運動は脳のインスリン感受性を改善させる

運動は健康のためです。そして運動は脳の健康も改善すると思います。

今回の研究では運動により脳のインスリン感受性がどうなるかを調べています。対象は平均年齢31歳(21~59歳)、平均BMI31(27.5~45.5)の太り過ぎや肥満の21人(女性14人、男性7人)です。1 時間の持久力トレーニングを8週間行ってもらいました。

脳のインスリン感受性は、介入の前後にインスリンの鼻腔内投与(点鼻スプレー)と組み合わせて機能的 MRI を使用して評価されました。

8週後でも末梢のインスリン抵抗性(HOMA-IR)には大きな違いはありませんでした。運動介入後、経鼻インスリン投与とは無関係に、中脳および小脳における局所の脳血流の増加が観察されました。

上の図は右被殻のインスリン点鼻スプレーによる局所血流の変化です。運動をしない場合血流の増加はありませんでしたが、運動介入後に有意な増加を誘発しました。また、8週間の持久運動により、過体重または肥満の人の被殻におけるインスリン反応に変化が生じ、健康な体重の人のこの脳領域におけるインスリン反応に匹敵していました。

上の図は機能的結合(functional connectivity:FC)の変化です。人間の脳の画像研究では、脳のインスリンの作用が人間の脳の領域特異的な活動と機能的結合に影響を与え、認知、摂食行動、代謝に影響を与えることが示されているそうです。(詳しくは不勉強です)

運動前と比較して8週間の運動介入後に、点鼻インスリンに反応して、前頭前皮質と右海馬の間の機能的結合を有意に強力に増加させました。

上の図は運動による被殻のインスリンによる血流の変化と空腹感、内臓脂肪、骨格筋のミトコンドリア呼吸との関連を示しています。8週間の運動により脳のインスリン感受性が改善したした人では鼻腔内インスリンにより空腹感が減少し、また、内臓脂肪も減少しました。ミトコンドリア呼吸は増加しました。

つまり、脳のインスリン感受性は代謝と関連しているのです。脳のインスリン感受性の向上は代謝にプラスの効果をもたらし、空腹感が減少し、不健康な内臓脂肪が減少したのです。

たった8週間の1時間有酸素運動でさえ、大きな有益な効果があります。

脳のインスリン抵抗性は、認知症やうつ病などと関連があります。認知症もうつ病も糖質過剰症候群です。脳の健康のために糖質制限と運動を行いましょう。

「Exercise restores brain insulin sensitivity in sedentary adults who are overweight and obese」

「運動は過体重や肥満で座りがちな成人の脳のインスリン感受性を回復する」(原文はここ

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