グリセミックインデックス(GI)なんか考えても無駄

グリセミックインデックス(GI)なんて、まだ気にしている人はいるのでしょうか?以前の記事「GI値(グリセミックインデックス)は当てにならない」「GIなんてやっぱりあてにならない」などで書いたように、GIは非常にいい加減な指標で、当てになりません。個人差や個人内での差が非常に大きいのです。調理法によっても異なります。

今回の研究では、食材の組み合わせでのGIを分析しています。11人の健康な男性3人、女性9人、年齢 36.2歳、BMI 21.3を対象に様々な食事をしてもらいました。(図は原文より)

上の図はマッシュポテトおよびほかの食材の組み合わせにおける栄養素組成とエネルギー量です。ACHOは糖質と考えてください。それぞれの食材の組み合わせの糖質量は50~53.8gです。タンパク質と脂質にはそれぞれ差があります。オイル(菜種油)が含まれると当然脂質が多くなりますし、鶏の胸肉が多いとタンパク質が多くなります。

上の図は食材の組み合わせの食事を食べた後の血糖値の推移です。◇ブドウ糖、◆マッシュポテト、▲、マッシュポテト+オイル、□鶏胸肉+マッシュポテト、■マッシュポテト+サラダ。×マッシュポテト+オイル+鶏胸肉+サラダ。+マッシュポテト+オイル+鶏胸肉+サラダ+ライ麦パン、です。血糖値のピークは30分後で、最も高いのはマッシュポテト+サラダとマッシュポテト単独で、ブドウ糖を上回りました。しかし、この2つの食事は120分値でベースラインを下回りました。

上の図は、空腹時血糖値、血糖の増分ピークおよび増分曲線下面積(IAUC)およびGI値です。マッシュポテト+サラダとマッシュポテト単独のGIは108でした。マッシュポテト+オイル+鶏胸肉+サラダのGIは最も低く54でした。つまり、マッシュポテトは様々な食材の組み合わせによりGIが54から108まで変動します。

上の図は空腹時インスリン値、インスリンの増加ピークおよびインスリン指数(II)です。先ほどのマッシュポテト単独は高いインスリン血症反応を引き起こし、インスリン指数は118となりましたが、サラダ+マッシュポテトのインスリン指数はわずかに低く105でした。最もインスリン指数の高いのはマッシュポテト+鶏胸肉で148でした。つまりマッシュポテトと鶏胸肉を一緒に食べると、GIは64と低くなりますが、インスリン分泌は大きく増加します。

別の研究を見てみましょう。今回の研究は白米と様々な食材の組み合わせの食事です。平均年齢24歳、BMI20.1の12人が対象です。(図は原文より)

上の図は食事の栄養素の組成およびエネルギー量です。糖質は50~52.8gです。オイルはピーナッツオイルを使っているようです。

食事を摂取した後の健康な対象者 (12) (女性 6 名と男性 6 名) における血漿グルコースの平均変化。 □ブドウ糖、◇白米。 △白米+油。×白米+鶏胸肉。 ▲白米+野菜、〇白米+油+鶏胸肉+野菜

上の図は空腹時血糖と、血糖のピーク、血糖の増分ピークおよび増分曲線下面積(IAUC)およびGI値です。白米単独のGIは96ですが、白米+油は68、白米+鶏胸肉は73、白米+油+鶏胸肉+野菜はGI50でした。

上の図はインスリンの推移です。ピークはブドウ糖が最も高くなりましたが、×の白米+鶏胸肉は120値の中で最も高い値を示しています。

上の図は空腹時インスリン値、インスリンのピーク値、インスリンの増加ピーク、120分の曲線下面積、インスリン指数(II)です。ブドウ糖が最も高かったのですが、白米+鶏胸肉はその次にインスリン値が高く、曲線下面積もブドウ糖に迫るほどで、インスリン指数は白米単独の64よりも高い89でした。

2つの研究の共通点は、鶏胸肉はGIを低下させますが、インスリン指数はマッシュポテトや白米単独よりも高くなることです。つまり糖質とタンパク質の組み合わせはGIを低下させ、インスリン指数を増加させます。

野菜との組み合わせは2つの研究で違いが出ました。マッシュポテト+サラダはGIも下がらず、インスリン指数も下がりません。むしろブドウ糖よりも高いくらいでした。白米と野菜の組み合わせは、GIもインスリン指数もブドウ糖よりも低下しました。

油と胸肉と野菜の組み合わせだとさらに複雑に見えます。

いずれにしても、通常の食事は様々な食材の組み合わせであり、その比率もバラバラです。それぞれの食材のGIがたとえわかっていたとしても、組み合わせになるとどうなるかは未知です。そんな指標は考えても無駄です。血糖値の上昇は問題ですが、インスリン分泌増加も問題です。血糖値があまり上がらなくても、その裏ではインスリン分泌が大きく増加していることもあるでしょう。

そうすると、何を目標に食事をすれば良いのかよくわかりません。だから一番確実なのは、糖質摂取量を制限して、血糖値もインスリン値もあまり増加させないことです。

「Protein and fat modify the glycaemic and insulinaemic responses to a mashed potato-based meal」

「タンパク質と脂質は、マッシュポテトベースの食事に対する血糖反応とインスリン血症の反応を変化させる」(原文はここ

「Effect of chicken, fat and vegetable on glycaemia and insulinaemia to a white rice-based meal in healthy adults」

「健康な成人の白米ベースの食事における血糖値とインスリン血症に対する鶏肉、脂質、野菜の影響」(原文はここ

One thought on “グリセミックインデックス(GI)なんか考えても無駄

  1. 食べる順番とか、カロリー制限が
    大事とか、脂肪カット、
    果ては冷やした炭水化物推奨まで。
    罪悪感無く糖質摂りたい
    糖質依存の正当化、なんでしょうね。

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