卵反対派は卵に大量のコレステロールが入っていることを根拠に、不健康な食材と考えていると思います。これまでにいくつもの卵摂取と心血管疾患などとの関連の研究がありました。しかし、最低でも1日1個の卵は全く問題ありません。
今回の研究では、卵の摂取と心血管疾患のリスクとの関係を分析しています。23の研究で、追跡期間の中央値は12年です。123,660件の症例と157,324件の心血管疾患イベントを伴う合計1,415,839人の人が対象となりました。(図は原文より)
上の図は、卵の摂取量が1日に0~1個までの人と比較した、1日に1個よりも多い場合の人の心血管疾患のリスク比です。リスク比は0.99で全く関連していませんでした。
上の図は上側がが冠動脈疾患との関連、下が脳卒中との関連です。脳卒中のリスク比は0.92で関連無しでしたが、冠動脈疾患のリスク比は0.89で卵の摂取量が1個より多い人の方がリスクが低下していました。
実際にはこれらの研究はほぼ全て食事アンケートのデータの研究です。質の低いデータを集めても質の低い結果しか出ませんが、それでも卵の1日1個よりも多い摂取は心血管疾患とは全く関係していません。
食事アンケートの研究ではなく、短期ではありますが実際に介入した研究では、以前の記事「1日3個の卵は健康的であるかもしれない」「糖質制限と卵の摂取」「朝食時の週12個の卵はLDLコレステロールを増加させず、収縮期血圧の低下に関連」でも書いたように、1日3個の卵でさえ有益な結果が出ています。
LDLコレステロールには質があります。数値だけに囚われないようにしましょう。
卵を制限する根拠はないでしょう。気にせず食べましょう。もちろん糖質制限が前提です。
「Association Between Egg Consumption and Risk of Cardiovascular Outcomes: A Systematic Review and Meta-Analysis」
「卵の消費と心血管転帰のリスクとの関連:システマティックレビューとメタ分析」(原文はここ)
今回のブログテーマと異なるコメントになること、お許しください。
私は境界型で、空腹時が自己採血で110超え、A1cが6.4%です。
会社の同僚(2型糖尿病で投薬、インスリンともになし)と定期健診のオプション検査(頸動脈エコーとCAVI・ABI)を受けました。
結果は2人とも「血管はしなやか(平滑・プラークなし)で、石灰化も狭窄もなし」という意外なものでした。
そんな折り、あさひ内科クリニックの新井圭輔という医師の方が、
「糖尿病は高血糖が問題ではなく、高インスリン血症が問題なのだ」
といった内容の主張をされているのを目にしました。
合併症を起こしたり、癌になったりするのもインスリン分泌が原因だそうです。
私も同僚も血管が問題なければ多少高血糖でもいいかと変なバイアスがかかっています。
先生はどうお考えでしょうか?
都久夫須麻さん、コメントありがとうございます。
>私も同僚も血管が問題なければ多少高血糖でもいいかと変なバイアスがかかっています。
>先生はどうお考えでしょうか?
厳しい言い方をすれば、ただの逃避です。糖質過剰症候群は心血管疾患だけではありません。
空腹時血糖が110を超えているのであれば、様々な疾患のリスクは十分に高くなっています。
高血糖も高インスリン血症もどちらも良くありません。
>LDLコレステロールには質があります。数値だけに囚われないようにしましょう。
中性脂肪が十分に低ければ、LDLコレステロールは高くても問題ないと言われていますが、どれくらいまで大丈夫なのでしょうか。限度はあると思いますが。
以前にも書きましたが、私は毎日卵を3個くらい食べていると数か月後にはLDLコレステロールが200近くまで上がり、中止すると130くらいまで下がります。それ以下にはなりません。元々、高めではあります。
中性脂肪が低ければよいのですが、コレステロールと共に中性脂肪も上がってきます(60前後→100オーバー)。
このような中性脂肪も連動するようなコレステロールのレスポンダーでも高コレステロールは問題ないのでしょうか。
因みに現在、59歳、BMIは20.5です。
西村 典彦さん、コメントありがとうございます。
家族性高コレステロール血症(FH)の人を考えると、LDLコレステロールは400以上でも問題ないと思います。
FHの研究では、コレステロール低下治療を受けていても受けていなくても、
LDLコレステロールと超音波で調べたアテローム性動脈硬化プラークの数との間に相関は見られません。
また、心血管疾患あり無しのLDLコレステロール値および平均年齢は、6つのFHの研究のうちの5つで有意に違いはありません。
その一方で、HDLコレステロールは、心血管疾患のあるFHでは有意に低かったのです。
さらに、心血管疾患になるFHの人では、高LDLコレステロールより心血管疾患の他のより重要な危険因子(凝固線溶系因子の異常など)
を遺伝的に受け継いでいる可能性があります。
別のFHの研究では3分の1の人に心血管疾患がありましたが、心血管疾患のある人では、
インスリン、インスリン抵抗性、中性脂肪、t-PAI-1抗原および活性が有意に高くなっており、HDL-Cは有意に低くなっていました。
その一方で、喫煙、血圧、肥満またはLDLコレステロールに関して有意な差はありませんでした。
これらのより、私は糖質制限をしていることを前提として、全くLDLコレステロールが高いことは気にしていません。
しかし、中性脂肪も高くなると何とも言えません。空腹時の中性脂肪が100を超えるとなると、コレステロールとは別の問題かもしれません。
脂肪酸の種類を変えてみると何か変化があるかもしれませんが、分かりません。
先生も御存じかもしれません。
『無病法(極少食の威力)』(ルイジ・コルナロ著)にはまってます。
年齢を重ねるほど食べ物を代謝する力は衰える、少食が高齢でも元気な秘訣。
こういうたぐいの本はたくさんあるでしょうが、この本は説得力有りました。
(極少食のメニュー:玉子の黄身1個/パンとミルク、魚や肉少量、以上で一日分。)
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
現在の普通の1日3食は多すぎる可能性はあると思いますが、
少食が本当に良いのかどうかはわかりません。
食べることは好きなので私はやろうとも思いません。
EBM的なもの無く、どちらかというと思想、宗教的です。
「信じる者は救われる」です。
昨日の夜に、「黄身だけ」を10個食べました。白身は美味しくないうえに、嚥下がきつい場合があるので(黄身だけなら円滑に飲み込めます)…。
結果は?
身体は何とも無し、です。
たがしゅう先生による卵10個負荷実験の記事では、卵を食べたら、時間の経過に伴って中性脂肪の数値がぐんぐん低下していったのが印象的です。インスリンは分泌されますが、それでも数時間後にはちゃんと低下していましたね。
私はコレステロールの数値は全く気にしません。コレステロールの数値が高ければ高いほど長生きできる、と考えています。絶食していると、肝臓がコレステロールを産生するのですから。
コレステロールなんかよりも、空腹時の中性脂肪、血糖値,インスリンの数値のほうが遥かに重要因子と考えます。
肉・魚・脂肪と同じく、卵は狩猟採集生活者として暮らしてきた頃から、人類が食べ続けてきた食べ物なのですから、我々の身体に最も適応している食べ物の1つである、と考えます。
今後も安心して卵を好きなだけ食べ続けます。
クリードンさん、コメントありがとうございます。
卵はコレステロールのせいで標的にされていますが、問題ないと思います。
卵白にも栄養があるのでもったいない気がしますが。