボデリ リンガーハットの長崎ちゃんぽん」なんて33.6gですよ!こんな糖質量でもどれも「ロカボマーク」が付いてしまっています。何でもありになっている状態です。もちろん、「ロカボ」は1食で20~40gの糖質を摂ることが「適正」だと考えていますので、糖質制限とは全く異質のものです。しかし、商品を作る側の企業としては、これくらいの甘い基準の方がコストなどを考えると作りやすいのでしょう。

30gの糖質を摂ってみると、耐糖能異常がある人では軽く血糖値140を超えてしまいます。糖尿病であれば200を超えるでしょう。1食で30~40gの糖質は血糖値スパイクを抑えられません。中途半端な糖質制限は実際にはあまり意味がありません。(「中途半端な糖質制限では中途半端な結果になる その1」「その2」など参照)

ロカボでは糖尿病を寛解に持ち込むことはまず無理でしょう。3年間やってもHbA1cは8から7.5と0.5しか低下しません。中性脂肪も高いままです。全く耐糖能異常がない人であれば良いのかもしれませんが、多くの人にとって健康的な食事とは言い難いです。

ロカボという言葉が独り歩きしすぎている感じですね。健康にはちゃんと糖質制限でしょう。

コメント

  1. 鈴木 武彦 より:

    健康に害を及ぼすことが明白なのに抗えない習慣性・洗脳力・依存性。
    「(合法)ドラッグ」的ですね。

    • Dr.Shimizu より:

      鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      お米は中毒性、依存症は高そうですね。日本の文化とも結びついてしまっているのでなかなか難しいでしょうね。

  2. 登山好きランナー より:

    いつも楽しく拝見しております。
    お米を食べる時は我が家では湯取り法で作るようにしております。お米を6分ほど湯がいて煮汁を捨てて弱火で蒸して完成です。非常にあっさりした甘みのないご飯ができますよ。タイ米やジャスミンライスなどを作る時もこの方法で作ると美味しいご飯ができます。たまにスパイスカレーを作った時や、チートデイなどではこの湯取り法を基本にして美味しくいただいております。やっぱりたまには食べたくなりますので(汗)

    • Dr.Shimizu より:

      登山好きランナーさん、コメントありがとうございます。

      湯取り法は恐らくこの炊飯器と同じようなことをしているのでしょうね。でも血糖値普通に上がりませんか?
      「美味しいご飯」という言葉に中毒性、依存性の高さを感じてしまいます。

      • 登山好きランナー より:

        血糖値は計測していないのでわからないですね。
        糖質はほんと中毒性ありますよね。
        完全に断ち切ることはできずも、たまに食べる嗜好品程度に考えております。