肝臓の脂肪含有量とインスリン感受性に対する異性化糖の影響

果糖は脂肪肝を招きます。現在では様々な食品に異性化糖(果糖ブドウ糖液糖)の形で果糖が大量に含まれています。

今回の研究では様々な量の異性化糖を含んだドリンク(果糖55%ブドウ糖45%)を1日3杯、2週間飲んで、どのように変化したかを分析しています。85人を4つのグループに分け、1日のエネルギー摂取量のうち0%(アスパルテーム)、10%、17.5%、25%をこのドリンクに置き換えます。食事のPFCバランスは炭水化物55%、脂肪30%、タンパク質15%の通常の糖質過剰な食事です。当然、肝疾患や糖尿病の人は除外されています。年齢は18〜40歳、BMI 18〜35なので、本当にもとから肝機能障害がないのかどうか微妙ですが。(図は原文より)

上の図は肝脂質含有量の変化です。0%(アスパルテーム)では肝臓の脂肪は低下しましたが、異性化糖はその量が多くなるほど肝脂肪が多くなっています。

予測MISIと松田ISIという、どちらもインスリン感受性の指標の変化です。アスパルテームではインスリン感受性が増加し、異性化糖が多くなると感受性が低下しています。

上の図はOGTTの3時間のブドウ糖およびインスリンの曲線下面積の変化率です。アスパルテームではどちらも低下していますが、異性化糖ではどちらも増加ですね。ただ、異性化糖が増加すればするほど変化が大きくなってはいませんでしたが、ブドウ糖は17.5%と25%で、インスリンは10%と25%で有意に増加していました。

OGTT中の3時間の血糖値変動です。17.5%、25%は有意に増加しています。

OGTTの3時間中のインスリンの推移です。25%でインスリン分泌がベースラインより増加しています。

 

食後の乳酸変動です。異性化糖でかなり乳酸が増加しています。

食後のブドウ糖とインスリンの変動です。これもブドウ糖、インスリン共に17.5%、25%で増加しています。

果糖の量が増加するほど、肝臓の脂肪含有量は増加し、インスリン感受性が低下しています。たった2週間でも有意に変化が認められます。

果糖は直接は血糖値をほとんど上げないので健康的といまだに思っている人もいるかもしれませんが、果糖は猛毒です。脂肪肝、内臓脂肪、インスリン抵抗性を大きく増加させてしまいます。果糖が人間に有利に働いたのは、狩猟採集時代の話です。大昔、果糖がサバイバル栄養素となっていた時代は確かにありますが、現在では様々なものに果糖がたっぷり入り過ぎています。果物は健康的と言われますが、現代の果物は甘すぎます。健康的だと思って果物を食べすぎていると、内臓脂肪がタップリとたまっているかもしれません。

できる限り、異性化糖、果糖の含まれているもの、甘いドリンクは避け、果物もほどほどにするべきでしょう。

脂肪肝、インスリン抵抗性は糖質過剰症候群です。

 

「The Dose-Response Effects of Consuming High Fructose Corn Syrup-Sweetened Beverages on Hepatic Lipid Content and Insulin Sensitivity in Young Adults」

「若年成人の肝脂質含有量とインスリン感受性に対する高果糖コーンシロップで甘くした飲料の摂取の用量反応効果」(原文はここ

2 thoughts on “肝臓の脂肪含有量とインスリン感受性に対する異性化糖の影響

  1. 果物はビタミン・ミネラルや食物繊維が豊富で健康的。
    成分の果糖も、血糖値を上げないし何がいけないのでしょうか?
    と、思考停止状態でメタボや生活習慣病、合併症、その他諸々の不調の原因となっている場合も多いのではないでしょうか。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      今の果物は本当に甘すぎますからね。
      果物は体に良いと思い、大量に摂取して、不健康な人もいっぱいいます。

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