ナイアシンによる眼毒性 その2

以前の記事「ナイアシンによる眼毒性 その1」では、ナイアシンは眼の細胞の中のミューラー細胞というものを傷害し、ナイアシン黄斑症を起こす可能性があることを書きました。

緑内障についてはどうでしょうか?ナイアシンはマウスの実験では緑内障から強力に保護する結果が出ています。(その論文はここ

また、食事アンケートによる結果なので、信頼性はちょっと低いですが、栄養素摂取量と緑内障になる可能性を調べた研究(その論文はここ)では、ナイアシンの摂取量が少ない方が緑内障になりやすいという結果が出ています。さらに、眼圧が21mmHg以下(正常な範囲)の人でもナイアシンの摂取量が少ない方が緑内障になりやすいという結果でした。ただし、最もナイアシン摂取量の多い群でも、1日20.5㎎以上程度の摂取量です。サプリメントの量とは圧倒的に違うので、あまり参考にはなりません。

緑内障の多くは正常眼圧緑内障であり、眼圧は正常範囲です。また、眼科に定期的に通院していない場合には発症まで多くの人が気づきません。日本人の正常眼圧緑内障の人の分析をした研究(その論文はここ)では、緑内障の視野の悪さは、眼圧のピークの高さと眼圧の変動の大きさに相関するという結果を示しています。

緑内障は4型糖尿病であり、糖質過剰症候群であると考えているので、緑内障の原因は眼圧の高さではないと考えられますが、緑内障の発症、悪化のリスクを上げるとも考えられます。眼圧は様々な状況で上昇し、水泳、ウェイトトレーニング、ヨガ、吹奏楽器、ウツ伏せ寝は眼圧のスパイクを引き起こす可能性があります。吹奏楽器は一時的に眼圧を210%上昇させるそうです。最悪は頻繁に両手で目をこすることで、眼圧は10倍にもなるそうです。(ここ参照)

ナイアシンはそこまで酷い眼圧の上昇を起こすわけではありませんが、十分に危険な程度の眼圧スパイクをもたらす可能性があります。

今回の論文では、ナイアシンを500㎎飲んだ時に眼圧が大きく上昇している症例を報告しています。

原発性開放隅角緑内障の病歴を有する73歳の男性の眼圧は、ラタノプロスト0.005%およびドルゾラミド塩酸塩2%を服用している間、右眼および左眼でそれぞれ約21および17mmHgでした。500mgの経口ナイアシンを服用すると、眼圧は、右眼と左眼でそれぞれ37および27mmHgに増加しました。ナイアシンをやめるたびに、眼圧は元のレベルまで低下しました。

この患者はナイアシン500㎎で右眼が16、左眼が10mmHgそれぞれ増加しています。つまりナイアシンは眼圧スパイクを起こす可能性があるのです。ただ、ナイアシンは血流の増加を起こすので、それによる視神経の保護作用と、眼圧上昇による緑内障の悪化のどちらが強く出るのかは不明です。

緑内障は自覚症状が出るころにはかなり進んだ状態です。ナイアシンを毎日何度も飲んでいる場合、知らず知らずのうちに眼圧スパイクを何度も起こし、緑内障の発症、悪化を招いている可能性があります。特にすでに眼圧が高い人、緑内障の人、近視の強い人などは十分な注意が必要でしょう。

「Oral niacin can increase intraocular pressure」

「経口ナイアシンは眼圧を上昇させる可能性がある」(原文はここ

コメント

  1. やまもと より:

    蜂窩織炎による発熱もあって、白鵬が初場所を休場しました。それにしても力士関係者は頻繁に蜂窩織炎でダウンします。心臓疾患がもとで2年以上療養中の曙もよく蜂窩織炎になりました。

    力士たちはのべつ幕なしに糖質過多の日常を送っていますから、常に高血糖。このような高血糖常態が蜂窩織炎を助長・促進しているのでしょうか。そういえば、ニュースの寄ると、白鵬は暮れから正月にかけて大量の餅をムシャムシャ食べていましたわ

    • Dr.Shimizu より:

      やまもとさん、コメントありがとうございます。

      今日の記事はまさしく、相撲と蜂窩織炎の話です。
      糖質過剰摂取が蜂窩織炎の最も大きな要因でしょうね?

  2. Kenny より:

    清水先生、いつも大変有益な情報ありがとうござます。

    ナイアシン500mgを日に三回摂取していましたところ、3ヶ月ほど経ったところで目に異常が出ました。ゴロゴロ感を感じ、視界の最下部部分が見えにくくなる症状で、鏡を見てみると、片目の下部(涙袋、目袋)が他方に比べて少し盛り上がっているようでした。

    一ヶ月ほど経っても回復していなかったところで本ブログを拝見し、早速摂取を中止したところ、翌日から劇的に改善し、数日でほぼ元に戻っています。徐放性のナイアシンを半年間、同量摂取していたときには特に問題は発生していません。

    • Dr.Shimizu より:

      Kennyさん、コメントありがとうございます。

      通常は眼の症状は摂取をやめれば改善するようですが、眼圧上昇に関しては視神経が障害されたとすれば戻りませんから
      気を付けなければならないかもしれません。眼圧は自分で測定できませんから。