メタボリックシンドローム、肥満の人では減量のために、安易にエネルギー(カロリー)制限をしてしまう人も多いでしょう。エネルギー制限をしてしまうと長く続かず、結局は断念して食事が元に戻りリバウンドしてしまいます。
減量後に体重がもとに戻ったとしても、すべてが元の状態に戻るとも限りません。逆にさらに悪くなる部分もあるかもしれません。
今回の研究ではメタボの非糖尿病の肥満男性に3か月減量のためにエネルギー制限(炭水化物55%、脂質30%、タンパク質15%で1日あたり1200Kcal )をさせて、その後介入を止めて60か月後に追跡調査をしました。やせた健康な男性を対照として比較しています。(図は原文より)
上の図のようにメタボ肥満男性は3か月後にせっかく改善したパラメータが、60か月後にはほとんどもとに戻っていました。しかし動脈硬化の指標として考えられている、脈波伝播速度(PWV)のbaPWV (brachial-ankle Pulse Wave Velocity)(上腕足首間脈波伝播速度)はベースラインよりも悪化していました。もちろん、60か月、つまり5年という歳月で悪化した可能性がありますが、同じ期間における健康で痩せた健康な対照者の体重増加後のPWVの増加量よりも有意に高く、これは、肥満メタボの体重回復後のbaPWVの増加が、老化プロセスまたは体重増加に関連した5年間の動脈硬化の増加を超えていたことを意味していると考えられます。しかも興味深いことに、動脈硬化の犯人とされているLDLコレステロールは3か月後だけでなく、60か月後でベースラインよりも低下しています。
もし、今回の研究の結果が本当であれば、長く続けることがほとんど困難なエネルギー制限を、安易に勧めたり、安易にやってみたりすることは有害です。
減量のための食事の変更は、当然その変更を止めて元の食事に戻せば体重は戻ってしまいます。逆にさらに体重が増加することもあります。それだけでなく、動脈硬化も悪化する可能性があります。
アテローム性動脈硬化症の原因はLDLコレステロールではありません。糖質過剰摂取です。
心血管疾患は糖質過剰症候群です。
「Regaining body weight after weight reduction further increases pulse wave velocity in obese men with metabolic syndrome」
「減量後に体重を戻すと、メタボリックシンドロームの肥満男性の脈波伝播速度がさらに上昇する」(原文はここ)
辛いだけのカロリー制限、
続けられる人は居ないでしょう
(糖質制限ですら挫折する人
も多いようですし)
リバウンドて却って体にダメージ
とは、残念ですね。