帯状疱疹後神経痛と糖質過剰摂取

以前の記事「帯状疱疹の危険因子 新型コロナワクチンと糖質過剰摂取」で書いたように、帯状疱疹は糖質過剰摂取でもリスクが上がります。帯状疱疹は一時的な症状ですが、一時的では治まらず、その後帯状疱疹後神経痛に移行すると、実に厄介です。

では、痛みが遷延する帯状疱疹後神経痛と糖質過剰摂取の関連はどうでしょうか?

ある研究では、1型糖尿病および2型糖尿病の人は、糖尿病がない人と比較して、帯状疱疹後神経痛を発症するリスクは1.45倍でした。糖尿病患者の年齢別では、20~39歳で3.17倍、40~59歳で2.00倍、60~79歳で1.54倍でした。80歳以上では糖尿病によるリスク増加は認められませんでした。

またある研究(ここ参照)では、メトホルミンの効果を示しています。2型糖尿病で、メトホルミン使用者と非使用者47,472組を分析したところ、メトホルミン非使用と比較した場合、メトホルミン使用者は帯状疱疹発症リスクは0.70倍であり、帯状疱疹後神経痛発症リスクは0.51倍でした。メトホルミンの累積投与量が多いほど、メトホルミン非使用者よりも帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛のリスクがさらに低下しました。

メトホルミンが帯状疱疹後神経痛のリスクを低下させるということは、帯状疱疹後神経痛にはインスリン抵抗性が関連していることを示唆しています。

もう一つの研究を見てみましょう。この研究では、帯状疱疹後神経痛および正常空腹時血糖値を有する87人の患者と、痛みのない108人の対照群を調査しました。2時間の経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)後の血糖値とインスリン値、およびインスリン抵抗性を評価しました。さらに、小線維性神経障害を除外するために、すべての患者で胸部皮膚生検を実施しました。(図は原文より)

上の図のように、OGTT2時間値で分類すると、血糖代謝異常の有病率は帯状疱疹後神経痛患者群の方が対照群よりも有意に高く、耐糖能障害は患者群36人(38%)、対照群16人(15%)に認められましたが、新たに糖尿病と診断された患者は患者群9人(9%)、対照群6人(5%)に認められました。インスリン抵抗性については、患者群と対照群の間に有意差は認められませんでした。

帯状疱疹後神経痛患者の皮膚生検については、上の図のように小線維性神経障害は41人 (47%) に認められ、内訳は糖尿病(DM)が7人 (8%)、耐糖能障害(IGT)が29人 (33%)、正常糖代謝(NGM)が5人 (5.7%) でした。小線維性神経障害の有病率は糖代謝異常の患者で有意に高くなりました。症状持続期間は小線維性神経障害と糖代謝異常を伴う患者の方が、小線維性神経障害と正常糖代謝を伴う患者よりも有意に長くなりました。

 

小線維性神経障害がPHNに大きく関連するとすると、ポリオール経路が悪さをしている可能性が高くなります。そうであるならば、帯状疱疹を発症したら、帯状疱疹後神経痛への移行を回避するために、糖質制限をすぐに始めた方が良いかもしれません。

帯状疱疹後神経痛は比較的強い鎮痛薬が必要になります。しかし、小線維性神経障害との関連を考えると、違う予防法や治療法が考えられます。

それでもやはり、帯状疱疹後神経痛は厄介です。まずは帯状疱疹にならないように、免疫低下を起こさないようにしましょう。

「Impact of Type 1 Versus Type 2 Diabetes on Developing Herpes Zoster and Post-herpetic Neuralgia: A Population-based Cohort Study」

「1 型糖尿病と 2 型糖尿病が帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛の発症に与える影響: 人口ベースのコホート研究」(原文はここ

「Role of Impaired Glucose Metabolism in the Postherpetic Neuralgia」

「帯状疱疹後神経痛における糖代謝障害の役割」(原文はここ

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