TyGインデックスと心筋梗塞

これまで何度か取り上げているTyGインデックスですが、血糖値と中性脂肪値によって計算し、リスク評価に使えます。(「中性脂肪値と血糖値からわかるTyGインデックスと動脈硬化」参照)

計算したい方は「中性脂肪値と血糖値だけで様々な疾患のリスクを評価できる」からどうぞ。TyGインデックスが8未満というのが一つの目標値ではないでしょうか?8.3以上は注意信号、9を越えたらかなり危険な状態だと思います。

今回の研究では、TyGインデックスと心筋梗塞の関連を分析しています。対象は98,849人、年齢の中央値は51.81歳でした。ベースラインのTyGインデックスによって4つのグループに分けています。TyGインデックスが最も低いグループの平均が7.91、次の平均が8.39、その次が8.79、最も高いグループの平均が9.46でした。

追跡期間の中央値は11.3年で、その結果心筋梗塞を起こすリスクは、ベースラインのTyGインデックスでは、最もTyGインデックスが低いグループと比較して、2番目に低いグループで1.26倍、次が1.60倍、最も高いグループでは2.08倍でした。

追跡期間の間の平均のTyGインデックスで分析すると、最もTyGインデックスが低いグループと比較して、2番目に低いグループで1.07倍、次が1.30倍、最も高いグループでは1.58倍でした。(図は原文より)

上の図はaはベースラインTyGインデックスで4つのグループに分けたときの経過年数と累積発生率の関係、bは平均のTyGインデックスとの関係、cは受診したときのTyGインデックス8.83以上の回数で分けたものです。当然TyGインデックスが高いほど発生率が高くなっています。TyGインデックスが高い回数が増加すると、当然リスクも高くなります。

 

上の図はTyGインデックスの数値によるリスクです。TyGインデックスが8前後よりも大きくなるとリスクも大きくなっています。

このTyGインデックスはインスリン抵抗性を表しています。空腹時血糖が高いこと、空腹時中性脂肪が高いことは非常に様々なリスクが高いのです。例え空腹時血糖が90でも中性脂肪が100になると、TyGインデックスは8.41となってしまいます。

まずは糖質制限でTyGインデックス8未満を目指しましょう。

 

「Triglyceride-glucose index is associated with the risk of myocardial infarction: an 11-year prospective study in the Kailuan cohort」

「TyGインデックスは心筋梗塞のリスクと関連している:Kailuanコホートでの11年間の前向き研究」(原文はここ

2 thoughts on “TyGインデックスと心筋梗塞

  1. 飽食は最近50~60年程の現象で、人体は飢餓状態がむしろスタンダード。
    現代社会の食習慣に従っていたら病気にならない方が不思議ですね。

    医師もそんなことはご存じでしょうに「予防医学」にシフトしないですね。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      本当に現代は食べ過ぎなのでしょうね。特に狩猟採集生活ではめったに手に入らなかった糖質が現代では溢れています。
      予防ができたら、誰が困るか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です