糖尿病性網膜症で網膜剥離が起きることがあります。
近畿大学の眼科のホームページを見てみましょう。(ここ参照)
牽引性網膜剥離
牽引性網膜剥離は増殖膜という膜により、網膜が引っ張られて剥がれる病気です。こちらも一度剥がれてしまうと自然に良くなることはありませんので、早めの手術が必要になります。この病気は主に糖尿病網膜症にみられます。
自然に良くなることはない、牽引性網膜剥離ですが、糖質制限をすると良くなることがあるようです。もちろんだからと言って、手術を受けるのを止めた方が良いというつもりはありません。そうではなく、そうなる前に糖質制限を始めた方が良いと思います。
今回の症例報告では、2型糖尿病の40歳の女性で、ケトン食により牽引性網膜剥離を伴う不安定増殖性糖尿病性網膜症が大きく改善した症例を示しています。
患者は100kgで、インスリンを80単位使用していました。いつも思うのですが、インスリン抵抗性が非常に高い肥満の人にインスリン使っても効果は非常に低いはずです。インスリン抵抗性なのですから。インスリン量がどんどん増えるだけでしょ?
この方は10年間インスリン治療を受け、5年間高血圧と甲状腺機能低下症の治療を受けていました。1年前から両目の視力障害を訴えていました。増殖性糖尿病性網膜症と診断されており、コントロールの悪い糖尿病によって引き起こされる視力喪失のリスクを減らすために両目にレーザー治療を受けていました。
両眼に新鮮な硝子体出血と糖尿病性黄斑浮腫が認められました。色々と治療を行いましたが、1年間の追跡調査で、彼女は左目の視力がさらに低下しました。
左目に下の図のような糖尿病性牽引性網膜剥離が認められました。(図は原文より、表は原文より改変)
上の図のAは右目でびまん性嚢胞性糖尿病性黄斑浮腫の状態、Bは左目で黄斑を含む牽引性網膜剥離の進行した状態です。
左目の状態を管理するために外科的介入を勧められましたが、6か月間経過観察の受診をしませんでした。その間、彼女は医師の指導の下、ココナッツオイルを豊富に含むケトン食を行っていました。ケトン食により体重が 25kg以上減少し、下の表のように様々な改善が得られました。
生化学検査または薬の投与量 | 食事療法介入前 | 食事療法介入後 |
空腹時血糖値 | 250mg/dL | 70mg/dL |
食後血糖値 | 350mg/dL | 120mg/dL |
HbA1c | 7.1% | 5.3% |
インスリン | 80IU | 無 |
メトホルミン | 1500mg | 500mg |
空腹時及び食後血糖値は大きく低下し、HbA1cも7.1から5.3まで低下し、インスリン注射も必要なくなり、メトホルミンも減量できました。
上の図はケトン食6か月後です。Aは右目の糖尿病性黄斑浮腫が解消したことを示しています。Bは左目における牽引性網膜剥離が自然に解消していることを示しています。
2年間の追跡調査で両目は増殖性糖尿病性網膜症が安定しており、右目の糖尿病性黄斑浮腫の解消と左目の牽引性網膜剥離の完全な解消が認められました。
黄斑浮腫や牽引性網膜剥離の原因は高血糖であるかもしれませんが、高インスリン血症であるかもしれません。特に今回のようにインスリン抵抗性が非常に高い状態で、大量のインスリン注射を受けるような状態は非常にリスクがあると思います。
別の研究でも、13の研究のメタアナリシスでは、2型糖尿病におけるインスリン使用量の増加により、糖尿病性黄斑浮腫のリスクは4.5倍、糖尿病性網膜症のリスクは2.3倍でした。(ここ参照)
また別の研究でも、質の高い研究のみを含む分析では、インスリン使用により黄斑浮腫のリスクが2.73倍に増加することが示されました。(ここ参照)
血糖値は糖質摂取で上昇するという単純なメカニズムを考えれば、糖尿病のコントロールは糖質制限しかありません。それを薬で何とかしようとするから、様々な合併症が出てくるのです。
確かにインスリンは効果があれば血糖値を下げますが、インスリン抵抗性が高ければ、インスリンの感受性が非常に低く、あまり効果的に血糖値が下がりません。そうすると、専門医はさらにインスリン量を増加させます。
インスリン過剰でインスリン抵抗性が高いの2型糖尿病では、まずは糖質制限をして、体重を減少させて、空腹時のインスリンを低下させて、インスリン感受性を高めていけば、インスリン注射なんて必要ないでしょう。
そうしないところがマッチポンプですね。医療に完全に頼れば、病気が増えてしまいます。
「Reversal of diabetic tractional retinal detachment attributed to keto diet」
「ケトン食による糖尿病性牽引性網膜剥離の回復」(原文はここ)
医師でいらっしゃる清水先生は別と
して、
なるべく医師には近づかない
ほうが健康的かも。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
症状を訴えれば訴えるほど薬が増えますからね。
この症例報告の女性は素晴らしいですね。主治医に見切りをつけて、自分で調べたのでしょう。
医者、マスコミや人のいうことを鵜呑みにせず、自分で納得できる治療とういうか食生活の改善ができる人が増えていってほしいです。
しかし、近年の方がエビデンスという亡霊が行きわたっているように感じます。少しずつでも反転攻勢していきたいです。
いくさん、コメントありがとうございます。
医療もマスコミも肉、塩、脂質は悪としています。
体に必要なものは悪、有害なものはヘルシーと呼ばれる世の中です。
はじめまして。
ケトン食について調べていて、以下のような「ケトン食が骨に悪影響を与える」という趣旨の論文をいくつか目にしました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35092022/
色々と調べてはみたのですが、自分では解釈に限界があったため、これについてシミズ先生のご意見をお伺いしたいです。よろしくお願いいたします。
ケト4年目さん、コメントありがとうございます。
いつか、糖質制限と骨粗鬆症について記事を書きたいと思ってはいましたが、結構複雑です。
そして長い旅になりそうなので、ちょっと躊躇していました。
今回示していただいた論文について、記事にしたいと思います。そこから旅が始まるかどうかは未定です。