片頭痛にはまず糖質制限を

片頭痛を持っている人は少なくないでしょう。そしてそのほとんどは恐らく薬による治療、予防を行っていると思います。しかし、その原因が食事だとするのであれば、食事を変えなければずっと頭痛は無くなりませんし、薬のお世話にずっとならなければなりません。

今回の研究では、片頭痛に対するケトーシスの影響の研究のメタアナリシスです。研究はそれほど多くはありません。全部で10件の論文です。VLCKD(超低カロリーケトン食)、MAD(修正アトキンスダイエット)、βヒドロキシ酪酸(BHB)のサプリの投与、古典的なケトン食の研究が含まれています。残念なことに、ケトーシスの評価は論文間で一貫性が無く、尿でケトン体を測定したり、血中のケトン体を見たり、何も測定していなかったりとバラバラです。しかし結果はほとんど同じ傾向でした。(図は原文より)

上の図は介入前後の1か月あたりの片頭痛発作の平均回数の差を示しています。食事でケトン体を増加させるだけでなく、1件のケトン体サプリの研究でも片頭痛に良い効果がありました。

そうすると、ケトン体そのものにも片頭痛予防効果があるとも思えます。ただ、その効果はやや小さく7.5回が5.9回と1.6回の差です。ケトン食などの食事の介入の研究では、半減以上の回数減少を示しているものも多く、大きな改善を示しています。

私は恐らく、ケトン体そのものの効果はあるもののその程度は比較的弱く、実際には脳の高血糖、インスリン抵抗性の減少、それに伴う脳の炎症の減少が起きて、効果が出ていると思います。

糖質制限をちゃんとすれば、次の日から薬が全く必要なくなる場合もあるほどです。

通常脳のエネルギー源はブドウ糖ですが、ケトン体もエネルギー源になります。糖質制限をしている場合でもブドウ糖が脳のエネルギー源となっているのか、ケトン体がどれほどの割合でエネルギー源として利用されているのかはよくわかりません。

しかし、溢れかえるほどのブドウ糖が脳に押し寄せ、脳のインスリン抵抗性が増加して、脳の炎症、酸化ストレスの増加が起きていることにより頭痛が起きているのではないかと思います。

いずれにしても糖質制限をするだけで、薬や頭痛から解放されるのであれば、やらない手はないでしょう。

糖質過剰摂取で片頭痛のままでいると、脳卒中、認知症のリスクが高くなります。(「片頭痛と脳卒中」「片頭痛と認知症のリスク」参照)

それはもちろん、原因が糖質過剰摂取だからです。片頭痛は糖質過剰症候群です。

「Ketosis and migraine: a systematic review of the literature and meta-analysis」

「ケトーシスと片頭痛:文献のシステマティックレビューとメタアナリシス」(原文はここ

 

5 thoughts on “片頭痛にはまず糖質制限を

  1. ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源と疑わず、仕事の合間などにもお菓子などで糖質摂取に励んでいるという
    片頭痛持ちの方は多そうですね。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      医師や栄養士がブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源といまだに言っていますからね

  2. 先生こんばんは。

    毎回記事を楽しみに拝見しております。
    私、筋金入りの片頭痛持ちでかれこれ30年近くにになるでしょうか。

    糖質制限を始めて6年くらいになりますが、期待していた片頭痛に対する効果、私にはどうやら得られなかったようでした。
    頭痛ダイアリーなるものをつけていますが、片頭痛のタイミングの傾向が分かってきて、どうやら月経の周期に関連があるようでした。
    私の場合は月経前〜月経中にかけて頭痛が起きることがわかりました。

    あとは原因不明の頭痛が不定期にやってくる…の、繰り返しで平気すると月10回ほどの酷い頭痛が起きていました。

    トリプタン製剤で痛みを抑えていましたが、最近片頭痛の予防薬(月一回の注射)
    を受けるようになって、頭痛の頻度が激減し、快適な毎日を送っています。

    もちろん好きで高額の注射を受けているわけではありません。(3割負担でも14,000円くらい)

    何か食事が間違っているのか、それともホルモンバランスに関わる事のようなので閉経までこんな感じなのかわかりませんが、この注射をやめると元に戻ってしまう人が多いそうで、やめたくてもやめられません。

    食事といえば、いわゆる糖質制限食、主食は無しです。
    昼のみ職場で皆と同じものを食べますが、主食はもちろん無しです。

    その他の、糖質制限での恩恵はたくさん受けているのに、なんせ頭痛だけがネックですね。

    これは個人差、としか言いようがないのでしょうか?

    1. みみさん、コメントありがとうございます。

      そうですか・・・
      もう試されているとは思いますが、私なら次の一手は漢方かマグネシウムですね。

  3. マグネシウムなら、kindle本ですが「経皮マグネシウム療法」が参考になると思います。経口からマグネシウムは、お腹が緩くなるので限界がありますが、マグネシウムオイルや風呂に入れるなどすれば、問題なく摂取できると思います。私は塩化マグネシウム(6水塩)25kg袋(5000円位)をネットで購入して、マグネシウムオイルを作ったり、風呂に入れたりして使用しています。

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