オーストラリア糖尿病学会も糖質制限推奨へ

アメリカ、カナダが糖質制限を認めましたが、それに続いてオーストラリアも糖質制限推奨へ舵をきりました。(「アメリカ糖尿病学会が出した歴史的なコンセンサスレポート 糖質制限を推進!」「カナダ糖尿病学会も糖質制限へ」参照)

2021年10月糖尿病オーストラリアはポジションステートメントとして、「Type 2 diabetes remission」(2型糖尿病の寛解)というものを発表しました。キーポイントを見てみましょう。

1.2型糖尿病の寛解は、血糖降下薬がない状態で、HbA1c値が少なくとも3か月間6.5%(48mmol / mol)未満にとどまる血糖値の持続的な改善として定義されます。

2.2型糖尿病の寛解は、集中的な食事の変更または減量手術の後に達成される体重減少によって可能です。

3.寛解は最適な用語です–それは2型糖尿病が治癒または回復することを意味するものではありません。 根底にある耐糖能異常が持続する可能性があり、心血管の健康リスクの増加が持続する可能性があり、時間の経過とともに、血糖値が2型糖尿病を示すレベルに戻る可能性があります。

4.このポジションステートメントで定義されている2型糖尿病の寛解は、全ての人にとって現実的というわけではありません。また、血糖値の管理を超えた利点があるため、一部の人々が特定の血糖降下薬の服用をやめることは望ましくありません。一部の人々は糖尿病を管理するために投薬を続けることを好むかもしれないことに注意する必要があります。

5.糖尿病の寛解を試みたい2型糖尿病の人々は彼らの糖尿病ヘルスケアチームと密接に相談してそうする必要があります。集中的な食事と体重の変化には注意深い管理、監視、サポートが必要であるためです。

6.2型糖尿病の寛解は、糖尿病の期間が短い(5年未満)人、寛解を試みるときのHbA1cが低い人、およびインスリン療法を必要としない人でより起こりやすくなります。

7.集中的な食事の変更によって寛解を試みる2型糖尿病患者の半数未満が、1年で寛解を達成し、3分の1だけが2年間で寛解を維持する可能性があります。かなりの臨床的および心理社会的支援が必要です。

8.寛解を達成できないまたは維持できない人々は、彼らが「失敗した」と感じるべきではありません。減量とHbA1cの低下による健康上の利点は、寛解が起こらなくても重要です。これらは糖尿病関連の合併症を発症するリスクを減らし、血糖降下薬の減少または中止につながる可能性があるためです。

9.糖尿病合併症に対する寛解の影響に関する証拠が不十分であるため、寛解している全ての人は、少なくとも年に一度の定期的な糖尿病モニタリングを受け続け、毎年のヘルスケアチェックを継続する必要があります。これには、タイムリーな糖尿病の目のチェックと、ニーズに合わせた自己管理の継続的なサポートが含まれます。

10.2型糖尿病の寛解を達成した人は、寛解していない人と同じサポートとリソースにアクセスできるように、National Diabetes ServicesSchemeに登録したままにする必要があります。

11.推奨基準を満たす2型糖尿病の人々は、減量手術をより広く利用できるようにする必要があります。

12.2型糖尿病の寛解の「リアルワールド」での達成、つまり、寛解に入ってそれを維持するさまざまな手段、合併症に対する寛解の長期的影響、および2型糖尿病の子供や若者、先住民、文化的および言語的に多様な背景を持つ人々を含むさまざまな集団における寛解を理解するには、さらなる研究が必要です。 

重要なのはポイント2の内容です。集中的な食事の変更で寛解が達成できるとしています。

その集中的な食事の変更は次のようです。(図は原文より)

食事法は2つです。非常に低エネルギーな食事とケトン食です。

非常に低エネルギーな食事は、「1日あたりのエネルギー摂取は3,300kJ以下です。これは多くの場合、完全食の交換(シェイク、スープ、またはバー)によって達成されます。」としています。3,300kJ=789kcalです。えー。持続困難ですね。

ケトン食は、「主に脂質が多く、炭水化物が非常に少なく、タンパク質を適度に摂取する。食事の主要栄養素は、約55%から60%の脂質、30%から35%のタンパク質、および5%から10%の炭水化物に分けられる」としています。素晴らしい!

糖尿病の寛解に糖質制限(ケトン食)の有用性が認められたことになります。ただ、残念なのは、最後の文章、

「最近の系統的レビューとメタアナリシスは、低炭水化物または超低炭水化物食に従って2型糖尿病の寛解を達成する人々の割合は、他の食事療法に従う人々によって達成される寛解率よりも高くないことを報告しました。」

と書かれています。このエビデンスは様々な研究を分析していますが、問題のある研究もあり、エネルギー制限も併用しているものいくつもあり、純粋に糖質制限食、ケトン食の研究の分析ではありません。

まだ、残念な部分もありますが、オーストラリアも糖質制限に舵をきったと思われます。世界は変わりつつあります。

 

「Type 2 diabetes remission」

「2型糖尿病の寛解」(原文はここ

2 thoughts on “オーストラリア糖尿病学会も糖質制限推奨へ

  1. 海外先進国は新たな知見に関して柔軟ですね。

    現在日本は経済成長が他国から取り残されがちですが、
    医療・健康面もそうならないように願います。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      欧米、オーストラリアなどは日本よりも肥満が非常に多いので、糖質制限しかないと分かったのではないでしょうか?
      日本はまだ肥満は少ないですが、糖尿病は多いはずなので、変化が必要でしょう。

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