先日「お昼、お腹いっぱい食べたのにもうお腹空いちゃった」という会話が聞こえてきました。多くの人はいっぱい食べるとしばらくは空腹感が起こらないと思っているかもしれません。もちろん、その量が非常に多ければ、消化に時間がかかって空腹感が起きにくくなるかもしれません。
しかし、空腹感は多くの場合、食後の血糖値スパイク大きさやそのスパイク後の血糖値の低下で起きると思います。血糖値スパイクが大きくなるとその後の低下は非常に急峻で、低血糖にまでなる人もいるでしょう。それが酷ければ機能性低血糖になります。
今回の研究では、全く糖質制限ではありませんが、高炭水化物+低脂質の食事(炭水化物62.3%、脂質23.8%) と低炭水化物+高脂質の食事(炭水化物47.2%、脂質38.1%)を食べた後での血糖値変動と空腹感について分析しています。対象は21~50歳の太りすぎではあるが一応健康な64人です。(図は原文より)
上の図は食後の血糖値とインスリン値の推移です。点線が高炭水化物群で、実線が低炭水化物群です。予想通り、高炭水化物群の方が血糖値スパイクは大きく、その後血糖値は急激に低下しベースラインを下回っています。インスリンも高炭水化物群の方がスパイクが大きくなっています。しかも、高炭水化物群では120分後にはすでに血糖値がベースラインに戻っているにもかかわらず、まだ大量のインスリンが分泌されていて、180分後に血糖値がベースラインを下回ってもまだインスリンがベースラインよりも多く分泌されているのです。
上の図は自己申告の空腹感と満腹感の高炭水化物群の方が食後3時間、4時間の空腹感が大きくなっています。満腹感の減少は高炭水化物の方が大きく見えますが、有意な差はありません。
多くの人は、お腹に何を入れても満腹感は得られ、その後の空腹感が出るのも、どれだけの量をお腹に入れたか、が関係していると思っているかもしれません。しかし、糖質制限をするとわかるように、糖質制限食では食後のしばらくしてもあまり空腹感は起こりません。私は1日2食ですが、糖質過剰摂取時代のような強い空腹感に襲われることはありません。
空腹感は胃の中の食物の量で決まるわけではなく、血糖値とホルモンの変動で感じるものです。糖質を過剰摂取すれば、血糖値スパイクを起こし、その後急激に血糖値が低下します。そうすると、脳はエネルギーが足りないと判断するのかもしれません。その空腹感に耐えられないと、人は間食します。間食したのに、次の食事は十分に食べることができます。そうして糖質過剰摂取では体脂肪をエネルギー源にする時間が大きく減少し、太っていきます。
ただ、空腹感に襲われるだけならまだ良いのですが、以前の私のように、機能性低血糖を起こすとかなりつらい状態になり、人によっては精神の変調もきたす可能性もあります。
血糖値の変動は少ない方が良いので、そのためには糖質を制限するほかありません。
「Return of hunger following a relatively high carbohydrate breakfast is associated with earlier recorded glucose peak and nadir」
「比較的高炭水化物の朝食後の空腹感の回復は、以前に記録されたブドウ糖のピークと最下点に関連している」(原文はここ)
機能性低血糖、糖質摂取でとりあえず回復
するでしょうから「糖質摂取は必須」
と考える人(専門家も)多いでしょう。
悪循環を招きそうです。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
機能性低血糖を糖質で対処すると、いつまで経っても機能性低血糖は改善しませんね
清水先生、いつもありございます。
糖質制限をしていると、「腹減らない?」とよく質問されます。糖尿病、循環器の先生にも質問された事があります。
空腹感の違いは糖質制限をしている者しか分からないと思います。
糖質過剰摂取時代は空腹感で頭が一杯になり、何か食べないとやる気や力が出ないと云う感じでした。
糖質制限している現在は、空腹感はむしろ精神的に安心感、リラックス感が有りますし、、身体が軽くなったような感覚になります。
なんでも三日坊主だった私が、糖質制限を9年も継続出来て、毎日快適に過ごせていると感じられているのはこの空腹感かもしれません。
太田さん、コメントありがとうございます。
仰る通り、医師でも糖質制限で空腹感を感じるんではないかと思っている人はいっぱいいると思います。
やりもしないで糖質制限を否定する人は、この空腹感で継続が難しいとさえ思うでしょうね。
実際は逆に糖質制限の方が空腹感が少ないか、心地の良い空腹感のことが多いと思います。