腎臓結石、尿管結石も糖質過剰症候群 その1

尿路結石の中でも、尿管結石はものすごい激痛のようです。(私はなったことがありませんが)最初の結石発症から最初の5年以内の再発率は最大50%です。人間の体の中で、絶えず液体が流れているのに、塊ができるなんておかしいと思いませんか?血管の中に血栓ができるのも異常だし、胆嚢に胆石ができるのも異常だし、腎臓や尿路に尿路結石できるのも異常です。

胆石はコレステロール結石が多いのでコレステロールのせいにされます。尿路結石で多いのはシュウ酸カルシウムなので、シュウ酸の摂り過ぎのせいにされたりします。

でも、本当にその成分を摂り過ぎで石ができるのでしょうか?私は糖質過剰摂取による代謝異常が起きて、本来はできるはずのない塊ができてしまうのだと思っています。

様々な糖質過剰症候群と尿路結石は関連があります。糖質過剰症候群の代表、高血圧との関連を見てみましょう。

今回の研究では、高血圧のある人とない人で腎臓結石との関連を調べています。結石疾患のない安定した高血圧の患者132人と正常血圧135人を対象として、少なくとも 5 年間追跡調査し、最終的に腎臓結石が形成されるかどうかを確認しました。全員35~50歳の範囲です。

高血圧の有無で、そもそもベースラインでの尿の成分が異なっていました。下の表のように高血圧の男性の尿は、カルシウム、マグネシウム、尿酸、シュウ酸塩の排泄量が対照男性よりも多く、さらに、高血圧の男性の尿はシュウ酸カルシウムとリン酸カルシウムがより過飽和でした。
高血圧の女性の尿は、カルシウム、リン、シュウ酸塩の排泄量が対照女性の尿よりも多く、また、シュウ酸カルシウムの過飽和度も高くなっていました。(表は原文より)

男性女性
コントロール高血圧コントロール高血圧
容量ml/日1425±641501±691263±571357±65
ナトリウムmmol/日178±7183±8145±5147±6
カリウムmmol/日56±260±351±254±2
塩化物mmol/日178±7194±9146±6150±6
カルシウムmg/日199±10263±14154±8212±11
リンmg/日777±29847±32614±26696±25
マグネシウムmg/日85±4100±472±476±3
尿素g/日24.6±0.826.8±0.919.4±1.118.7±0.8
硫酸塩mmol/日21±0.522±0.817±0.418±0.5
アンモニウムmmol/日39±138±129±1.128±1.1
尿酸mg/日586±21707±30501±22498±17
シュウ酸塩mg/日26.5±1.234.8±1.321.7±0.826.2±0.9
シスチンmg/日81±580±573±472±5
クエン酸mg/日566±28530±29689±34650±30
グリコサミノグリカンmg/日(31)7.1±0.3(43) 7.7±0.5(37)5.7±0.2(28)5.6±0.3
pH、24時間5.85±0.055.91±0.066.07±0.065.95±0.06
シュウ酸カルシウムSS(過飽和)6.1±0.58.9±0.54.8±0.37.1±0.4
リン酸カルシウム SS0.74±0.051.39±0.130.87±0.091.00±0.8
尿酸SS2.9±0.23.2±0.32.1±0.22.5±0.3
ストルバイト SS0.06±0.020.13±0.050.12±0.030.08±0.02
すでに、高血圧がある人では尿路結石ができやすい環境が出来上がっているようです。
高血圧の男女をBMIで分けると、次の表のようになりました。
高血圧の男性 ( N = 66)高血圧の女性 ( N = 66)
BMI<26BMI>26BMI<24BMI>24
尿パラメータ
結石危険因子
 カルシウムmg/日208±16293±17180±15243±14
 シュウ酸塩mg/日29±1.437.9±1.726.2±1.526.1±1.2
 尿酸mg/日562±35784±36464±21530±26
結石防止因子
 マグネシウムmg/日88±5106±671±580±5
 クエン酸mg/日505±40543±39574±44723±36
 グリコサミノグリカンmg/日(17) 6.5±0.6(26) 8.5±0.8(13) 5.5±0.6(15) 5.7±0.4
栄養マーカー
 ナトリウムmmol/日160±12196±11135±7158±9
 カリウムmmol/日56±562±350±358±3
 尿素g/日22.2±1.329.3±1.117.2±1.120.1±1.3
 硫酸塩mmol/日19.7±1.223.9±0.916.7±0.818.7±0.6
 リンmg/日724±35913±42605±32782±32
 クレアチニンmg/日1557±461947±761171±531246±40
男性はBMI26、女性はBMI24で分けていますが、BMIが高い方がより尿の結石生成に関わる成分が増加しています。
追跡期間中に正常血圧135人中4人、高血圧132人中19人が腎臓結石エピソードを経験しました。それぞれ 2.9 % と 14.3%です。結石形成の可能性は、高血圧のある人の方が5.5倍です。結石の成分は対照群の4人中3人(カルシウム結石2人、尿酸結石1人)、高血圧群19人中12人でカルシウム結石、5人 で尿酸結石の組成を確認することができました。結石を生じた23人のうち16人が過体重でした。
カルシウム摂取量が少ないと、腸内でのシュウ酸塩の吸収が増加する結果、シュウ酸尿症の増加につながる可能性があると言われていますが、本当に高血圧患者と結石形成者は同様の食習慣を持っており、とりわけカルシウム摂取量が少ないことが特徴なんでしょうか?シュウ酸摂取量も高血圧や肥満、結石形成者で多いのでしょうか?
さらに、もう一つ疑問点は、尿中の結石成分が多くなれば結石形成のリスクが増加するのでしょうか?私はプラスで違う機序が働いているように思いますが、はっきりわかりません。
しかし、尿路結石リスクは高血圧、肥満、メタボなど、つまり糖質過剰症候群と大きく関係しています。
まずは、できる限り代謝の異常をもたらさない食事をして、尿路結石を予防するべきでしょう。かなり痛いようですから。

「Essential arterial hypertension and stone disease」

「本態性動脈高血圧症と結石症」(原文はここ

8 thoughts on “腎臓結石、尿管結石も糖質過剰症候群 その1

  1. 後悔先に立たず、で予防は
    大事ですが「シュウ酸の摂りすぎ
    に注意」とか言われても、、、

    簡単でしかも効果の高い
    糖質制限を継続して予防に
    務めます。

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      多因子性だと思われるので、もちろん糖質制限だけが重要ではではありませんが、
      少なくとも糖質過剰摂取はリスクが高いでしょう。

  2. 清水先生、こんばんは。

    実は私は尿路結石は何度か発作を経験しています。その痛みはすさまじく耐えられません。
    私は、完全な糖質制限ではないとはいえ、スタンダード以上の内容だと思うのですが、また高血圧でも肥満でもないのですが、体質なのか尿路結石になっています。

    以前、結石の成分を調べたのですが、忘れてしまいました。カルシウム、マグネシウムなどの摂取にも注意が必要なのでしょうか?

    1. じょんさん、コメントありがとうございます。

      マグネシウムは重要だと思います。
      あと、糖質制限で起こりやすいのは脱水ではないかと思っています。
      私はコーヒーも大好きで、その他の水分もたくさん摂ります。おしっこの回数も多いですが、気にしていません。

  3. 糖尿病になる以前の糖質過剰摂取時代
    何度も尿管結石になり
    あまりの激痛に救急車で運ばれたこともあります。

    糖尿病発覚し糖質制限続けてからは
    一度も発症したことがなく
    こむら返りも無くなりました

    今は糖質制限に加え
    マグネシウムと亜鉛のサプリを摂ってます

    現在のHbA1c4.8、BMI22
    血圧は150/100ですが気にしてません

    水分不足あると思うので
    なるべく気をつけたいと思います。

    1. ギムレットさん、コメントありがとうございます。

      救急車レベルの激痛からの解放と糖質、どっちを選ぶ方が良いか?それでも糖質を選ぶ人が多いのでしょうね。

  4. 糖質過剰摂取はインスリン抵抗性を発症させますね。その上にシュウ酸を大量に含む野菜類を「健康に良い」と思い込んで食べていると体内で蓄積しカルシウムと結合。結晶化したシュウ酸カルシウムが尿管結石や腎臓結石となる、と理解しています。
    シュウ酸=Oxalate の専門家、Sally Norton 氏の「Toxic Super Food 」を読みました。

    1. Kunikoさん、コメントありがとうございます。

      私自身はシュウ酸そのものが悪いとは思っていません。
      結石を作る体内の条件の方が問題だと思っています。

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