日本でも子供の貧困が問題になっています。それと共に健康面での問題も出てきています。経済的な状況は世界で肥満と関連を示しています。
日本のある研究では、4歳の子供の経済状況が裕福な子供と比較して、裕福ではない子供の肥満のリスクは2.3倍になるという結果が示されています。
「Subjective Household Economic Status and Obesity in Toddlers: A Cross-Sectional Study of Daycare Centers in Japan」
「幼児の主観的家計経済状況と肥満:日本における保育所の横断的研究」(原文はここ)
青年(12~18歳)での研究もあり、高収入の青年と比較して、中程度の収入の青年の過体重のリスクは2.26倍、低収入の青年では3.4倍にもなります。
「Socioeconomic Status and Overweight: A Population-Based Cross-Sectional Study of Japanese Children and Adolescents」
「社会経済的地位と肥満:日本の児童・青年の人口横断的研究」(原文はここ)
昔は裕福な人はその家族は肥満の人もいましたが、今は逆で貧困ほど肥満を示しています。世界でも非常に貧困の国で肥満が非常に増加しています。
イギリスでも裕福な子供はスリムになり、貧困になると肥満になる割合が高くなっています。(図は原文の記事より)
グラフの一番上は貧困で、一番下は裕福な10~11歳の子供の過体重の割合を示しています。
(原文の記事はここ)
その原因の最も大きいものは食事の質だと思います。多くの子供はお腹いっぱいになることを望みます。お腹いっぱい食べるのに最も安いのは、炭水化物です。
日本では10kgのお米は3000円前後でしょうか。そうすると、お茶碗1杯30円もかからないでしょう。白米でお茶碗2杯300gとして、どれくらいの栄養があるでしょうか?
卵5個分300g、100円マックと比較してみましょう。
白米 | 卵 | マクドナルドハンバーガー | |
タンパク質 | 7.5g | 36.9g | 13.3g |
脂質 | 0.9g | 30.9g | 9.6g |
炭水化物 | 111.3g | 0.9g | 30.2g |
食物繊維 | 0.9g | 1.6g | |
ビタミンA | 450μg | 16μg | |
ビタミンD | 5.4μg | ||
ビタミンE | 3mg | ||
ビタミンK | 39μg | ||
ビタミンB1 | 0.06mg | 0.18mg | 0.09mg |
ビタミンB2 | 0.03mg | 1.29mg | 0.1mg |
ナイアシン | 0.6mg | 0.3mg | 2.7mg |
ビタミンB6 | 0.06mg | 0.24mg | |
ビタミンB12 | 2.7μg | ||
葉酸 | 9μg | 129μg | |
ナトリウム | 3mg | 420mg | 727mg |
カリウム | 87mg | 390mg | 223mg |
カルシウム | 9mg | 153mg | 31mg |
マグネシウム | 21mg | 33mg | |
鉄 | 0.3mg | 5.4mg | 1.1mg |
亜鉛 | 1.8mg | 3.9mg |
上の表のように圧倒的な栄養の差があります。白米はただ単に炭水化物、つまり糖質の塊であり、栄養価は非常に低いのです。日本の最も代表的なジャンクフードはコンビニのおにぎりです。(中に入っている申し訳程度の具の種類にもよりますが)ジャンクフードの代表の100円のマクドナルドのハンバーガーよりも栄養価は劣るほどです。
卵は10個で200円前後でしょうか?特売だと100円以下のときもあるようです。5個分300gで白米と価格的に大差はありません。
経済的に支援が得られれば、肥満が解消するかどうかはわかりません。もっとも大切なのは教育、食育ではないでしょうか?人間にとって必要な栄養素は何なのか?何を食べたら太り、何を食べたら、体が作られるのか?それさえわかれば、あとは選択です。
お腹だけを膨らまそうと、安易な考えで、安価だということだけで白米(パスタやパンなどでも同じ)をたっぷりと食べ、栄養面は全く考えない食事をすることにより、血糖値は乱高下し、そのために余計にお腹が減ります。体を作り上げる栄養はほとんど含まれません。健康面にも影響が出ます。
しかし、卵のような良質な食材をたっぷり摂り、糖質を制限すれば、血糖値はほとんど変動せず、その分お腹も減りにくくなりますし、体を作る素材はいっぱい含まれているのです。
経済的な格差の是正も必要ですが、おにぎりの文化、お米を崇拝する文化を止める時期が来ていると思います。
清水先生こんにちは。江部先生のススメで拝見しております。
また著書スポーツドリンクを飲んではいけないも読みました。
うちの小学生の息子も肥満傾向でちょっと困っているんですよね。
サッカー少年なので運動量は一般的な小学生より遥かに上なんでしょうけど大の白米好きで…
先生の本の中でオメガ3を摂るようにということが書かれていたので調べてたら実は危険なのででそもそも炎症のもとになるアルデヒドを発生させていると書いている記事がありましたがどう思われますか?オメガ3は実は体に悪いので積極的に摂らない方が良いと警鐘を鳴らしているものを見かけたのでどうなんだろう?と思いまして。
登山好きのランナーさん、コメントありがとうございます。
また、拙著をご購入いただきありがとうございます。
運動の効果は、悪い食事を帳消しにするほどのものではないと思います。
小学生から肥満となっていることは、将来に影響する可能性があります。
子供の食育は親の仕事です。
また、オメガ3が危険だという研究は私は知識がありません。
文献をご紹介いただければ助かります。文献も無ければそれは科学ではありません。
ただ単にネット上の情報なら、ご自身で何が正しいのか判断しなければなりません。
ウソも本当も様々な情報が溢れているのがネットですから。
お返事ありがとうございます。
息子の食事見直しは江部先生監修の書籍”「糖質制限」が子供を救う”を読んでからさっそくゆるめですが開始しております。おっしゃるとおり食育は親の仕事ですよね。男手ひとつで育ててきたので甘やかしすぎたと反省している次第です。
オメガ3の件は参考書籍と出ていた出典を調べたらとんでも理論を展開しているひとのようでした。お騒がせしました。尋ねる前に自分で調べないとですね。こちらについてもネットにあふれる嘘情報に惑わされてはいけないというのを再認識させていただきました。
申し訳ございませんでした。
登山好きのランナーさん
医療の論文、研究でも変なものだけでなく、企業により歪められたものもいっぱいあるので注意が必要です。
私自身も注意していかなければと改めて思っております。