スタチンには様々な有害な副作用がありますが、睡眠に関しても副作用があるようです。
ある研究では、スタチン使用での不眠症の報告オッズ⽐(ROR)は3.3でした。(ここ参照)つまり、他のすべての薬剤と比較して、スタチンでは不眠症がより高い頻度で報告され、スタチンが不眠に大きく関連している可能性があるのです。
また、ある研究では、様々なスタチンの睡眠に対するシグナルが認められました。(ここ参照)
睡眠の開始と維持の障害(不眠症)、睡眠障害、全身疾患による睡眠障害、睡眠時随伴症(異常な夢、悪夢や寝言など)などの睡眠障害に関する重要なシグナル(ROR)が見つかりました。それぞれのRORは1.15、1.19、1.75、1.24でした。
また、スタチンの種類を変えたら、下の図のように睡眠状態が改善した症例報告があります。(ここ参照、図はこの論文より)
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)のある67歳の男性で、スタチンをシンバスタチンからプラバスタチンに変更したら、上の図のように様々な指標が大きく改善しました。
もう一つ、アトルバスタチンが悪夢を引き起こした症例報告です。(ここ参照)
72歳の女性、アトルバスタチンを開始してから5日後、2週間半にわたって毎晩極度の悪夢に悩まされました。最近始めたスタチンとの関連性が考えられるため、このスタチンを5日間中止しました。そうしたところ悪夢は起こらなくなりました。再チャレンジでアトルバスタチンを再度服用すると、すぐに悪夢をもたらし、悪夢はスタチン中止後に消えました。
不眠や悪夢がまさかスタチンで起きているとは思っていない人も多いでしょう。不眠を医師に訴えれば、睡眠薬が処方されます。医療にとってはスタチンは素晴らしい薬かもしれません。糖質制限をしてLDLコレステロールは気にしないようにしましょう。
悪夢などは他の薬でももちろんあります。でも、悪夢を見るということはやはりその薬が脳に何らかの影響があるということでしょう。