ワクチンでわかったように、医療は完全に一部の製薬会社、いわゆるビッグファーマに乗っ取られてしまったようです。
今回発表された新しいガイドラインでは、肥満に苦しんでいる子供には、薬物と手術という治療が積極的に行われようとしています。異常な世界です。信じられません。
体重管理のためのGLP-1週1回皮下投与製剤、Wegovy (セマグルチド2.4mg)がアメリカで昨年末に12歳以上の小児にも承認されたようです。
アメリカ小児科学会の子供の肥満治療のための臨床診療ガイドラインの最新版では、次のような文章で始まります。
The current and long-term health of 14.4 million children and adolescents is affected by obesity,making it one of the most common pediatric chronic diseases.Long stigmatized as a reversible consequence of personal choices, obesity has complex genetic, physiologic, socioeconomic, and environmental contributors. As the environment has become increasingly obesogenic, access to evidence-based treatment has become even more crucial.
1,440万人の子供と青年の現在および長期的な健康は、肥満の影響を受けており、最も一般的な小児慢性疾患の1つになっています。個人の選択の可逆的な結果として長い間汚名を着せられてきた肥満には、複雑な遺伝的、生理学的、社会経済的、および環境的要因があります。環境がますます肥満を誘発するようになるにつれて、エビデンスに基づく治療へのアクセスがさらに重要になっています。
これを読んでみていかがでしょうか?まるで、本人や親などには責任がほとんどなく、特に環境が悪いから肥満になるかのような文章です。しかし、肥満のほとんどの要因は食事であり、それは本人と親の責任のはずです。そして、そのことを認めず、ウソの推奨する医療の側の責任です。
A significant milestone in the fight to counter misperceptions about obesity and its causes occurred in 1998, when the National Institutes of Health (NIH) designated obesity as a chronic disease. The NIH made a further commitment to necessary research in the “Strategic Plan for NIH Obesity Research,” released by the NIH Obesity Task Force in 2011.In 2013, on the basis of accumulating evidence, the American Medical Association recognized obesity as a complex, chronic disease that requires medical attention.
肥満とその原因に関する誤解に対抗するための闘いにおいて重要な節目となったのは、国立衛生研究所 (NIH) が肥満を慢性疾患に指定した1998年でした。NIH は2011年にNIH肥満タスク フォースによって発表された「NIH 肥満研究のための戦略計画」で、必要な研究をすることをさらに決意しました。2013年、蓄積された証拠に基づいて、アメリカ医師会は肥満を医師の診察が必要な複雑な慢性疾患であると認識しました。
我々は本当に肥満の原因を誤解しているのでしょうか?ただの食べ過ぎというのは誤解ですが、肥満が糖質過剰摂取で起きていることは間違いがありません。それを認めなければ、誤解につながるでしょう。肥満は本当に「医師の診察が必要な複雑な慢性疾患」でしょうか?
子供の肥満をこのように定義することは、非常に医療側にとって重要です。糖質過剰摂取のままで、薬を投与でき、それでもダメなら手術ができるのですから。
もちろん、最初の文章でもあったように、環境、特に家庭環境が複雑になっている場合、親が食育ができず、肥満を助長する場合もあります。それでもやはり、遺伝的・疾患による肥満以外では、食事の変更以外に根本的な解決法はありません。
このガイドラインの言うことには、太りすぎや肥満の子供は、肥満の成人になる可能性が高く、心臓病や多くの種類のがんなどのリスクが高くなります。太りすぎや肥満の人は、生涯を通じて汚名を着せられたり偏見にも直面します。肥満の子供は、うつ病、社会的孤立、低い自尊心に苦しむ可能性が高く、仲間からもいじめられることが多いのです。そして、「注意深く待つ」ことをしていても、子供の BMI の大幅な増加、併存疾患の蓄積につながるだけであることがわかりました。だから、早期かつ積極的に評価および治療する必要があると言いたいようです。
このガイドラインではライフスタイルへの介入に加えて、薬物や手術などの治療を子供や10代の子供に提供する年齢が初めて設定されています。12歳から薬物治療、13歳から肥満手術です。
薬物療法にはいろいろな薬が並んでいます。まずは糖尿病の薬のメトホルミン。これは肥満の適応はないようです。そして日本でも今年18歳以上に承認されるオルリスタット。(「「抗肥満薬」オルリスタットが処方箋なしに薬局で購入可能になるようです」参照)アメリカではオルリスタットは12 歳以上の子供の肥満の長期治療薬として FDA に承認されているようです。
そして、恐らくメインになりそうな、リラグルチド、エクセナチド、デュラグルチド、セマグルチドなどのGLP-1受容体作動薬。エクセナチドは現在、10~17 歳の 2 型糖尿病の小児に承認されています。リラグルチドは、12 歳以上の子供の肥満の長期治療薬として承認されています。
それ以外にもいくつかの薬が紹介されています。
GLP-1受容体作動薬がどれほどの効果があるのでしょうか?週 1 回のセマグルチドによる研究では次のようでした。(ここ参照)
Aに示すように、セマグルチドは68週間でBMIの平均変化は16.1%の減少でした。(プラセボでは0.6%増)そしてBに示すように、体重が5%以上減少した割合は73%にもなりました。素晴らしい結果ですね。しかし、パーセンテージではなく、実際の値を見てみましょう。Eに示すようにBMIは5.8の減、体重はFに示すように15.3kg減でした。BMIが減少してもまだ30以上に肥満です。体重も90kg以上です。
これで、肥満の子供たちは、ガイドラインで書いてあった、低い自尊心に苦しんだり、仲間からもいじめられること、偏見から逃れることができるのでしょうか?68週間も薬を続けて、まだ肥満の範囲にとどまっています。これは、成人と同様に慢性疾患を慢性にさせて、医療が利益を上げているだけです。多少ましになる程度の効果を与えて、ずっと病気のままでいさせて、ずっと治療を続けさせるのが今の医療です。
根本的な解決を目指すのではなく、医療業界、特に製薬会社が顧客を増やすことになるだけです。子供まで餌食です。
朝のシリアルをやめ、ジャンクフードをやめ、糖質の入った飲み物をやめ、糖質の塊のスナックをやめることが最も重要なはずです。カロリーではなく糖質が肥満を起こしている事実をもっと強調すべきです。エネルギー(カロリー)制限で減量を試みようと思うから失敗するのです。糖質制限でお腹いっぱい食べれば通常は痩せます。運動が好きではない子供に運動をさせて減量を試みようしても失敗します。運動だけでは痩せません。そして、インスリン抵抗性のまま運動しようとしても脂肪は燃焼してくれません。
こんな異常なガイドラインが出るまで、医療は製薬会社に乗っ取られてしまいました。そして、これがすぐに当たり前の医療となる可能性もあります。医療を学ぶ医学部の学生も、これが真の医学であるかのように教えられます。
本来の医療側からの働きかけは、国や食品産業にすべきです。
このガイドラインはエビデンスに基づいていますが、多くの薬物治療のエビデンスは製薬会社によってコントロールされています。このガイドラインは医療が発するメッセージではないはずです。
早期の薬物治療や手術は子供たちの将来を台無しにする可能性すらあります。間違っています。
日本がこのような異常なガイドラインに追随しないことを祈るばかりです。
「Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Treatment of Children and Adolescents With Obesity」
「肥満の小児および青年の評価と治療のための臨床診療ガイドライン 」(原文はここ)
清水先生、こんばんは。
食生活などで肥満になった方々に対して、肥満の薬や手術で対応するのは、どう考えても異常だと思います。
それらが保険診療だとすれば、税金がつぎ込まれていると思うので、なおさら異常だと思います。
まずは食生活を見直し、次に適度な運動ですね。
じょんさん、コメントありがとうございます。
これはまだアメリカのガイドラインです。日本が同じようなガイドラインを出すかどうかはわかりませんが、注視が必要です。
もちろんこのガイドラインも食生活の改善が必要がないとは言っていません。
しかし、効果のない食事療法を勧めて、薬に誘導するようなガイドラインの作りになっていると思います。