スタチンは糖尿病を進行させる

スタチンは過去に心血管系の症状を起こしたことのない人に対して、5年間でどれだけのことが予防できるでしょうか?

命を救えたのは0人
心臓発作を防げたのは104人中1人
脳卒中を防げたのは154人中1人

つまり、心臓発作を防ぐというNNT(治療必要数)は104、脳卒中を防ぐというNNTは154です。スタチンで命まで救うことはできませんでした。さらに、スタチンの害は

50人に1人が糖尿病を発症
10人に1人が筋肉に異常

です。糖尿病がない人50人に1人糖尿病を発症してしまいます。以前の記事「スタチンはインスリン抵抗性を増加させる」に書いたようにスタチンはインスリン抵抗性を増加させます。

では、すでに糖尿病の人がスタチンを使用するとどうなるでしょうか?

今回の研究では、2003年から2015年までのスタチンの開始と糖尿病の進行との関連を調べています。対象は83,022人のスタチン使用者です。糖尿病の進行というのは、新しいインスリンの開始、血糖降下薬の数の増加、200mg/dL以上の血糖値の5回以上の測定の発生、ケトアシドーシスまたは制御不能な糖尿病の新しい診断です。(図は原文より)

上の図は糖尿病の進行の可能性を示しています。糖尿病の進行の可能性は1.37倍、インスリンの開始は1.16倍、糖尿病薬の増加は1.41倍、5回以上の血糖値200以上は1.13倍、ケトアシドーシスまたは制御不能な糖尿病の新しい診断は1.24倍でした。

 

上の図はスタチン使用による2次分析です。3番目のコレステロール低下の強さのところを見てみましょう。ベースラインから50%以上LDLコレステロールを低下させたものを高強度、30~50%を中等度、30%未満を低度としていますが、高強度、つまりベースラインから50%以上LDLコレステロール下げた群が最も糖尿病の進行の可能性が高くなっていました。LDLコレステロールを下げれば下げるほど糖尿病が進行しやすくなるのかもしれません。

1人糖尿病が進行するのに必要なスタチン使用者は13人で、スタチンを飲んでいる糖尿病のある13人に1人が糖尿病が進行してしまうことになります。

心血管疾患にとってLDLコレステロールとの関連は少なく、インスリン抵抗性の増加の方が非常にリスクが高いことを考えると、スタチンが本当に必要なのかどうか疑問に思ってしまいます。

心血管疾患も糖質過剰症候群です。糖質制限が最も重要だと思います。

 

「Association of Statin Therapy Initiation With Diabetes Progression: A Retrospective Matched-Cohort Study」

「スタチン療法の開始と糖尿病の進行との関連:後ろ向き一致コホート研究」(原文はここ

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