糖尿病診療ガイドライン2024での2型糖尿病発症リスクとGI(グリセミックインデックス)

以前の記事「糖尿病診療ガイドライン2024での2型糖尿病発症リスクと炭水化物割合」では、たどり着けなかったので、今回は2つ目のポイント「炭水化物の質的指標である GI (glycemic index) または GL (glycemic load) と 2 型糖尿 病の発症リスクとの間には正の量反応関係がある」についてです。

GI(グリセミックインデックス)がいまだにガイドラインに出てくるんですね。こんないい加減な指標は私は必要ないと思っています。

「炭水化物の質的指標である GI (glycemic index:食後血糖値の上昇度を示す指標)また は GL (glycemic load:GI×炭水化物の量÷100 により算出)と発症リスクとの間に正の量反応関係がある.」

説明文にもこれだけの記載しかありません。私はGIもGLもある程度、糖質量を反映していて、全く意味がないとは思っていません。でも、いい加減すぎる数値です。そして、あまり役に立たない。糖質量を考えればそれだけでいいのです。

さて、糖尿病学会が引用した論文の一つを見てみましょう。(ここ参照)

「Glycemic index, glycemic load, carbohydrates, and type 2 diabetes: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies」

「グリセミック指数、グリセミック負荷、炭水化物、2型糖尿病 前向き研究のシステマティックレビューと用量反応メタアナリシス」

専門家たちが平伏すシステマティックレビューとメタアナリシスの論文です。これらは元になる多数の研究があり、それをまとめて分析しているので、元になる研究を見なければなりません。

さて、元になる研究の一つを見てみましょう。

「Carbohydrate quantity and quality and risk of type 2 diabetes in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition-Netherlands (EPIC-NL) study」

「欧州がん・栄養前向き調査オランダ(EPIC-NL)研究における炭水化物の量と質と2型糖尿病のリスク」(原文はここ

この研究、炭水化物の量や質と糖尿病のリスクの関連を調べていますが、炭水化物の量と質は、当然質の低い食事アンケートのデータから得ています。ベースラインでたった1回、過去1年間の食事を思い出して回答します。私だったら1年間の食事を思い出すなんて全く無理です。そのデータをもとにGIやGLを計算します。個々の食材のGIやGLはある程度意味がありますが、食事は複雑に栄養素が絡み合います。様々な食材の組み合わせや調理法などにより、GIというのは変化する可能性が高くなります。そうでなくてもGIというのは個人差や個人の中でもその時々で変化します。例えば、パンを食べたとき、同じ人であっても個人内の変動で、GI値が60以上変動する人もいるのです。(「GI値(グリセミックインデックス)は当てにならない」「GIなんてやっぱりあてにならない」「グリセミックインデックス(GI)なんか考えても無駄」参照)

たった1回のいい加減な食事アンケートのデータといい加減なGIを組み合わせた、限りなく意味のないデータを使い、10年間追跡して、糖尿病のリスクを評価しても、全く意味がありません。

これで、学会は「正の量反応関係がある」と言い切ってしまうのです。恥ずかしいですね。

糖尿病診療ガイドライン2024

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