スタチンはインスリン抵抗性を増加させる

スタチンは以前の記事「スタチンの使用は、はっきりとした糖尿病発症のリスク増加がある!」で書いたように糖尿病発症リスクを高くします。50人に1人発症と言われています。

スタチンを使うと血糖の代謝はどうなるのでしょうか?今回の研究では、スタチンの中のアトルバスタチンを使って分析しています。日本では通常の高コレステロール血症では10mgで、重症では20mg使用します。家族性高コレステロール血症ではその倍使用します。それぞれのグループは40人ちょいの人数です。(図は原文より)

上の図はプラセボとスタチンを10mg~80mg2か月使用した場合のHbA1cと空腹時インスリンの変化です。いずれのアトルバスタチンでもプラセボよりもHbA1c、空腹時インスリンは上昇しています。

上の図はアディポネクチンとQUICKIの変化です。アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌されるいわゆる善玉ホルモンの一種で、インスリン感受性を上げる作用があります。メタボリックシンドロームなどではアディポネクチンは低下します。QUICKIはインスリン感受性の指標です。いずれも低下傾向を示していますが、アディポネクチンは有意ではありませんでした。

アトルバスタチンは脂肪細胞におけるブドウ糖を取り込むGLUT-4の発現を弱め、耐糖能低下をもたらすと考えられています。

いずれにしてもスタチンはインスリン感受性を低下させ、インスリン抵抗性を増加させ、耐糖能を低下させると考えられます。

多くの人がLDLコレステロールが高いというだけで予防的にスタチンを飲んでいます。予防的なスタチンでインスリン抵抗性を増加させてしまうのは問題でしょう。本当にスタチンが必要なのかどうか、十分に検討する必要があるでしょう。

 

「Atorvastatin causes insulin resistance and increases ambient glycemia in hypercholesterolemic patients」

「アトルバスタチンは、高コレステロール血症患者のインスリン抵抗性を引き起こし、周囲の血糖値を上昇させます」(原文はここ

4 thoughts on “スタチンはインスリン抵抗性を増加させる

  1. コレステロール値をやみくもに下げる事が良いこととは限らない、認識が無いのでしょうか。
    スタチンによって、有用な機能も損なわれてしまっているのですね。

    今回の新型コロナワクチン接種にしても副反応のリスクより、摂取による利益(ベネフィット)が大きいとの説が優勢です。
    スタチン処方も利益(ベネフィット)が大きいという考え、もしくはリスクなどそもそも考慮されていないのでしょうかね。
    単に売れる!薬だからでしょうか。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      人間に備わっているメカニズムを変更する薬がリスクがあるのは当然でしょう。
      エビデンスの名のもとに医療は〇〇に乗っ取られてしまったのかもしれません。

  2. 清水先生、こんばんは。
    一つの項目だけに注目して、患者さん全体を見ないことは非常に危険なことだと思います。
    開発段階では、今回記事になっている項目を評価していなかったのでしょうか。

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