認知症はどんどん増加しています。私はアルツハイマー病は3型糖尿病だと考えています。血糖値やインスリン抵抗性の話とは別に、コレステロールとの関連の話題です。
脳は非常に多くのコレステロール含んでいます。全ての細胞膜の構成成分ですから、もちろん脳の細胞膜もコレステロールたっぷりです。ですから、コレステロールが低いことは決して脳に良いとは思えません。
今回は同じアジア人の中国での研究です。65歳以上の1,889人を対象としています。そのうち86例は認知症、603例はMCI(軽度認知障害)と診断されました。その人たちとコレステロールの関連を分析しました。(図は原文より)
上の図はTC(総コレステロール)、LDL-C(LDLコレステロール)、HDL-C(HDLコレステロール)でそれぞれ低値、中程度、高値のオッズ比(OR)を示し、正常の人に対しMCIと、正常の人に対しDementia(認知症)を比較しています。左側と右側の違いは左が調整されていない統計で、右側が調整した後のものです。ORは低いほど認知症やMCIになる可能性が低いと考えてください。
TCで見ると有意差は無いものの、認知症はHigh(高値)群でORが低くなる傾向があります。さらにLDL-Cを見ると有意に認知症はHigh(高値)群でORが低く0.5です。HDL-Cとの関連は認められません。MCIはどれも関連はありません。
LDLコレステロールに認知症の保護作用があるのかどうかははっきりわかっていません。しかし、少なくとも高齢者のコレステロールは低下させるべきではないでしょう。脳のコレステロールの不足や産生の阻害が神経変性を促進したり、神経細胞の死を促進したりするという研究もあります。つまりスタチンは脳にとって有害です。
以前の記事「卵を食べよう!認知症の観点から」で書いたように、卵を食べてコレステロールの摂取量が多いほど認知機能が向上したという研究もあります。
「LDLコレステロールを低下させることの有益性の証拠はない!」で書いたように、LDLコレステロールを下げる有益性はありません。
何しろ、「コレステロール値に一喜一憂しないために」で書いたように、コレステロール値が高いほど長生きなのですから。
脳のことを考えたら、高齢になったら勇気を出してスタチンは止めた方が良いと思います。(高齢にならなくてもですが)そして、「食事を変えれば認知症を逆転できる 認知症逆転プロジェクト」で書いたように食事を変えて糖質制限をすることが重要だと思います。
よく自分で考えて判断しましょう。
「High Low-Density Lipoprotein Cholesterol Inversely Relates to Dementia in Community-Dwelling Older Adults: The Shanghai Aging Study」
「高LDLコレステロールは、地域住居高齢者の認知症と逆相関する:上海高齢化研究」(原文はここ)