ファイザーは本当に懲りない企業ですね。人間を何だと思っているのか…
今ファイザーは新たな訴訟が山のようにあるようです。それは、避妊注射の「Depo-Provera」(デポプロベラ)が脳腫瘍の髄膜腫のリスクを大きく増加させるという研究が昨年出て、それに伴って500件以上の訴訟が起きているようです。
日本では、厚労省未承認ですが、自費診療でいくつもの産婦人科が使っていますね。どの産婦人科のホームページを見ても、髄膜腫のリスク増加なんて書いていませんね。そんなこと書いたら売れませんからね。お金、お金… もちろん未承認薬ですから、「副作用被害救済制度」の対象外ですからね。
2025年8月26日のロイター社の記事(ここ参照)などによると、ファイザー社はデポプロベラが脳腫瘍の発症リスクを高める可能性があることを患者に警告しなかった、つまり隠匿していたという、原告の主張です。一方ファイザーは、連邦地方裁判所でM・ケイシー・ロジャーズ判事に金曜日に提出した訴状で、同社が消費者と医師に対し、この薬剤に関連する髄膜腫のリスクについて警告しなかったことは、訴訟開始前にアメリカ食品医薬品局(FDA)がその警告を却下したことで阻止されたと主張しています。つまり、FDAが隠匿しようとしていた?とでも言っているのでしょうか?
実際に、ファイザーは、この薬の長期使用に関連するリスクをかなり前に認識しており、2015年にカナダで、ブリティッシュメディカルジャーナルに掲載されたローランドの研究を受けて、2024年10月にイギリスとヨーロッパで警告ラベルを追加しました。2025年2月25日、ファイザーは南アフリカの医療従事者に対し、髄膜腫を引き起こす可能性があるため、既往歴のある患者には使用すべきではないという警告書を発行しているそうです。ファイザーは提出書類で、2023年後半に、薬剤の成分と腫瘍の間に潜在的な因果関係があると結論付けたと述べ、この成分を含むすべての医薬品に髄膜腫に関する警告を追加する許可をFDAに申請したと述べたそうです。でも、10年も前にカナダでは警告されていることですよ。ファイザーもリスクを十分に知っておきながら、市場から撤退させないという姿勢です。恐ろしい…
そして、裁判の準備としていわゆる「パイロット」訴訟5件を選定されました。ファイザー社は、ロジャーズ判事に対し、これらの5件の訴訟において同社に有利な判決を下すよう求めました。ロジャーズ判事が同社の主張を支持する場合、ファイザー社は、訴訟の残り全て(500件以上)で同様の判決を求める申し立てを行うと述べたそうです。
さて、悪いのはファイザー?FDA?
髄膜腫のリスクを大きく増加させるという研究を見てみましょう。
下の表は、経口、経皮、膣内、および筋肉内プロゲストーゲンの使用と、外科的治療を受けた頭蓋内髄膜腫のリスクとの関連です。(表は原文より改変)
プロゲステロン | オッズ比(95%信頼区間) |
---|---|
プロゲステロン(経口および膣内): | |
現在の使用 | 0.88 (0.78から0.99) |
短期使用 | 0.90(0.70から1.16) |
長期使用 | 0.88(0.77から1.00) |
プロゲステロン(経皮): | |
現在の使用 | 1.11(0.89から1.40) |
短期使用 | 1.07(0.83から1.38) |
長期使用 | 1.30(0.78から2.17) |
ヒドロキシプロゲステロン: | |
現在の使用 | 該当なし |
短期使用 | 該当なし |
長期使用 | 該当なし |
ジドロゲステロン: | |
現在の使用 | 0.96(0.81から1.14) |
短期使用 | 1.05(0.81から1.37) |
長期使用 | 0.89 (0.71~0.12) |
メドロゲストン: | |
現在の使用 | 3.49(2.38から5.10) |
短期使用 | 該当なし |
長期使用 | 4.08(2.72から6.10) |
メドロキシプロゲステロン酢酸塩: | |
現在の使用 | 5.55(2.27から13.56) |
短期使用 | 該当なし |
長期使用 | 5.62(2.19から14.42) |
プロメゲストン: | |
現在の使用 | 2.39(1.85から3.09) |
短期使用 | 1.62(0.95から2.76) |
長期使用 | 2.74(2.04から3.67) |
ジエノゲスト: | |
現在の使用 | 該当なし |
短期使用 | 該当なし |
長期使用 | 該当なし |
スピロノラクトン: | |
現在の使用 | 0.95(0.84から1.09) |
短期使用 | 0.94(0.73から1.22) |
長期使用 | 0.96(0.82から1.12) |
経口、経皮、膣内の投与では髄膜腫のリスク増加はないようです。髄膜腫の可能性は、メドロゲストンで3.49倍、メドロキシプロゲステロン酢酸塩で5.55倍、プロメゲストンで2.39倍でした。ファイザーのデポプロベラはメドロキシプロゲステロンですから、5.55倍にもなります。
ファイザーもFDAも悪いけど、髄膜腫の危険性が高い注射を、自費診療とはいえ、何の警告もなく、若い女性に処方してしまう日本の産婦人科医は何なのでしょうか?
ちなみに肥満の女性は、髄膜腫のリスクが1.48倍です(ここ参照)。食事も気を付けてください。
「Use of progestogens and the risk of intracranial meningioma: national case-control study」
「プロゲストーゲンの使用と頭蓋内髄膜腫のリスク:全国症例対照研究」(原文はここ)