ストレスは高血糖を起こす可能性があります。
例えばカナダの35〜60歳の7,443人を対象に仕事のストレスと糖尿病発症のリスクを分析したものがあります。(この論文参照)職務管理のレベルが低いと女性では2型糖尿病の発症リスクが2倍になりました。
また、ドイツの29〜66歳の5,337人を対象にした研究では、仕事のストレスが高い人は、仕事のストレスが低い人よりも、2型糖尿病を発症するリスクが45%高くなっていました。(この論文参照)
ストレスは交感神経を亢進させ、血糖値を上昇させるグルカゴンやアドレナリンが分泌されやすくなります。またストレスホルモンであるコルチゾールも、血糖値を上昇させます。だから頻繁にストレスで血糖値が高くなっていると、糖尿病のリスクが上がるのかもしれません。そして、ストレス緩和には甘いものを食べると良い、というウソの説を信じてしまう人も多いのかもしれません。
しかし、逆にストレス高血糖を起こしやすい人には、すでに糖尿病の素因があるから糖尿病を発症しやすい可能性があります。妊娠糖尿病での妊娠時の高血糖は、妊娠時の一時的な耐糖能障害ではなく、その後2型糖尿病を発症するリスクが高くなるのと同じです。
最も大きなストレスの一つは重篤な疾患でしょう。
今回の研究ではオーストラリアのICUに入室した糖尿病のない17,074人の患者を対象としています。この研究ではストレス誘発性高血糖は、ICU入室から24時間以内の血糖値が200mg/dLとして定義されました。(図は原文より)
上の図は横軸が退院後の年数で縦軸は2型糖尿病の累積発生率です。赤い線がストレスで誘発された高血糖があった人で、青い線はストレス高血糖が認められなかった人です。ストレス高血糖の人の2型糖尿病発症リスクは1.91倍でした。
上の図は年齢による違いです。正常血糖で18〜29歳の人を基準にすると、最もリスクの高いのが50~59歳のストレス高血糖の人で7.9倍でした。
ストレスに対する血糖値の変動は、既に存在するインスリン抵抗性や慢性炎症の影響を受ける可能性があります。ストレス発散やストレスをためないことは重要なことですが、日常の食事で血糖値を上げないような体にすることももっと重要かもしれません。
血糖値を上げるのは糖質です。
「Stress Induced Hyperglycemia and the Subsequent Risk of Type 2 Diabetes in Survivors of Critical Illness」
「重篤な病気の生存者におけるストレス誘発性高血糖とそれに続く2型糖尿病のリスク」(原文はここ)
よく「怒ると血圧が上がるよ」などと言われますが、上がるのは血圧だけではありません。
会社の会議でのバトルは血糖値も上がります。
リブレを付けていると想像もしていない現象を捉えることがありますが、会議のバトルもその一つです。食事でもしたかのように血糖値が上がりました。
精神的ストレスで血糖値にこれほどの変化があるのだと認識を改めました。
現在、定年退職し数ヶ月経ちますが、精神的ストレスから解放されて血糖値も安定しているように思います。
西村 典彦さん、コメントありがとうございます。
狩猟採集の時代ではストレスがかかる状況では命に係わる場合も多かったでしょうから、
血圧も血糖値も上がるんでしょう。
精神的ストレスは本当に健康に良くないですね。
精神的ストレスでスウィーツや喫煙、アルコールなどの摂取が増え、
インスリン抵抗性や慢性炎症などの悪循環に陥りがち。
日頃から糖質制限を始め、健康管理しておくことが大事ですね。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
精神的ストレスや疲れたときに甘いものは逆効果、悪循環でしょうね。