みなさんはアテローム性動脈硬化性心血管疾患 (ASCVD)のリスク計算器を試したことがありますか?(計算機はここ)これは、2013年のアメリカ心臓病学会/アメリカ心臓協会 (ACC/AHA)が発表したもので、現在の10年間のASCVDリスクを計算してくれます。
私の10年リスクは4.8%でした。ただし、実際には総コレステロール値が入力できる上限の320を上回ってしまったので、この計算機の正確な数値ではありません。また、実際のLDLコレステロール値を入力すると、スタチンが推奨され、リスク計算さえしてくれません。生涯のASCVDリスクは50%でした。
このリスク計算器はどこまで信用できるのでしょうか?今回の研究ではこの精度を分析しています。
対象は、スタチン療法を受けていない40歳から75 歳までの糖尿病のない成人307,591人で、そのうち22,283人が黒人、52,917人がアジア系/太平洋諸島系、18,745人がヒスパニック系でした。患者の57%が10年予測ASCVDリスクの最低 (<5%) カテゴリーに属し、12%が予測リスク5.0%~<7.5%、8%が予測リスク7.5%~<10%、残りの23%は予測リスクが10% 以上でした。研究では10年ではなく、5年のリスクに計算しなおしています。
予測された5年ASCVDリスクと実際に観察された5年ASCVDリスクを比較しています。(図は原文より)
上の図は糖尿病がなく、ASCVD の一次予防のためのスタチン療法を受けていない 40歳から75 歳追跡調査の 1 年あたりのアテローム性動脈硬化性心血管疾患 (ASCVD) イベントの累積リスクです。5年間の間に徐々に増加しています。
上の図は5年間の予測リスク(オレンジ)と実際の観察されたリスク(青)です。上が40~75歳の糖尿病のない人、下が糖尿病のある人です。
糖尿病のないグループでは、計算された予測リスクは明らかに過大評価です。実際のリスクのおよそ5倍です。5年リスクが5%までの予測リスクでは実際には1%未満です。糖尿病のあるグループではさすがにリスクは高くなりますが、それでも5%以上の予測リスクは実際のリスクのおよそ2.4倍にもなります。
これを見ると計算機に入力するコレステロール値よりも糖尿病の有無の方が重要な気がしてなりません。
上の図は糖尿病の無いグループで、人種や性別のリスクです。赤が予測リスク、青が観察された実際のリスクです。どれも似たようなものです。やはり、このリスク計算はかなりの過大評価をしてしまうようです。
医師は様々なツールでリスクを評価し、その計算機で出てきたリスクを患者に伝え、脅すかもしれません。しかし、開発されたこのような計算機はかなりいい加減であり、スタチンを処方するために開発されたようなものでしょう。糖尿病がない場合、私のようにコレステロールがこの計算機で計算できないほど高くても、リスクはほとんど高くなりません。
恐怖や不安を煽り、薬を売りつけるのは、新型コロナウイルスワクチンと同じモデルです。
本当にリスク評価するには、食事と運動を含めて評価する必要があるでしょう。心血管疾患は糖質過剰症候群です。糖質制限をして適度に運動すれば、コレステロールが高くても問題が無いと思います。
「Accuracy of the Atherosclerotic Cardiovascular Risk Equation in a Large Contemporary, Multiethnic Population」
「大規模な現代の多民族集団におけるアテローム性動脈硬化症の心血管リスク方程式の精度」(原文はここ)