糖尿病と突発性難聴との関連

前著『「糖質過剰」症候群』でも書いたように、突発性難聴は糖質過剰症候群だと考えられます。糖質過剰摂取による、微小血管障害や神経障害、インスリン抵抗性およびインスリンシグナル伝達障害などが原因でしょう。

HbA1cは鋭敏な指標ではありませんが、ある程度の血糖値、耐糖能障害の目安になります。

今回の研究では、突発性難聴とHbA1cレベルとの相関を分析しています。突発性感音難聴(SSNHL)の116人が対象で、中央値54歳、31人の患者が糖尿病で、85人が非糖尿病でした。

上の図はそれぞれのグループの特徴です。糖尿病グループの方が高齢でした。当然空腹時血糖とHbA1cは有意な差がありました。pure-tone average (PTA) (純音聴力平均)はPTAが25 dB HL未満の場合、難聴は正常と定義され、PTAが26dBHL~40dBHL未満の場合、難聴の重症度は「軽度」、41~60dBHL未満は「中程度」、61~80dBHL未満の場合は「高度」、81 dBHLを超える場合は「重度」です。糖尿病患者の治療前のPTAは、非糖尿病患者よりも高く、90%が高度以上で、80%近くが「完全難聴タイプの突発性難聴」でした。

治療後のPTAも糖尿病グループで高く(80.83対42.86dBHL)、予後不良でした。糖尿病グループで治療が効果的だったのは32.3%でした。一方非糖尿病グループでは60%近くが効果がありました。

上の図はHbA1cレベルと突発性難聴の相関関係です。治療前のPTA、難聴の重症度、聴力検査による分類と相関を示しました。糖尿病は、非糖尿病よりも、当然HbA1cレベルが高く、難聴が重度で、予後が不良でした。

HbA1cが1%増加すると、微小血管合併症が37%増加するという研究もあります。(ここ参照)

突発性難聴の予防にはまずは糖質制限ですね。

 

「Association of Glycosylated Hemoglobin A1c Level With Sudden Sensorineural Hearing Loss: A Prospective Study」

「HbA1cレベルと突発性難聴との関連:前向き研究」(原文はここ

2 thoughts on “糖尿病と突発性難聴との関連

  1. 世の中、病気がスタンダード?という程医療機関や製薬会社潤っている現状
    (オプジーボ特許料訴訟関連で、小野薬品がポン!と280億円支払には驚きました)。
    そして、スウィーツを始めとした糖質供給業界も長年好景気ですね。

    持ちつ持たれつ、と感じてしまいます。
    (先生の新刊届き、楽しみながら読み進めています。)

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