アルコール摂取と強く関連している検査値は?

お酒が好きな人も多いと思います。私も弱いのですが、ほとんど毎日アルコール摂取しています。と言っても、糖質ゼロの缶ビール350mlを1本です。この程度なら、恐らくは健康を害することなく、逆に健康には良いのではないかと思います。

アルコールを摂取するとその量が多ければ様々な検査値が影響を受けます。今回の研究では、アルコール摂取のマーカーであるホスファチジルエタノールと他の検査値の関連を分析しました。(図は原文より)

上の図は横軸がホスファチジルエタノールなので、アルコール摂取量と考えて良いと思います。Aは肝機能のAST(GPT)、BはAST/ALT 比、CはγGT(γGTP)、DはHDLコレステロール、Eはフェリチンです。青が男性、赤が女性です。点線はそれぞれの基準値の上限値です。全体的に見て、当然ながらアルコール摂取量が多いとどの検査値も上昇しています。AST/ALT 比だけはちょっと動きが鈍いですが。つまり、AST、γGT、HDLコレステロール、フェリチンはアルコール摂取量のマーカーであるとも言えます。

ASTとγGTは肝臓系の逸脱酵素なので、肝機能障害を起こすアルコールを摂取すれば当然上昇するでしょう。またフェリチンも同様に、通常分泌されるものではなく、細胞障害で上昇するものなので、肝細胞の障害でフェリチンも上昇します。(「フェリチンとアルコール」参照)アルコールで鉄の吸収が良くなるのでフェリチンが増加するということを言う人がいるかもしれませんが、この研究のように、単に肝臓に負担がかかり、上昇していることの方が多いでしょう。古典的にはフェリチンは鉄の貯蔵量を反映すると考えられてきましたが、現在は炎症や肝機能障害のマーカーと考える人の方が多いでしょう。低いフェリチンは鉄欠乏を表していると考えられますが、高いフェリチンは何で上昇しているかはそれだけではわかりません。今回のようにアルコール摂取だけでも上昇します。

肝障害のマーカーではありませんが、アルコール摂取はHDLコレステロールを増加させます。以前の記事「HDLコレステロールを上げる食事、下げる食事」でも書いたように、最もHDLを上げるのはアルコールです。

今回の研究でも、アルコール摂取量との最も強い関係は、HDLコレステロールでした。そのあとにAST、フェリチン、γGTと続きます。意外にも中性脂肪は関連が弱い結果でした。LDLコレステロール関係ありませんでした。

ただ、アルコールがHDLを増加させると言っても、本当に質の良いHDLが増加しているかは疑問です。(「HDLコレステロールは高ければ良いってもんじゃない? その5」など参照)

いずれにしても、健康のためを考えれば、お酒はほどほどに。

「The alcohol marker phosphatidylethanol is closely related to AST, GGT, ferritin and HDL-C」

「アルコール マーカーのホスファチジルエタノールは、AST、GGT、フェリチン、HDL-C と密接に関連している」(原文はここ

2 thoughts on “アルコール摂取と強く関連している検査値は?

  1. 糖質制限のお陰様もあり、公認心理士試験合格できました。
    様々な依存症も学習、もちろんアルコールについても怖さを再認識。
    自信が以前は記憶を失くすほどの多量飲酒者だったので、最近はオールフリーなどの
    ノンアルコールビールのみになりました。

    先生北海道マラソンご出場、結果はいかがでしたか?

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      公認心理士試験合格おめでとうございます。
      北海道マラソンは完走しましたが、散々でした。また来年頑張りたいと思います。

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