冠動脈疾患のプラークの急速な進行はLDLコレステロールではなく高血糖および低HDLコレステロールと関連している

心臓の冠動脈のプラークが増加するのは、本当にLDLコレステロールによるものでしょうか?もしそうであれば、冠動脈疾患のプラークの進行も、LDLコレステロールに関係しているはずです。

今回の研究では、安定冠動脈疾患がわかっているまたは疑われる患者1200人 (平均年齢60.9歳、男性 55.4%)が連続冠動脈 CT 血管造影(2年以上の間隔)を受け、データが分析されました。

CTの間隔の平均は3.2年で、急速な冠動脈プラークの進行が341人の患者(28%)に発生しました。(図は原文より)

Rapid Plaque Progression Is Independently Associated With Hyperglycemia and Low HDL Cholesterol in Patients With Stable Coronary Artery Disease: A PARADIGM Study | Circulation: Cardiovascular Imaging

上の図はベースラインとフォローアップ時の状態の違いです。スタチン処方は増加し、ほとんどの脂質検査値は減少しています。有益と考えられるHDLコレステロールも有意にわずかに減少しているという事実は重要ですね。空腹時血糖値、血圧、BMIの変化はありません。

上の図はベースラインの臨床的な特徴と急速なプラーク進⾏との関連性です。年齢はわずかな関連がありました。喫煙はやはり急速なプラーク進⾏の可能性が高くなるようです。メタボリックシンドローム(MeS)も急速なプラーク進⾏の可能性が1.5倍以上ですね。

個々の⼼⾎管代謝リスク因⼦では、空腹時高血糖(High FPG)、低HDLコレステロール(Low HDL-C)が関連していました。そして、空腹時高血糖と低HDLコレステロールの組み合わせが最も強く急速なプラーク進⾏の可能性を高めました。

重要なのは高LDLコレステロール(High LDL-C)が急速なプラーク進⾏の可能性に関連していないことです。

Rapid Plaque Progression Is Independently Associated With Hyperglycemia and Low HDL Cholesterol in Patients With Stable Coronary Artery Disease: A PARADIGM Study | Circulation: Cardiovascular Imaging

上の図は、左の図Aからアテローム体積率(PAV)、⾮⽯灰化アテローム体積率(NCPAV)、⽯灰化アテローム体積率(CPAV)の年間変化です。横軸は左から空腹時高血糖および低HDLコレステロールのない患者(None)、空腹時高血糖のみの患者、低HDLコレステロールのみの患者、空腹時高血糖および低HDLコレステロールの両⽅の患者です。空腹時高血糖および低HDLコレステロールの両⽅のある人ではアテロームの体積がどれも最も増加しています。

空腹時高血糖または低HDコレステロールはいずれも⾮⽯灰化アテローム体積率の進⾏と関連していますが、⽯灰化アテローム体積率の進⾏と関連しているのは空腹時血糖値のみです。

追跡期間の中央値は8.23年で、主要な⼼⾎管イベントは201⼈(17%)の患者に発⽣し、そのうち175人(15%)が予定外の冠動脈再建術を受けました。

上の図は無イベント⽣存率です。左側の図は赤がメタボリックシンドロームの人、緑がメタボリックシンドロームのない人です。10年無イベント⽣存率は、メタボの⽅がメタボのない患者よりも有意に低くなっていました。(85%対78%)。

右の図は青が空腹時高血糖の人、紫が高血圧の人、赤が空腹時高血糖と高血圧の両方ある人、緑が空腹時高血糖も高血圧もない人です。空腹時高血糖も高血圧もどちらかのみでも心血管イベントが多くなりましたが、空腹時高血糖と高血圧の両方ある人の方がイベントがもっと多くなっています。まあ当然ですね。

上の図はベースラインの臨床的な特徴、急速なプラーク進⾏、主要な⼼⾎管イベントとの関連性を示しています。年齢、家族歴、過去の冠動脈疾患、およびメタボリックシンドロームが独⽴して主要な⼼⾎管イベントと関連していました。

単⼀の⼼臓代謝リスク因⼦の中では、収縮期高血圧と空腹時高血糖が唯⼀の心血管イベントの独⽴した予測因⼦でした。特に、これらを組み合わせた場合、心血管イベントのリスク2倍前後と高くなりました。

さあ、ここでも高LDLコレステロールは心血管イベントのリスク増加とは無関係でした。

空腹時高血糖、低HDLコレステロールは糖質過剰で起こります。高血圧も糖質過剰症候群です。つまり、最も気にしなければならないのは、糖質過剰摂取を避けること、インスリン抵抗性を増加させないことです。LDLコレステロールではありません。

しかし、専門医たちは糖質過剰摂取を推奨しています。彼らは「バランスの良い食事」や「カロリー制限」という名の糖質過剰食を勧めるのです。LDLコレステロール値ばかり気にして、HDLコレステロール値や中性脂肪値はほとんど無視している医師は多いでしょう。通常、糖尿病が無いとインスリン値も測定できません。本質を隠して、スタチン治療に結びつけるように、医療業界全体が動いているのでしょう。

心血管疾患は糖質過剰症候群です。食事を改善せずに心臓の健康は得られないでしょう。

「Rapid Plaque Progression Is Independently Associated With Hyperglycemia and Low HDL Cholesterol in Patients With Stable Coronary Artery Disease: A PARADIGM Study」

「安定した冠動脈疾患患者におけるプラークの急速な進行は、高血糖および低 HDL コレステロールと独立して関連している: PARADIGM 研究」(原文はここ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です