3食きっちりと食べることが健康的だという神話がありますが、恐らくウソでしょう。
11人の健康な平均年齢31歳、BMI20~30(平均24)、体脂肪率が12~30%(平均24%)のある程度トレーニング経験がある人が対象です。参加者は安定した体重に必要なすべてのエネルギー(カロリー)を、1日3食(朝食、昼食、夕食)または1日1食(17:00から19:00の間で1食)で11日間過ごしました。自己申告によるエネルギー摂取量は1日3食でも1食でも差がなく約2,400kcal程度でした。自己申告なのでデータの質が低い可能性が高いです。(図は原文より)
1日3食と比較して1食だと体重が減少し、脂肪も減少しています。除脂肪体重はどちらもわずかに減少しましたが、両群に有意な差はありません。骨密度の違いもありません。また、1食では安静時のエネルギー消費が減少する傾向にあり、LDLコレステロールが増加します。
1日の血糖値の平均値はどちらも似たようなものですが、やはり空腹が長い1日1食では血糖値が低い時間帯も多くなっています。食後のインスリンも違いはありませんでした。
身体能力の違いもありません。
Aは脂肪の酸化、Bは炭水化物の酸化、CはRQ(呼吸商)、Dはエネルギー消費、Eは乳酸、Fは心拍数、Gはボルグスケール(主観的運動強度)、Hはエネルギー消費に対する脂肪およびグルコース酸化の相対的な寄与の図です。1日1食では脂肪の酸化、つまり脂肪をエネルギー源にするのは増加し、炭水化物の酸化は減少しました。それに伴い呼吸商も低下しました。それ以外は違いはなく、食事回数を減らしただけでは運動強度による運動時の脂肪の酸化の割合は変化しませんでした。ここが糖質制限との違いでしょう。
正直に言って、11日の研究期間では短すぎます。適応を考えれば最低1か月でしょう。それでも体重に違いが出ました。ただ、これはもしかしたら、1日1回の食事で3回分と同じエネルギー量の食事をするので、吸収率が低下しているかもしれません。または実際には3回分の食事を1回では食べきれなかった可能性もあります。
吸収率が変わらないのであれば、1日1食は体重を減少させると言えます。体重はカロリー摂取量と消費量では決まらないということです。糖質過剰摂取でさえ食事回数が減少すると脂肪をエネルギー源にする時間と能力が増加し、インスリン分泌が増加している時間も増え、その分体重が減少するのでしょう。
人間、1日3食+間食が当たり前の時代になりましたが、代謝的には不健康な人が激増しています。こんなに頻回に食事をするようには進化してこなかったので、こんなに多くの回数の食事をしたら様々な不具合が出てきても不思議ではありません。
1日3食が健康的であるというのは食品産業が作り出したものでしょう。間食なんてもちろん必要ありませんが、1日1食か2食で十分でしょう。
しかし、この研究が記事になると、歪められて伝えられます。(記事はここ)
「‘One meal a day’ diet popular with celebrities could do more harm than good – here’s why」
「有名人に人気の「1日1食」ダイエットは、良いことよりも害を及ぼす可能性がある。その理由は次のとおり。」
1日1食だけだと、体重と体脂肪量が大幅に減少しました。しかし、除脂肪体重と骨密度が大幅に減少しました。 この食事を長期間続けると、筋肉機能が低下し、骨折のリスクが高くなる可能性があります。
1食群で除脂肪体重が減少したのは事実で、筋肉が減少したのかもしれません。しかし、たった0.7kgです。3食群でも0.3kg減少しています。両群の有意差はありませんし、このままどちらも筋肉が減り続けるとは思えません。骨密度も両群に差がありません。しかし、記事の文章では大幅に減少したと書かれています。
様々な研究を紹介する記事はよく見かけます。多くの人はその記事の元になっている論文の中身までちゃんと読みません。だから、適当なウソをついても通常はバレません。結果だけ、またはその結果さえ捻じ曲げられて伝わっていきます。
日本人はあまり疑いません。だから日本だけ新型コロナワクチンを何回も接種し続けても疑問に思いません。自分で考えないように教育されてきた賜物でしょう。
騙されないためにまずは自分でよく考えましょう。
「Differential Effects of One Meal per Day in the Evening on Metabolic Health and Physical Performance in Lean Individuals」
「やせた人のメタボリックヘルスと身体能力に対する夕方の1日1食の異なる効果」(原文はここ)
10年ほど、一日一食(スーパー糖質制限、たまに二日一食)ですが、体重は安定してます。
体調良好で健診もLDL高値以外は引っ掛かりません。
筋肉量に関してはやはり運動量のほうが顕著に影響する感覚です。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
筋肉はやはりタンパク質と運動だと思います。