私はこれまでに2回帯状疱疹になっています。いずれも糖質過剰摂取時代です。かなり痛いですよね。
帯状疱疹の危険因子は免疫力の低下に尽きるのではないかと思いますが、その免疫力を低下させるのは色々な原因があるでしょう。例えば、加齢、がんなどが代表的なものでしょう。帯状疱疹後にがんと診断されるパターンが時折あります。
ある研究(ここ参照)では、帯状疱疹患者はその後の追跡調査の最初の1年間にがんを発症するリスクが1.58倍高くなりました。50〜59歳で1.58倍、、60〜69歳で1.45倍、70歳以上で1.68倍でした。女性帯状疱疹患者で1.61倍、男性帯状疱疹患者で1.55倍でした。また、最初の1年以内のがん発症リスクは1.58倍、1年から2年の間は1.30倍、それ以降では有意差なしでした。最初の 1 年間に最もよく観察される悪性腫瘍は、女性では肺がん2.35倍、男性では肺がん2.12倍と前立腺がん1.90倍、リスクが有意に増加していました。
また、ストレスも免疫力を低下させると言われています。実際に、心理的ストレスは帯状疱疹のリスクを上げるという研究があります。(ここ参照、図もここより)
上の図はストレスと帯状疱疹のリスクの関連を示しています。横軸はコーエンの知覚ストレス尺度(PSS)スコアというもので0~40の範囲で、数値が大きいほどストレスが大きいことになります。縦軸が帯状疱疹のリスクです。PSSスコア20の人のリスクは1.10倍ですが、有意差はありません。しかしそこからリスクは直線的に増加し、PSSスコア40の人のリスクは2.22倍でした。
そして、ここ近年ではやはり新型コロナウイルスに対するワクチンでしょう。リアルワールドの研究(ここ参照)では、新型コロナワクチン接種は帯状疱疹のリスクが1.8倍でした。また、あるメタアナリシスでは新型コロナワクチンは帯状疱疹の可能性を1.32倍に増加させました。(ここ参照)ただし、関連がないという研究もありますが、そうすると、帯状疱疹ワクチン接種に話が向けられたりします。うまくできていますね。
もう一つ重要なのが代謝障害です。つまり糖質過剰症候群です。糖質過剰症候群の代表的な肥満ではどうでしょうか?
ある研究(ここ参照)で、肥満と非肥満を比較したとき、肥満グループは対照群の非肥満グループよりも1.09倍と、わずかですが帯状疱疹リスクが高くなりました。さらに分析すると、病的肥満グループ では、非病的肥満と比較して1.47倍リスクが高くなりました。
もう一つの糖質過剰症候群の代表、糖尿病ではどうでしょうか?あるメタアナリシス(ここ参照)では、16件の論文を分析しました。糖尿病患者は帯状疱疹を発症するリスクが1.38倍高く、50歳未満の糖尿病患者は、年齢をマッチさせた非糖尿病患者よりも帯状疱疹のリスクが1.41倍高くなりました。
1 型糖尿病患者の帯状疱疹リスクは1.59倍有意に上昇していましたが、2型糖尿病患者でも同様に帯状疱疹のリスクが1.48倍上昇しましたが、その差は統計的に有意ではありませんでした。
また糖尿病患者における帯状疱疹の発症率を調査した研究をレビューした研究(ここ参照)では、16件中11件の研究で、糖尿病患者は対照群と比較して帯状疱疹のリスクが有意に高くなりましたが、糖尿病に関連するリスクの大きさは研究間で1.06~2.38と異なっていました。
上の2つの論文の結論は、糖尿病に対する帯状疱疹ワクチンをしましょう、ということでした。やっぱりそこに行っちゃいます。
いずれにしても、完全に帯状疱疹を防ぐ方法はありませんが、発症したときに、その後帯状疱疹後神経痛にならないかどうかは非常に重要です。帯状疱疹後神経痛は非常につらく、QOLを大きく低下させます。
では、帯状疱疹後神経痛と糖質過剰摂取は関連するのでしょうか?それは次回以降で。